表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第5章
116/151

胎動その2

私生活が忙しく更新もままならなくなってきました。

週一ペースで更新できるといいな...


詳しくは活動報告にて

それでは、どうぞ

  



「それにしても...あの子のことが少しばかり気がかりね。別に連絡をしろって言ってるわけじゃないけれど、せめてフゥ君に気配くらい察知させるようにしておけばいいのに。何してるのかしら」




≪どうせあいつのことだ。また適当に他人の人生に突っ込んで世話してるんじゃないか?あいつの放浪癖はいまに始まったことじゃない≫



フゥ君が言った他人の人生に突っ込んでっていう話は、私全く知らないのだけれど....


でも、あの子が他人を不幸にするような行動はしないと信じているからあまり深くは追及しないことにした




ふわふわと闇夜で月の光に照らされて漂う精霊

ふと、思う


私が魔女としての力を失っているとしたならば、召喚士に近い存在なのかもしれない



召喚士

あの、フィアナという哀れな少女もそうだった



ジル殿下...いや、もう陛下になるのか

彼は、大地の精霊に包まれて眠る彼女達を最初に発見したそうだ



一人はフィアナさん

そしてもう一人は、彼の実の弟であるオルダンテ殿下だった



大切に、大切にフィアナさん腕に抱くオルダンテ殿下を見たとき、彼は涙を流し安堵したと言った



何故か...それは最後のオルダンテ殿下の残したメッセージだ



大地の精霊がオルダンテ殿下の最後の一声を、彼に伝えたのだ

何と言ったのかは彼だけが知るだろう



いや、私はフゥ君を通じてその内容を知った

その時私は感じた



―――本来、オルダンテ殿下にも王としての素質は十分にあった、と



誰かに操られている状態のオルダンテ殿下ではなく、彼自身はきっとジル陛下を支えるに足りる頭脳と行動力があった



オルダンテ殿下はきっと、フィアナさんの死因を知っていたのかもしれない

これは憶測だ


でも、聡いオルダンテ殿下なら...とも思ってしまった

全てを受けめ、兄を信じた彼の隙をついて言葉巧みに操った者





「ねぇフゥ君。私はね、どんどん嫌な結末を迎える気がしてならないの」



今回の北国での騒動はただの前兆にしか過ぎない

これからもっと大きな何かが、起こるのではないか



現に南国の護り人の件、なぜか私はニーナ嬢に恨まれている

時の魔女というワードに過剰反応する彼女に、不穏な空気を感じ取ったのだ




≪念のため、あいつを探してくる。不本意だが...少しでも不安要素を取り除けるのならあいつの手も借りた方がいい≫



私の思考を先読みしたかのようなフゥ君の発言

確かに、そろそろあの子にも一度顔を見せに戻ってきてほしいと思っていたところだし



「うん、お願いしようかな」



≪わかった。ここから離れるが、今回みたいに傷作ってたらこの場所から引っ張り出すからな≫



あ、まだそのこと根に持ってたんだ

ふわっと一陣の風が吹いて、フゥ君は消えた




――――――――――――

―――――




月が雲で完全に隠れ、忽ちこの部屋は暗闇に包まれた

ベッドサイドのランプを付けることなく、仰向けに倒れる



枕に顔を埋め、目を閉じた

まだ起床までは時間がある



微睡の中で、私の睡眠を妨げる一つの思考



(嫌だ...こんなことを考えている自分が許せない)




私の考えた最悪の結末

だけれども、これは推測でしかない



まだ打ち明けるのはやめよう

これは、下手に口外して自身を奈落へ突き落す結果へと招きかねない



「南に行けば....会えるだろうか」



あの破天荒な魔女

ルーゼ姉さんに....




――――――――――

――――





「軟弱な体ですね、もう回復したからここにいるのでしょう?」



開始一番

私に皮肉をぶつけてきたのはご想像通りロードさん



今回の件、絶対私悪くないと思うんだ!

そう声高らかに言いたい



「ご迷惑お掛け致しました」


「精々これからの任務で足を引っ張らないようにしてくださいね」



ふんと鼻で笑うロードさん

しかし、任務とな?



「これから南へ行く。表向きは南と親睦を深めるための催しに過ぎない...が、実際は両国の情報確認だ。俺はここでこの国の潔白を相手方の南王に説明する。それと共に今回の事件の解明に全力で力を貸すと言うだろう」




潔白ねー、いくら説明しようとも今回の事件について非があるのはどこから見てもこの国だ



それこそ東王が自分から言ってくれればいいが、それは絶対にないだろう


(波乱の予感ね)



「そこで、護衛には俺直轄の部隊であるシドを中心に4人南へ連れて行く。お前もだ、ミア」



「は、い」



私も行くのですか

いや、確かにあちらへ行くことは構わないけれど陛下と一緒だと動きにくいかもしれない



そんな事を考えていたから言葉が詰まってしまった

4人編成ということは私とシド団長以外に二人いるのだろう



「ロードはここに残りいつも通り仕事を片づけておけ。シド、優秀な部下2人を繕えるんだ」


「「御意」」



そう言ってシド団長とロードさんは執務室から出ていってしまった


静かになった執務室で最初に言葉を発したのは陛下


「体はもう平気か」

「先日はお見苦しい姿をさらしてしまい申し訳ございません、すっかり元通りです」



答えた瞬間

陛下が喉を鳴らして笑ったのが聞こえた


普通笑うか?労わるくらいなら、最初からあんなことしないでほしいわ


「ハハハッ、いやお前案外初心うぶなんだな」


「―――陛下にはさして関係のないことだと思いますが」


「すまない、そんなに尖らせるな。俺はお前に助けられたんだ、感謝する」




無謀なことをした陛下の、謝罪と感謝を受け取った

もう過ぎてしまったことだしフゥ君には怒られたけど、傷だってもう治っている



「一国の王がそう易々と頭を下げてはなりませんよ」



私の言葉に陛下が小さく笑うのが分かった



「今回の南への訪問、お前には単独で動いて欲しい案件がある」


先程とは打って変わって、鋭い眼光が私を捕えた

その表情は一国の王としての怏々しき態度



「コルデリア家の現状を探れるか」



南の護り人であるコルデリア家、私が一番適任だと陛下が判断した

魔女という共通のワードがあるからだろう



一時は動けないと杞憂した面もあったが、殊の外上手くいきそうだ



「御意」


「いい返事だ、期待しているぞ」




そう言って陛下は私の頭を撫でる

大きい掌から伝わる優しさに、暖かさに言いようのない感情がほんのり胸をざわつかせた



二撫でして再び書類を手にし、席に着く

そして私は、定位置の扉横に立った



穏やか過ぎる空気に、だが私は嫌な予感を消せずにはいられなかった




うーん...どうだろう

次からは南へ向けて出発といったところでしょうか



今後の執筆については活動報告にて

ここまで読んでくださってありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ