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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第5章
113/151

血の滴り

一週間近く更新をしておりませんでした。

はい、夏休みを勝手にいただいておりました(・_・;)



軽い、本当に軽い流血とR描写を入れました

不快に思った方はブラウザバックお願いします


それではどうぞ


「兎にも角にも、一度南国へ赴かなければならないでしょうね....先に使者と間諜を送りますか。今回の件に魔女との関係性は無いでしょうし、北国とは違い慎重に行動すべきです」



ロードさんの言う通りだ

ニーナ嬢の私に対する恨みのようなものは、私達しか知らない



もしかしたら前回の北国同様、魔女と偽って何者かが裏で手を引いているのかもしれない



でも一応思惑としては東の王が関係しているとみている

迂闊に先程の私の部屋での話をするのは、あまりよくないだろう



陛下も納得したようにシド団長に指示を出していた



「このタイミングでアルファスの涙が使用されるとは思いもよらなかった...カザエル王、一体何を考えている」




カザエル王

東国の現国王



一時期は病弱の為表だって国政には参加してこなかった若き王


しかし本来は病弱など無縁の健康体で、自分の足で他国に赴き間諜紛いのこともやってのける王だ



聡明かつ天才

頭の回転に至っては多分この陛下をも凌ぐだろう



「彼は、解毒の方法をどこでしったのでしょうか」


「いいところに目を付けましたねミアさん。その点に関しても、我々が即急に対処しなければならない問題の一つです」




初めて会ったとき既に彼はその花篭にアルファスの涙を入れていた

その時点で私も気づくべきだったのだろうけど、あの時は彼が面白い人間だなとしか認識してなくてそこまで意識が向かなかったのだ



それにそのアルファスの涙は私の愛した華でもある

リーナ姉さんが愛した黄色い花同様、私に対しては無害だ



だから気にも留めなかったのかもしれない




「お前は、あの華の解毒方法を知っているか」



陛下は知っているはず

時の魔女を代表するのがアルファスの涙だと云う事を...



そのうえで私を試しているのだろう

時の魔女の分血であるならばその位は、と




(何度も言うようだけど、本人だからね)




思わず鼻で笑ってしまう

そんな私を見て、怪訝な表情を浮かべた陛下



「勿論、存じ上げております」




私の華だ

私が知らないでどうする




「ならば、どうするのか説明してもらおう」



私を試す様に笑う陛下

本当に嫌な性格をしている




陛下の台詞に驚いたのは隣にいたロードさん

それもそうだ、この方法はあの時のリーナ姉さんの時とはわけが違う




「ならば、ついてこい。再びあの部屋へ案内してやろう」



「陛下!!」



立ち上がり扉へと向かう陛下を引き止めたのはロードさん

その表情には焦りがある



だけれど陛下は足を止めない

そして私もロードさんをチラリと横目で見てそのまま陛下に着いて行った



扉が閉まる瞬間

ふと、振り返った


(なんて顔....してるのよ)



ロードさんがいつになく心配そうな表情で私を見ていた

多分、彼なりの優しさなのだろう...そう思った


―――――――――

―――



「まさか、本当に大人しくついてくるとは思わなかった」


そう言って例の部屋についた

一面に広がる銀世界



陛下は一人、その咲き乱れる華を背景に私を見る

絵になるとはこのことを言うのだろう



白銀に、陛下の金髪はよく映える



「解毒方法は知っていますから、何も不安要素がありません。故に陛下に着いて行ったのです」



「お前、段々と物言いが鋭くなってきているな...それが素面か」



探るような視線

これでも、礼儀全般防御十分で臨んできたけど少し崩れてしまった





「し、失礼いたしました」



繕った謝罪ではあるが、それ以上陛下は追及してこなかった




≪同じ香りですぞ≫

≪似て異なる姿よ....だが我等にはわかりましたぞ≫



フワリと精霊が空を舞った

このアルファスの涙に宿る大地の精霊だ



「俺にも時間が無いのでな――――ほら」



そう言って陛下はその華を手折った



「....手折った!?」



なんて馬鹿なんだこの人は

手折った本人が、真っ先に毒をくらうこの華



てっきり私が摘んでそのまま解毒するのかと思いきや、まさか陛下が摘んでしまうなんて




次の瞬間

一気にむせ返るほどの毒が部屋一体を覆い始めた



精霊もいつの間にかいなくなっている




(信じられないわ)



目の前の陛下は美しい一輪の華を私に向けている

が、その手は既に毒に侵され始めている



幸いにして指はまだ腐ってない

彼の内なる魔力が毒を押し返そうとしているのだろう、だがもう指の色は黒紫に変色している



私は咄嗟に自分の手首を、陛下の腰にさしてあった剣を抜き迷いなく斬った


いや、斬り落とすことまでは流石にはないが血が十分に流れるほど深く切った




私の行動に驚く陛下

まだ驚けるだけの余裕がある方が、驚きだ



そして剣を放り投げ、陛下の手から華を奪う

そもそも、私は時の魔女だ



華が私に攻撃をしてくるはずもなく、華は見事に静かになった

むしろ先程より大きく花開いていた



この現象は私の数少ない分血にも同じ現象が起きるだろう



その華をとりあえず髪にさし、平然と立っている様に....見せかけている馬鹿を睨みつけた



(無謀過ぎる!)


「――――――いっそ、朽ちてしまえば面白いのかもしれないねぇ」



だが私の心は正直だった

過去の改ざんがあったかもしれない、だが根底に残る負の感情は未だ私を離してはくれない



私の一言に陛下が凄む

殺気を放つだけで精一杯なのだろうか





「大した....物言いだ」


「先に無防備になったのは、陛下ですよ」



どんどん彼が毒に侵されていく

それを私は、ただ見守っていた



だが、しかし




「――――――ミアン・レティシェフォードという時の魔女に縛られし者に、命じ...よう。血をよこせ」




彼の口から出た....契約という縛り

この縛りは、最初に彼と私が出会ったときに交わした契約により発動された




そしてこの契約

魔女の分血の者にも有効だ、なぜならば分血でも魔女だからだ



魔女の血を制限するのが契約

私の場合は真名で縛られているが、そのまま時の魔女の縛りを受けている分血の人間にもこの命令は逆らえない




(これだから、契約は忌々しい)



「意地が悪い」


皮肉げに言葉を零しつつも、私は陛下の元へ足を進める

ニヤリと笑い更に私に追い打ちをかけてきた



「なっ!?」



近寄ってきた私の左腕を掴んで引き寄せた

まだ動けたのかと思う間もなく、その血で濡れた手首に生温かな感触が伝わった





「ちょっ....な、なにして!」


「るさい、黙ってろ」




それは、確かに彼の唇だった

引き寄せられた腕の中、私は動くことさえままならない



それだけ陛下の力は強かった



私の顔の横で手首の血を吸うかのような陛下は、まさに吸血鬼のようだ



「―――っ」



この男、変態か

そう思わざるを得ない行動を陛下はする



手首にぬるりとした感触

そして時折聞こえるぴちゃりという滴るような音



(こ...の、変態、な....舐めっ!?)


声も出ず意識が遠のきそうになる

現実逃避というやつだ、だが実際はそう簡単に意識は遠のかない



「あっ...ちょっ―――――ああっ!!」


痛い

でも、むず痒い




(変な!変な声が出た!!)



我に返り一層身をよじる

しかし、陛下は更に私を強く抱きしめる


「動くな、まだ治癒は終わっていない」


「そ、そんな方法が治癒魔法なわけないでしょう!!」



陛下の顔が近くにある

そして私の手首を、な、舐め、舐めている




(カオスだ)



悶えそうになる羞恥心から頑張って耐え、漸く左手首から温もりが消えた



一瞬の隙を見つけ離れようとするが、離れることは出来なかった


最悪なことに足が小鹿のように震えているのだ


それを知ってか知らずか、陛下はその微かに血で濡れた唇を私の耳元に寄せ...



「解毒方法も知っているし治った、確かにお前は時の魔女の分血で間違いないな」




クスリと陛下が笑うのが分かった

なんて、なんて辱めだ



これはあの鬼畜宰相にも劣らぬ辱めだ



「こんな、こんな確認の方法....認めてなる、もの....ですか」



遂に私の意識は深く沈んでいく

嗚呼、なんで今頃...すべてが終わった後にこうなるのか



羞恥に耐え切れず漸く私は意識を手放した








アルファスの涙の解毒方法は"時の魔女の血"

故に他の華より扱いが厳重で、とても危険




その血を患部に直接数滴垂らせば毒は抜ける


体に血が入ればいいのだ

無論、今回の陛下が口から直接摂取した行為についてもまた、一概に間違っているとは...いえない




と、いうことで久々更新

少し長くしてみました、ノリノリでした


陛下との絡みです、いかがでしたでしょう

描写が上手くかけなくて、申し訳ないです


臨場感を出せる様に努力は致しましたが、おかしな点が御座いましたら一言お願いします。


今回の話は単に陛下との絡みを書きたかったからなので、まだ東王の持ち運べた謎などはっきりしていませんが次で分かると思います。


軽く流血、またほんのりオブラートに包んだR‐14くらいの描写につきまして不愉快な気分にさせてしまったら申し訳ありません


ここまで読んでくださってありがとうございました

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