陛下の騎士その4
騎士シリーズやっと終わり
「ならばよい。おいシド」
私と陛下しかいないこの部屋のはずなのに陛下は少し声を張って誰かの名前を呼んだ
いや、実際には私たちのほかにもう一人
天上に気配があった
「ここに陛下」
シド、と呼ばれたその人は陛下の前に傅き寸分の狂いもない綺麗な礼をした
座る陛下に傅く姿はまるで忠犬のよう
(うまく気配を消していたね。魔女相手じゃ気配云々は意味がないけどー、あぁ陛下は別ね)
「紹介しよう、お前とともに俺を守る騎士団長のシドだ」
騎士様でしたかー
陛下の言葉でゆっくりと立ち上がり私のほうを向いた
これまた美形
「シド・レーニンだ」
でもその人の目からは優しさなんて私に向けられてはいなくて代わりに向けられたのは明らかなほど冷たい目だった
まるでお前なんて認めない
汚いものを見るかのような目
(ははん、陛下命って訳ね。陛下に媚を売る女なんて汚いだけの存在ーって感じ?)
別にいいけどー
「ミアと申します」
陛下に言われた通りミアと名乗る
理由なく真名を言う魔女はどこにもいないからね
浅く礼をした
「明日からお前はシドと共に俺を守ることになるだろう。今日は自由に歩いていい。散歩でもしながらこの王宮の構造を覚えろ...以上だ」
この人と陛下を守るねぇ
ちらりと横目で見ればガッツリ睨まれました
この人も怖いよー
そんな私たちの状況を知ってか知らぬか陛下は一人部屋から出て行った
え、これからどうしろと?
「ふん、お前のように非力にしか見えない奴が陛下を守るだと?精々足手まといにだけはなるな」
酷い言われようだー
見下したように私は睨まれる
「お前じゃありません、ミアです!」
「どうでもいい。魔女が見つかるまでの存在だろ?陛下に飽きられない様に媚びていればいい」
あう...どうでもいいって言われた
この人女の人に容赦ないよ絶対
(媚びるだってー、それも面白いんじゃない?)
楽しいことが好き
だからいっそ媚びてみようか
遊郭の女みたいに陛下に
「必要以上に話しかけるなよ」
そう言ってシドさんは部屋から出て行った
きっと陛下を追ったんだろう
話しかけるなって言われると話しかけたくなるもんじゃない?
「とりあえず私も散策しよーっと」
考えても仕方がない
そう思って部屋を後にした
シドさんが言った通り媚びよう
陛下に媚び諂って1年を過ごすものいいんじゃない
そう思いながら....
王道展開大好きだよ
でも王道一歩横道を書きたいんです私
だからミアンちゃん
ちょっとうざい女の子に変身します(たぶん)