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陛下の専属様  作者: 月詠 桔梗鑾
第5章
107/151

繋がる‐SIDEニーナ‐

ニーナ嬢視点です

では、どうぞ



私は、許さない

それがたとえ私達の頂点に君臨し、神と崇められる魔女だとしても...



「この手で、真実を掴んでみせますよ」



私の声が目の前の大きな大きな城の前、風に乗って小さく飛んで行った



―――――――――

―――



私の一族は、名誉ある魔女様の名を頂いた一族

始祖であるニコル様が南の魔女コルデロ様にお仕えして、私の先代ソレイユ様から受け継いだコルデリアの姓




紅蓮を意味するコルデロの華

その華の蕾を、コルデリアというところから取られたようだ



一族はその血を魔女の血と同等に考え尊きものとし、他者の血を一切排除した


....つまり、近親婚が繰り返されたと云う事だ

なので容姿も皆似たり寄ったり




たまに奇形の存在が生まれてくることもある

それは、その血が濃すぎる故の事だ、仕方がない



なにより魔力が他の人間より抜きん出ているのだ

それに耐えれるだけの体、子供のうちに壊れてしまう事がほとんどでみるみる私達の一族は数を減らしていった




それでも、変わることのない近親婚

いい加減目を覚ますべきだと言う者もいたがそれらは全て排除された


勿論、私もそいつらを排除するために手を貸した

何を馬鹿なことを、コルデロ様の名を頂戴してる身が、他者の血と交わってなるものか



幼いころ、母様の部屋に飾られていた美しい女性の肖像画を見たとき感じた



自分達は選ばれた人間なのだと



私よりもっと深く情熱的な紅をその流れる艶やかな髪に纏い、同じように燃えさかる炎を現した瞳...そこから覗く鋼の渦を巻く少しの銀がより美しさを際立たせていた




全身から紅を表現し、魅せる

なのに万遍の笑みで笑う彼女は幼さと大人の色気を十分にその絵から出していた




そして一族の長、ソレイユ様が私を選び

私は6代目のコルデリアを受け継いだ



受け継いで、数か月が過ぎようとしていたころ

夜更けに気配もなく私の部屋に侵入者が現れた




その日は、満月だった

月の光を背に、だがしかし逆光でその顔を見ることはかなわなかった



「堂々と、ここに来るとは...この屋敷の警備はそう易々と掻い潜れるものでは無いのですがね。名を名乗れ、無礼者!誰だ」



夜着で戦闘を始めることは危険だったが、私が声を荒げても誰もこの部屋に入ってこない様子から今目の前にいる存在が何かをしたのだと分かった以上戦うほかない




月の光が私の韓紅の瞳を一層輝かせる

しかし、その侵入者は突然笑い始めた



馬鹿にしている様に、声を立てて笑った

その姿に私は少なからず恐怖した



なぜこの状況で、目の前にいる得体のしれない存在が笑うのか


気味が悪かったのだ



だが次の瞬間

はらりと私の髪が舞った



(な....に?)


決して油断していたわけではなかった

これでも既に魔女様の護り人の6代目を拝しているのだから




けれど、そんな私でも動くことができなかった

目の前にいる侵入者は依然逆光で顔が分からない



分かることとと言えば、その笑い声から女だと推測することくらいだ



≪本当に、無知とは恐ろしいな....小娘、その真っ赤な血を大輪の華のように散らしたくなければ静かにお聞き≫



有無を言わせぬ圧する声

そっと、私は左の髪を触った


が、長かった髪は肩のあたりで無造作に切られていた



なんてことを...今までコルデロ様に近づくためにも長くのばしていた髪を...こいつは切った!



「貴様!許しませんよ」



私の感情が魔力となり、やがては炎となり揺らめき始めた

怯えろ、私との力の差を感じ傅け...この力は、南の魔女様を護るための最強の!!



意気込み正面を睨んだ

だが、私の力は一瞬にして掻き消された


「な、にをした」


唖然とするも、声に出せた事を私は誇るべきだ

理解ができない本当に一瞬の出来事のせいで、次の一言に対し正常な処理能力が機能しなかった



≪いいかい、私は優しいから今回は大目に見てあげる...だから静かにお聞き。貴方達の護るべき対象を陥れた犯人を私は知っている、今日はそれを名を受け継いだあんたに教えに来たのさ≫




ピタリと私の首筋に鈍色の剣が光る

それは、驚くほど透明感のある、海の様な剣




本能的に悟った

動けば、死ぬ...と




「――――なぜ、そのようなことを急に」



どうにか必死に脳を回転させ、得たワードを組み立てていく

そして導き出された、コルデロ様の眠りに関わる話



韓紅の双眼が見えない侵入者を睨みつけた

そこに、先程までの取り乱しは見られない



≪頭のいい子は嫌いじゃないよ。何、私も以前から隠蔽された事実に対して憤りを感じていてね...力のあるものに如何にかして欲しいと思っていたんだ。前任者の女では役不足、お前が適任だと私は判断した...だからお前に真実をゆだねようと思ったのさ≫



今が昼間ならば

この侵入者の声はさぞ美しく聞こえただろう



鳥の鳴く様な優しい音だ

だが、可愛らしい声とは裏腹に言っていることは可愛げなど一切ない



「貴女の方が数倍も力があると思うのですが...それに、そうならばこんな夜更けなどではなく堂々と入って来ればよいではないですか」



≪私はいろいろと制約を受けている身でね。そう簡単に動けないんだよ。それに、私はまだ完全ではないからね...一日と姿を保っていられないんだよ≫




意味深な内容を呟いた

それ以上言うつもりは無いらしい



それより...と話を進められた


≪知りたくはないのか、真実≫


「それを私が聞いてデメリットこそあるもののメリットはあるのですか」



私のデメリット

それは彼女から真実とやらを聞いて、私が動くという明確な仮定が出来上がると云う事



そもそも真実かどうかも分からないではないか

目の前の彼女こそ、今真実を突き止めるべき相手ではないのか...



しかしながらそれを口にすることは到底できなかった

何故かはわからない


≪そうだね....お前は、愛すべき主人の敵を討つことができる、復讐をすることができる≫


(コルデロ様の、仇を討つ...復讐できる)


甘い囁きだ

その時にはもう、目の前の侵入者の洗脳にかかり始めていたのかもしれない




そして満月の月が怪しく私の正常な脳を揺さぶるのだ





「誰、なのです?」




罠にはまってしまった

嬉しそうに笑って、侵入者は言う



≪今でも存在する生きた歴史の一人――――純血の時の魔女だ。知っているだろう、唯一眠りにつかなかった歴代最強の中央の魔女だ≫



「なっ...まさか同族を殺めたと言いたいのですか!?それは死罪に値するものですよ!」



憎々しくその侵入者は口にした

その名は時の魔女



唯一300年経っても生きているこの世界の柱



≪ふ、ははは!!死罪など怖くは無い!――――なあ、私を信じなさい。真実は、もう手の届くところにあるのだから≫



狂気的に笑うと思えば囁くような撫で声で話始めた

どこに信じる要素があるのか...冷静に考えてみれば、ありはしないのに



私はその侵入者の呪いにもとれる話術に嵌ってしまった



無意識に無残に切られた髪を撫でる

そして、私も呟く


「時の...魔女」



その声音には、侵入者と同じように憎悪にかられた音がのせられていた



はっと顔を上げればそこには既に誰もいなかった

月の光が部屋を照らす



夢かと思ったのに、それを現実にしたのは...無残に切られた私の髪の毛




そこから確かに私は狂い始めたのだ

真実に向かってひたすらに復讐を遂げようとする者に.....







その数年後、一通の手紙が届く

それは帝国からのものだった


以前より付き合いのあるあちらの王から直々によこされた手紙



其処には短く一文

――――教育して欲しい女が居る



昔なじみの縁のある人間からの願いだ

私はその足を帝国へと進めた



―――――――――

――



そして、帝国に入った瞬間

活気溢れる民が時折口にする自国の魔女の微笑ましいエピソードを幾度となく耳にした



"おや、旅人さんかい?ちょっと見ていきな!この果物は我らが中央の魔女様が好んで食した実なんだよ!"



"あれは何の紋章だって?あれはこの国の王家の紋章さ、時の魔女様を中心とした4人の魔女を表しているんだよ"



"この国は安泰さ、なんたって時の魔女様が守っている国だからな"




無知な民共め

真実は、歪だというのに...



睨みつけるように、そして何も聞かないように足早に王城へ向かう



大きな城の、その旗に...

銀色の羽を中心とした国旗が風に靡いていた



許さない....私は、許さない

それがたとえ私達の頂点に君臨し、神と崇められる時の....魔女でも...



私の歪んだ決意は、硬かった

不思議な声に導かれ私の復讐劇が始まるのだ

と、いうことで城に入るまでのニーナ嬢の視点

そしてミアンの逆鱗に触れていくのです...



ちょっと内容が薄かったでしょうか

心配です、それでも


ここまで読んでくださってありがとうございました

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