想人
サブタイトル、おもいびと、と読みます
皆様の支えがあってこの作品も5章という新章まで書き続けることができました
本当に感謝いたします
では、どうぞ
帝国歴1624年
魔女の逆鱗に触れた、帝国の王は以前より寵愛していた女性を王妃に据えた
それは、監視役を任されていた時の魔女も耳にしていた
凍える程の冷たい双眼が王と王妃を見据える
そして翌年...一人の子が誕生する
後の次期国王だ
人々は喜び、王を称え、王妃に感謝した
と、同時に....
世界は一つの節目を迎え暗黒の時代へと突入する
晩年、愚かな帝国の王は言ったそうだ
―――――この身が、再びこの世に生を受けることなど許されぬ
魂の一欠片も残らぬよう業火により焼却し、頑丈な箱にしまい、光が差し込むことのない暗い地の底に埋めよ
―――――――――――
―――――
一番最初に南の魔女が姿を消した
その先にある闇に気が触れたのだろうか、終止笑いながら眠りについたそうだ
だが南の護り人は言う
「彼の魔女様は、人間の為に泣いていた」
次に西の魔女が姿を消した
彼女を陥れる何かに怒り、鬼神のように振る舞い眠りについたそうだ
西の護り人は言う
「我が主は、人間の為に泣いていた」
さらに北の魔女が姿を消した
魔女の母たる彼女は、二人の末路を目にし哀れんで眠りについたそうだ
北の護り人は言う
「あの方は、人間の為に泣いていた」
そして東の魔女が姿を消した
笑顔が癒しを与えてくれる彼女は、魔女の最後の運命に嘆き眠りについたそうだ
東の護り人は言う
「魔女様は、人間の為に泣いていた」
護り人は皆口を揃えて言うのだ
「人間の為に泣いていた」...と
だが、魔女は違う
魔女達の最後の一言は一つの線となり繋がっていた
南の魔女は言う
「天邪鬼だけれど、人一倍他人の心に敏感なあの子を護って」
西の魔女は言う
「酷く大人びているけれど、とても甘えん坊なあの子を護って欲しい」
北の魔女は言う
「他人を寄せ付けない冷たい表情をしているけれど、誰より優しいあの子を護りなさい」
東の魔女は言う
「貴方達を蔑ろにしているように見えるけれど、本当は私達魔女の中で一番貴方達を愛しているあの子を...護り抜いて頂戴」
彼女たちの心残りは一人の少女
生まれて間もない幼い魔女
一年前に漸く姿を現した時を司る魔女
その姿、銀の鎧を身に纏い蒼銀の瞳で世を見定める時の番人と称される絶世の美女
魔女の証を他の4人より多く持つ歴代魔女最強の少女
そう、ミアン・レテェシェフォード...唯一彼女だけは、この暗黒の時代において生き残った最後の宝
一番最初に護り人を失い
一番最初に囚われ自由を失った
だが、時の魔女は愛されていた
誰より愛されていた
東の魔女が作り出した、竜の鱗を使って出来た剣の在処をミアンに教えた
北の魔女が作り出した、最下層の土と銅を使って出来た盾の在処をミアンに教えた
南の魔女が編み出した、業火の炎を持つ魔石を作りその在処をミアンに教えた
西の魔女が編み出した、純白に光る鋼の羽で作った鎧の在処をミアンに教えた
魔女が作り上げた膨大な魔力を纏う最強の遺品をミアンは手にした
剣はどんなものでも切り裂き
盾はどんな攻撃おも跳ね返す
魔石は国ひとつ落とせる炎を宿し
羽のように軽い鎧は決して壊れることは無い
想いが沢山詰まったその神の遺品をミアンは地方に封印する
一つは海の底
一つは大地の果て
一つは森の中
一つは鳥へと姿を変えて
帝国の王はそれらを欲した
しかし、ミアンは声を奪われ....自我は無く人形と化していた
帝国は隣国の東国と戦争を始める
帝国と一番国交が栄えていた両国の対立
東の国の王が残した日記には奇妙な内容が記されていた
―――信愛なる我が友、だが今のお前にだけは彼女は渡さない
想いは交差する
そして現世へと流れ着く
その想いはやがて未来を動かし
いつの日か形となって現れるだろう
想人は皆
ただ、誰かを愛していたに過ぎないのだ
とても不思議なOPになってしまいました
全然面白くない、と思った方もいるでしょう...が、OPなので勘弁してやってください、一応意味はあるのです←
皆様ももうお分かりの通り別にこのOPが5章のキーワードになるわけではありません(・_・;)
さらに、短いですね
まあそれもOPだということで許してやってください
質問等御座いましたらいつでもお待ちしております
いつも感想コメント本当にありがとうございます
ここまで読んでくださってありがとうございました