バレンタインの悲劇
前回の投稿日が1月26日でびっくりしました…
大変お久しぶりです。ごめんなさい。
今回はタイトルでネタバレしていますが、バレンタインです。それで良ければどうぞ。
これは1ヶ月前のこと…
その日、私はご機嫌だった。
理由は簡単。
屋敷の廊下を歩いていたら、五人が妙にそわそわしていたから。面白いことが起きるかもしれないし。
「……なに?」
誰に聞いても、全員目を逸らす。
「別に」
「なんでもない」
「気にするな」
「主人、今日は寒いですね」
怪しい。怪しすぎる!
すると、トリスが先に何かを差し出してきた。
小さな包み。
「ほら」
「……なにこれ」
「チョコ」
「え」
私は一瞬、思考が止まった。
そして次の瞬間、ぱっと顔が明るくなる。
お菓子貰った!ラッキー!
「え〜?本命ー?やったー!」
沈黙。
すごく静か。
「いや、違」「ありがとうございます」
エドガーが即座に言葉を被せた。
私はもう一つ包みを受け取る。
ロディから。
「えっ、待って」
「今日すごくない?」
「モテ期?モテ期キタ〜」
「違います」
フィシリアが冷静に言う。
でも私はもう止まらない。
「え、どうしよう」
「五人から?」
「ちょっと人気者すぎない?」
リオンが静かに視線を落とした。
トリスは笑っている。
エドガーは咳払い。
ロディは苦笑。
フィシリアは頭を押さえた。
「お嬢様」
「はい?」
「本日はバレンタインデーでございます」
「うん、え?」
「本来、女性が男性へ贈る日です」
「うん?」
私は首を傾げる。
「……つまり?」
少し間。
「逆です」
「……」
私は手元のチョコを見る。
「……逆チョコ?」
「そうなります」
沈黙。
数秒。
「え〜?本命じゃーん!やったー!」
「聞いてませんでしたか」
「聞いたけど?」
私はチョコを抱えて笑う。
「でも貰えるなら嬉しいじゃん!」
「……まあ、それはそうですね」
リオンが小さく笑った。
ロディも肩をすくめる。
トリスは言う。
「ほら、喜んでるし」
フィシリアが深いため息。
「想定通りです」
そして現在
ホワイトデー。
私はテーブルの前で腕を組んでいた。
「……」
思い出す。
チョコ。
五個。
めちゃくちゃ美味しかった。
そして今。
「今日は何の日だっけ」
沈黙。
五人の視線が一斉に集まる。
「……主人」
「うん?」
「本気で言ってますか」
私は首を傾げる。
「なんだっけ」
そして、はっとする。
「あ」
「……思い出しましたか」
私は机を叩いた。
「ホワイトデー!」
「今から準備する!」
五人が同時に言った。
「遅い」
そして、今のこと…
テーブルの上には、何もない。
その周りに、五人。そして、その前に私。
私は腕を組んで宣言した。
「でもー返さなくていいかなぁー!」
沈黙。
「だってさ」
私は指を折る。
「バレンタインって、本来は私が渡す日じゃん?」
「そうですね」
「でも今回は逆チョコだった」
「そうですね」
「つまり」
私は胸を張った。
「私は被害者」
「違います」
フィシリアが即答した。
トリスがニヤニヤしている。
「いいのか?」
「何が」
「お返し無しで」
私は腕を組んだまま言う。
「いいでしょ」
「もらった側だし」
「気持ちは受け取った」
「終わり!」
ロディが笑う。
「へぇ」
「なに」
「いや」
「そういうことにするなら」
少し間。
「俺のチョコ、どうだった?」
私は即答した。
「美味しかった」
「どのチョコより?」
私は止まる。
「……」
エドガーが静かに続ける。
「お嬢様」
「うん?なに?」
「私のものは」
「非常に丁寧に作られていたはずですが」
リオンが小さく言う。
「……僕は市販でしたが」
「香りの良いものを選びました」
トリスが言う。
「俺のは限定品」
フィシリアが腕を組む。
「私は配合を研究して作りました」
全員、こっちを見ている。
「……」
私はゆっくり立ち上がった。
「ちょっと待ってて」
厨房。
私は棚を開ける。
砂糖。
小麦粉。
チョコ。
バター。
全部ある。
「……作れるじゃん」
私は頭を抱えた。
「やだなぁ」
「作れるのに作らないの、悪い人みたいじゃん」
ボウルを取り出す。
「……しょうがない」
「一応、作るか」
一時間後。
厨房は、ちょっとした戦場になっていた。
「なんで五人分なんだよー!」
生地を混ぜる。
焼く。
切る。
味見。
「……あ、これ美味しい。うまぁ!」
もう一回味見。
「うん、美味しい」
三回目。
「……」
気づく。
「あっ…減ってる」
応接室。
私は皿を置いた。
「はい」
五人が覗き込む。
焼き菓子。
小さく切り分けられている。
「ホワイトデーのお返し!」
トリスが笑う。
「結局作ったんじゃん」
「うるさい」
ロディが一つ取る。
「……美味い」
リオンも一口。
「優しい味ですね」
エドガーはゆっくり頷く。
「お嬢様らしい」
フィシリアが分析する。
「配合が良い」
私は腕を組んだ。
「でしょ」
「……チョコ、美味しかったから」
小さく付け足す。
「ありがとう」
一瞬だけ、空気が静かになった。
トリスが言う。
「来年もやるか」
私は即答した。
「やらない!」
五人が笑った。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
投稿遅すぎてごめんなさい。
この約1ヶ月間、テストや、行事ごとなどで慌ただしくしていました。計画どうりにできない人です。
ごめんなさい。
逆バレンタイン。
今日は一応ホワイトデーですね。
言うことがありません…
ここまで読んでくださりありがとうございました。




