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無名の魔法をかけて  作者: 灰色うさぎ88
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救いと問い

今回はルナティナ視点です。それで良ければどうぞ。

長めです。


街の外れ。

ルナティナは足早に歩いていた。日が落ちかけた空は、薄紫と橙が溶け合っている。屋根の隙間からこぼれる光の筋が、どこか懐かしく見えた。


──魔法を使える子がまた一人、捕まってる。


そう聞いたのは今朝のことだった。

非合法な取引市場。金で命が売られる、あの場所で。

使い方を知らないだけだ。


「本当に、こういう場所は苦手!」

吐息まじりに呟き、フードを深く被る。勿論。姿も変えて。


だが、足は止まらなかった。


狭い路地を抜けた先、古びた倉庫が見える。

中では、鉄の檻に閉じ込められた少女がうずくまっていた。黒髪の髪、鈍く光る鎖。綺麗な瞳。


「君は?」


少女はゆっくりと顔を上げた。

「……買いに、来たの?」


その声は乾いていた。希望も、怒りもない。

ただ、空っぽの響きだけが残っている。


「そうだね」

ルナティナは静かに微笑んだ。

「あなたを買いに来た。自己満のため」


周囲の視線が動く。露骨な笑い声が上がった。

「坊ちゃん、何言ってんだ。こいつは呪い持ちだぜ?安くはねぇ」


「で、代金は?」

ルナティナの声は、低いが少しも揺れなかった。

その瞳には迷いがなく、男たちの笑みを凍らせるほど冷たくも優しい。


金貨の袋を差し出すと、空気が一瞬止まった。

取引の音が響く。鉄の鍵が開かれる音がした。


「てなことで、ありがとう、バイバーイ。お金返してね」

その一瞬で彼らは意識がなかった。


「行こう、ついてきたいのならついてきて、来たくないならそのままでいて」


ルナティナが手を差し伸べる。

少女はその手を見つめ、かすかに震えた唇で問う。


「……どうして、わたしなんかを」


「なんかじゃない」

ルナティナは微笑んだ。

「貴方は存在していい。ボクが選んだから」


ミレイナの瞳に、ゆっくりと涙が滲む。

「……ありがとう」


かわー!なんでこんな可愛い子が…

その言葉を聞いた時、ルナティナの胸の奥で、何かが小さく軋んだ。


「帰ろ」

夕日が傾き、街を黒に染まっていく。


「君は……魔法を使いたい?名前、なに?」


そう問いかけると、少女は小さく頷いた。

「……はい。名前はミレイナです」

「わかった。教える。ボクが。下の名前は?ない?じゃあ、今はローズでも名乗って」


「ボクはルナティナ・ローズ、なんとでも呼んで」


ミレイナが最初に来た時驚いてたな。

なんで姿が変わっているのですか?とかね。


そこから始まったふたりの時間は、ゆっくりで、けれど確かだった。炎を灯すことも、風を起こすことも、最初はうまくいかなかった。


ルナティナが言葉を尽くして教えても、ミレイナはただ両手を見つめて泣いた夜もあった。そんな時は


「焦らない。魔法は力じゃなくて、想いで動く」

「想いですか?」

ミレイナが震えた声で言う。

「うん。何のために灯したいのか、誰のために風を起こしたいのか。それがあなたが見つける鍵」


こうゆう時は頭を撫でる!私の考えを話す!笑わせる!これがルナティナ流の三代ルール!


何度も、何度も失敗して。

季節がいくつも過ぎたある日。


ルナティナが見守る中で、ミレイナの掌に、ひとすじの光が生まれた。それは震えるほど儚い炎だったけれど、

確かに――魔法だった。


「できた……!」

涙を零すミレイナを見て、ルナティナは微笑んだ。

「きた!ミレイナ、凄い!きっともっと強くなれるよ」


それから彼女は、師匠のように、姉のように、ミレイナを支え続けた。



街外れの夜。

ルナティナは身を低くして倉庫の裏手に立ち、手元の地図を確認する。


「ここ……」


小声でつぶやくと、隣に立つミレイナが小さくうなずいた。

「はい、ルナティナ様……私、頑張ります」


夜風に揺れるカーテンの隙間から、声が聞こえる。

泣き声と恐怖に震える声――でも、確かに生きている。


倉庫の扉は重く、古い鎖で固く閉ざされていた。

「私に任せて」


ルナティナが呟くと、鎖はとれた。


扉を押し開けると、薄暗い室内に家族がぎゅっと縮まっていた。


「お母さん!お父さん!」

ルナティナが駆け寄り、抱きしめる。


ミレイナも手を伸ばし、父母の手を取り、魔法で鎖を解く。

「怖かった……でももう大丈夫」

その声に、家族は安堵の涙を零す。


「……ミレイナ、凄いよ」

ルナティナは目を細め、少女の成長を感じる。

「ルナティナ様のおかげです……」

ミレイナは照れくさそうに微笑む。


ミレイナを屋敷に帰した後、ルナティナは懐から小さな札を取り出す。淡い光がふっと灯り、地面に細い円を描いた。


「これで、大丈夫」

彼女の声は誰にも届かないほど小さく、冷えた空気に溶けた。


ここは監視網の隙間。国の記録にも地図にも載らない、古い輸送路の先にある無名の倉庫。

誰も使わないようでいて、時折、取引人だけが足跡を残す。――つまり、誰も詮索しない場所。


ルナティナは周囲の気配を確認しながら、魔力の流れを一つひとつ封じていった。国は馬鹿だよねぇ!


数日後、ルナティナは街外れに小さな家を建てた。木の香りが漂い、窓からは柔らかな光が漏れる。勿論、ちょー頑丈な結界とか貼ってね。


「ここなら、安全に暮らせるはず」

ルナティナは笑みを浮かべ、鍵を手渡す。


ミレイナは光の魔法を試しながら、元気よく駆け回る。

「すごいです、ルナティナ様!私、ここでなら思いっきり魔法を使えます!」

「ふふ、良かったね。でも、あんまり壊さないでね」

ルナティナは笑いながら、少女の背中を撫でる。


こうして家族は安らぎを取り戻し、ミレイナも自分の力を試せる場所を手に入れた。


助け出したあの日から数日が経ち、ミレイナの顔にもようやく笑みが戻り始めていた。

けれど、その瞳の奥には、まだ小さな影が残っている。


「ねえ、ミレイナ」

ルナティナは小枝をくるくると回しながら、火の粉の散る先を見つめる。

「本当の名前、教えてくれる?」


ミレイナは驚いたように瞬きをした。

「本当の、名前?」


「うん。私はローズを名乗ったけど、それは仮の名。

ミレイナにも、きっと君だけの名前があるでしょ?」


沈黙が落ちる。

焚き火の音だけが、夜の空気をやさしく叩く。

ミレイナは少し唇を噛み、そして小さく呟いた。


「エール、です」

「え?」

「ミレイナ・エール。お母さんがつけてくれた名前。

誰かを支えられるようにって――そう言ってました」


ミレイナの瞳が少し潤む。焚き火がぱちりと弾ける。

その音に合わせるように、ルナティナは穏やかに言った。


「もう、ローズじゃないね。ミレイナ・エール

――世界がそう呼ぶ日まで、胸を張って歩いて」


その瞬間、ミレイナは初めて心の底から笑った。

そして、いつか自分の力で誰かを助ける夢を抱き、


少女は新たな旅立ちの日を迎える――


嫌だったな。自分でも、何時でもこの屋敷を出ていいし、何時でも帰ってきてもいいよと言ってるけどさ。


「……本当に行くの?」

「はい。私、この力を誰かのために使いたいんです。

ルナティナ様のように、人を救える魔法使いになりたいのです」


「なら、何時でも帰ってきてもいいから!頑張ってきてよ!」


ミレイナは目を潤ませながらも、まっすぐ前を向いた。そして、振り返らずに歩き出した。


あったなー。こうゆうこと。

別れるのは本当に嫌だったけどさ!なんで嫌だって?

泣いちゃうでしょうが!


ここまで読んでくださりありがとうございます。


過去編書くのは難しいっ。だいぶ難航してました。

頭使いました。こう思うと、ギャグ会って頭使いませんね。だいたい、ネタ思いついて、書けば終わりですから。ですけど過去編だと、どんな展開にするか考える。不自然にしないようにする、キャラの口調考える。

とか、(新キャラがいた場合)勿論、ギャグの方でも資料とか見ますけど。

結論、なんだかんだ過去編は大変です。


ハッピーエンドが多いですか?私、バッドエンド、そんな見たくないのですよね。バドエンでも良いんですけど、私は辛い展開書きたくないので。もしあるなら、私がテンション低い時かもしれません。

こんな作者話読んでくれてありがとうございます。


ここまで読んでくださりありがとうございました。

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