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無名の魔法をかけて  作者: 灰色うさぎ88
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どうして?

今回はカオスです。キャラ崩壊してます。

それで良ければどうぞ。


ある日のことだった。

屋敷の空気が、いつもと違う。

扉を開けた瞬間、僕は思わず硬直した。


「フィシリア!見てください。朝からお花に話しかけてるです」

そう嬉しそうに笑うのは──いつも厳格なエドガーさんだ。

しかも、ゆるい部屋着姿で、にこにこしながら水差しを持っている。おまけに花にまで「今日も綺麗ですね」なんて話しかけてる始末。


いや、怖い。僕は恐怖が勝った。

この人、いつもなら花瓶の位置が一ミリでもズレたら雷を落とすタイプだろ。


「フィシリア、朝はちゃんと食べましたか?寝起きでお腹空かせるなんて可哀想ですよ」

「え、え?えどがーさん?」

「ふふっ、フィシリアは、何をしても絵になりますね」


「………………」

僕は思わず目を覆った。

終わった……この屋敷、完全に終わった……!


頼むから、早く気づいてくれ、ルナティナ。

この屋敷、今めちゃくちゃなんだ。


おまけに、その横では、いつも穏やかなリオンさんが、窓際で叫んでいた。


「おい、フィシリア!お前、皿割っただろう。正直に言え!」

「俺、まだ何も触ってません」

「なら今から割るんだな!先に謝っとけ!」


これは、夢か幻か。夢であれ。

リオンが怒鳴るなんて、ずっと雨になるくらいありえない。


「リオン、落ち着いてくださ〜い」

なんか俺までおかしくなってきた?

「落ち着けだと?ふざけるな、フィシリア!」


完全に性格が反転している。もうツッコミが追いつかない。分析するまでもなく、屋敷全体が異常事態だ。


屋敷全体が、まるで水中世界に変わってしまったようだ。


──いや、ひとりだけ、正常がいた。

ルナティナだ。


「なんか今日はみんな元気だねぇ」

本人は気づいていない。


屋敷の空気が、なんとなくおかしかった。

朝起きてすぐ、私は首をかしげた。


「静かすぎる?」


普段なら朝からフィシリアの

「主人、朝食の準備が整いました」

という声が聞こえるのに、


今日は——

「おっそいなー、ルナティナ。まだ寝てんのか?」


ドアを開けると、やけにラフな格好のフィシリアが立っていた。シャツのボタンは三つほど開き、髪も寝癖のまま。目元は眠そうで、それでも口元は楽しげにゆるんでいる。


「……誰?」

「いやいや、俺だろ、フィシリア。ルナティナ~起きてよ、も~」

「主人って言ってくれないの!?」

「だってさ、そういうの堅苦しいし。名前で呼んでいい?」


ルナティナは五秒ほどフリーズ。

な、なんか……キャラ崩壊してる!?


そして、隣の部屋に向かったら、また、私の悲鳴が。


「エドガー!?な、なんでそんな格好をっ!?」

覗いてみると、エドガーはゆるい部屋着姿で、にこやかに紅茶を注いでいた。

いつもの冷たい眼差しではなく、

柔らかく――いや、甘すぎるほどの笑みを浮かべて。


「お嬢様、朝はちゃんと食べましたか?ダメですよ、寝起きで空腹なんて。全く、可愛い顔が台無しになりますよ?」


「は!?!?!?まぁ、ありがとう」

少し気持ち悪い。


「それに今日はお天気もいいですし、少し日光浴でもどうです?お嬢様の肌には陽がよく似合います」

「誰よ!?あんた!エドガーどこ行ったの!?後外は出たくない!」


その後ろではロディが肩をすくめながら、なぜか妙に冷たい笑みを浮かべていた。

「ふっ……お前たち、朝からうるさいな。静かにしてくれないか。僕は詩でも詠みたい気分なんだ」


「詩!?聞き間違えかーそんなわけ……!」


──そう、屋敷全員の性格が真逆になってしまったのだ。

優しいリオンは荒っぽく、

冷静なフィシリアはやる気ゼロのチャラ男、

厳格なエドガーは甘く、優しく、肯定的に、

穏やかなロディは文学系美青年に。


そして唯一、ルナティナだけがいつも通り。

「……これ、わたしがツッコミ役なの!?」


フィシリアが片目を閉じて指ハートを作る。

「おいでよ、ルナティナ~朝ごはん、俺が食べさせてあげる~?」

「遠慮しますっ!!!」


まず、最初のターゲットは──フィシリア。

いつもなら私に忠実で、どこまでも冷静な少年。

だけど、今は、ソファの背にもたれて足を組み、

チョコをつまみながらこう言った。


「ん~、戻す?別に今の俺で良くね?」

「よくないっ!!!」


ルナティナは思いきり机を叩いた。

「フィシリアがそんなだらけてたら屋敷が崩壊するよ!? エドガーだって……いや、あの状態はもう放っておこう」


ルナティナは深呼吸をして、冷静に説得を試みる。

「ね、ほら……主人って呼んでみて。いつものフィシリアに戻れるかもしれないし」

「ん?……ルナティナ」

「違うでしょ!」

「ルナティナちゃん♡」

「進化してる!?!?!?」


フィシリアはニコニコしながら、あえて近づく。

ルナティナはじりじりと後ずさり。


「近寄らないのっ、戻す前に私が壊れる!」

「じゃあ戻す方法、俺にもやらせて?」

「え、どうやって?」

「キスすれば戻るとか~?」

「黙れチャラフィシリア!!!」

はぁ、もういいや。次行こ。


次のターゲット:リオン。


ルナティナが深呼吸して廊下を歩く。

今度こそ、まともに話が通じますように……!

そう願って扉を開けた瞬間。


「おい、ルナティナ!!お前、靴揃え忘れてんだろ!!」

「うわっ!?!?」


玄関で腕を組んで仁王立ちするリオン。

優しく穏やかな笑顔はどこにもない。

代わりにあるのは、雷神のようなオーラ。


「な、なにその言い方!?」

「なにその言い方じゃねぇ!言われなくてもわかれ!!」


「理不尽!!!」

「言い訳すんな!!」

「してない!!!」

「うるさい!!!」

「喧嘩売ってる!?」


……会話にならない。


ルナティナは一歩下がり、冷静に整理する。

落ち着いて……いつもの優しいリオンさんを思い出そう。


「リオンさん。いつもルナティナさんって優しく呼んでくれるよね。ね、思い出して!」


「呼ばねぇよそんな照れくさい呼び方!」

「えっ!?じゃあ、どう呼ぶの!?」

「ルナ!!」

「短っ!」


「そっちのが気楽でいいだろ!」


「よくないわ!!!」

ルナティナの絶叫が屋敷に響く。


「戻って!!お願いだから戻って!!!」

「落ち着けよ、ルナ。声がでけぇ」

「誰のせいだよ!!」


もう完全に、逆ギレリオンである。

ルナティナは額に手を当てて、呟いた。


「……よし、フィシリアよりタチ悪い」


「おい、今なんか言ったか?」

「い、いいえ!?!?なにもっ!!!」


この戦いはまだ続きそうだ。


ここまで読んでくださりありがとうございます。


まだ続きます。

この話はフィシリア視点からルナティナ視点へと視点が切り替わっています。

しかも、フィシリアの方は段々と変化の様子が現れています。探してみてください。ルナティナは通常ですが。

こうゆう感じの話のネタが浮かんで、ストックがあります。


10月も終わりですね。体感早かったです。

後はトリック・オア・トリート!

これだけ言っときます。


ここまで読んでくださりありがとうございました。

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