お菓子ちょうだい!
今回はハロウィンなので、ハロウィンにちなんだ話です。それで良ければどうぞ!
地下の監視室。
薄暗い石壁の中、ろうそくの灯りがゆらゆらと揺れていた。
机の上ではフィシリアが書類を整え、静かな筆音だけが響いている。
そこへ――。
「フィシリア〜」
嫌な予感しかしない声が響く。
扉が開き、ルナティナが顔を出した。
目だけがきらきらしている。
「……主人、なぜここに」
「偶然見つけちゃった!」
「偶然で地下まで来ないでください」
フィシリアはため息をついたが、ルナティナは全く気にしない。むしろ、机の上を覗き込みながら、好奇心たっぷりに訊ねた。
「ねぇ、リオンさんは元気そう?」
「はい。現在も反省と監視を兼ねて、安静に過ごしています」
「ふーん……」
少しの間、ルナティナは腕を組んで考え込み――ぱっと顔を上げた。
「じゃあ、ハロウィン会!参加させちゃダメ?」
フィシリアの手が止まった。
「……冗談ですよね」
「本気だよ?」
ルナティナはにっこり笑った。
「せっかくだし、みんなで楽しみたいでしょ?彼、ちょっと反省しただけで地下とか可哀想だし!」
「ちょっとではありません」
「でも!魔法道具を使えば安全だよ!」
フィシリアは眉をひそめる。
「……どんな魔法道具ですか」
「えっと、昨日見つけた従属の腕輪。一応、暴走防止に使える!」
「自腹で購入されたあれですか」
「そう、それ!ちゃんと準備済み」
一瞬の沈黙。
フィシリアの指先が顎に添えられ、考える仕草をした。
「……理論上は安全ですが、責任は主人にあります」
「もちろん!責任?取る取る〜!」
フィシリアは額を押さえた。
「はぁ……また騒ぎになる予感しかしません」
ルナティナはそのまま軽く笑って、扉の方へ向き直る。
「じゃあ、決まり!フィシリア、みんなに伝えて。
後、私の部屋来てね!」
「はい、念のため確認しますが……みんなとは?」
「旅人とエドガーにも!許可取らないまた怒られる」
「……最初から取ってください」
ハロウィン会の前。
フィシリアがノックして入ってくる。
「主人、先ほどの件ですが…」
「フィシリア」
ルナティナは少しだけ間を置いて、話す。
「本当はね――あの人、私の兄なの」
フィシリアの瞳がかすかに揺れ、息をのむ。
「お兄様、で……ございますか?名前はなんですか?」
「うん。今は旅人って名乗ってるけど、
ほんとはロディ・ローズ。名前は知らないよね」
フィシリアは小さく頷く。
「言うの遅くなってごめん。フィシリア。でも、怖い顔しないで。せっかくハロウィンだし、笑っていこう?」
とルナティナは微笑む。
ハロウィン当日。
朝から屋敷は、いつもより少しだけ浮き立った空気に包まれていた。黒と紫のリボンが廊下を飾り、天井には小さな魔法ランタンが宙を漂っている。
香ばしいマフィンの匂いと、魔法で舞う光のかけら。
――まさにお祭りの朝だ。
広間の中央に立ったルナティナは、軽やかにマントを翻し、両手を広げて笑った。
「今日はハロウィンだね!」
使用人たちが足を止め、視線を向ける。
ルナティナはにこにこと言葉を続けた。
「今日は特別!屋敷のみんなは自由に過ごしていいよ!仕事はしないで。仮装しても、お菓子食べても、一人でのんびりしてもよし!寝るのもよし!あっ、寝れないか」
こんなにうるさいのだから寝れないかも…。
しかし、歓声と拍手が起き、空気が一気に明るくなる。
大丈夫そうだね。もっと拍手しても良いんだよ?
エドガーは控えめに頭を下げ、フィシリアは小さく微笑んだ。
お兄ちゃんは壁にもたれて苦笑い、リオンはどこか目を細めてその様子を見ていた。
――しかし。
彼らの視線の中で、ルナティナはこっそり手を振り、ひとりずつの耳元で小声で囁いて回る。
「ねぇ、みんな。内緒ね?」
まずお兄ちゃん。
「今日もありがと。でね、ちょっと遊びしよ。私を捕まえたら――願い、叶えてあげる!」
「また厄介な……まぁ面白そうだな」
次にフィシリア。
「いつも頑張ってくれてありがと。だから、今日だけ特別。私、逃げるね!」
「……嫌な予感しかしませんが」
エドガーの元では、少しだけ真面目な声で。
「いつもありがとう。いつも大変だから、息抜きにして」
「お嬢様、それが息抜きになると思っておられるのですか」
そして最後にリオン。
「ねぇ、リオンさんも。退屈してるでしょ? 捕まえたら、なんでも言っていいよ?」
「いいんですか?本気出しますよ」
ルナティナは両手を打ち鳴らし、声を上げた。
「ということでっ!開始〜!
ルールは簡単、制限時間は一時間、場所は屋敷内だけね!それじゃあ……3、2、1、ばいばーい!」
ぱんっと指を鳴らすと、床の下に魔法陣が光り、ルナティナの姿が一瞬にして掻き消える。
「お嬢様!!」
エドガーが叫び、ロディが頭を抱えた。
「……また始まったな」
「屋敷内って言ったぞ……フィシリア、結界張っとけ」
しかし、一方その頃。
屋敷の外。
ルナティナはこっそり屋根の上に身を潜めていた。
皆には悪いけど箒で空飛んで見たかったんだ。しかも、魔女服だし、マントもある。かっこいいじゃん。
「みんな屋敷の中探してる間に外ならバレないバレない」
少しして降りた。楽しー。また一つ夢が叶った。
ふと足元を見ると、小さな白い猫がちょこんと座っていた。
「にゃ?」
「かわ〜いい。撫ででいいかな?」
しゃがみこんで撫でるルナティナ。
猫は喉を鳴らして気持ちよさそうにしている。
「ゴロゴロ来ちゃー!やっぱりハロウィンって楽しいなぁ」
――そのとき。
「……外出禁止のはずですが?」
背後から、低く静かな声が響いた。
振り返ると、そこにはフィシリア。
薄闇の中、片手に魔法陣を灯し、冷ややかに立っていた。
あれ????
「え、えへへ……今のは、その……」
「言い訳の時間はありません。捕獲、完了です」
肩を掴まれ、ルナティナは観念したように笑う。
早いよ。こんな予定じゃなかったのに。
だって、開始から十分しか経ってないよ?おかしくない?
「うわー、捕まった」
「お嬢様、ルールを破った上に屋敷外です。罰は二倍ですね」
「……覚えてた?」
いい案かと思っての策だったのにー。
「ええ、もちろん」
ルナティナは小さく苦笑いしながら猫を抱え、月を見上げた。
「捕まる運命だったかぁ。これぞ運命か」
猫が「にゃあ」と鳴く。
「そう思う?」
ハロウィンの夜風の中、静かに幕を閉じた…?
ここまで読んでくださりありがとうございます。
ハロウィンじゃないって?投稿するの早い?
私的にはハロウィンなので気にしないでください。
毎年、何もせず終わる日でした。この小説内で満喫出来て良かったです。
途中で出てきた、従属の腕輪は対象者の行動制御ができる魔法道具だと思ってればいいです。
ここからは、作者の変な話です。見なくても大丈夫です。
他人と比べてしまうこと、皆さんもありますか?
今日、私もネガティブ思考になってしまいました。
「すごいなー、自分なんて」って思う経験、ありますよね。
でも、よく考えてみてください。自分にしかできないこと、自分だけの長所って必ずあるんです。
もし、「長所なんてない」と思ってしまったら、こう思いませんか?
「私は毎日、生きてるんだぞ!自分にはこんなにいいところがあるし、自分のことをこんなに語れる!すごい!」
私の場合、毎日こう思って生きています。
朝起きられた自分、偉くない?やらないよりマシだよね?感受性豊かだし、それを魅せてもいいんだよ?
おらー魅せてやる!過去に創った俳句一句!
日々に咲く いつかは枯れる 朝顔よ
失敗してしまったら?
まぁ、いっか。過ぎたことは戻れないし、次に活かせばいいじゃない。
もし「次がない」なら?それなら別のことをやろうよ。
他人と比べたことから、こんなに話が広がるんですよ?
すごくないですか?
(話すネタがなかったので、こうして広げてみました。)
…というわけで、変な話は以上です。
長文失礼しました。
ここまで読んでくださりありがとうございました。




