特別訓練
今回の話はタイトルにある通り特別な訓練を行う話です。
「明日から七日間休みはないよ」
主人が朝食を食べた後にそう言った。
「明日、私に着いてきて、学んだことを活かす時が来たよ」
次の日―――――――――――――――――――
主人に連れられて来た森は、昼でも薄暗く、何処までも続くように木が続いている。ここで何をするのだろう。
「今からすることはテストだよ」
「具体的にどんなことを?」
「今から、私は魔力を持つ道具を持ってこの森の何処かにいるから探して、捕まえてごらん。3秒動けなくしたら合格。ちなみに動くから、魔物とかは出ないけど食事とか寝る所とか用意してね。もし七日以内に見つけられなかったら、まだ走って休憩する生活をまだ続けるからね。七日経つか、見つけたら傍に戻って来るから。最後に、この紙渡しとくね、バイバイ」
主人の声は淡々としているが、どこか試すような響きがあった。僕はを主人を掴もうとしたが、次の瞬間にはもう居なかった。まぁ、簡単じゃなかった。主人と出かけた時、主人が何か買っていたが、この為だったか。
貰った紙を見てみる。
最初にやることリスト
1、拠点を作る。
2、水源を確保する。メモがある、いらないかもね
3、食事を確保する
4、見つける(何してもいいよ)
やることリストの通り1〜3をし終えたが疲れた。もう夜だったので今日は諦めることにした。自分で作った拠点で1日は終わった。
二日目
魔力探知を使って主人の居るところを探ってみた。 見つかった。追いかけてみる。だけど何度追いかけても、主人は逃げる。なので魔法を使って、見ることにした。
「そんなんじゃ捕まえられないよ」
煽られて、イラつく。絶対捕まえてやるし。
「感情任せじゃ駄目だよ」
その言葉が妙に耳に残った。
結局捕まえられなかった。寝てやる。次は作戦を立ててやる。
三日目の夕暮れ
疲れた。結局捕まえられない。作戦も立てたが通用しなかった。息は荒く、足は鉛のように重い。それでも、夕陽に照らされる木々の間を駆け抜ける。視界の端で、ふわりと揺れる白い魔力見えた。
あそこに居る。鼓動が一気に高鳴る。
こちらを振り返って直ぐに逃げて、また森の奥へと消えてった。足音は軽やかだが、耳を澄ませば呼吸が少し速くなっているのがわかる。
距離を詰めたつもりが、すぐ離された。
もう逃さない……そう思ったが、最後の一歩でかわされる。
「まだまだだね」
その夜は、月明かりの下で息が整うまで立ち尽くしていた。
四日目
森の地形を覚えて、足場の悪い場所や隠れやすい茂みを頭に叩き込む。この日は追い詰める動きが少しだけ早くなったが、それでも指先が触れる寸前に風のように抜けられた。
「いい目になったね」
喋る暇なんてない。
五日目
主人は逃げ切った。ただ、僕の足跡と息遣いを読まれることは減った。あと二日。必ず捕まえる。
六日目
狙いを一点に絞った。
この日は一度も声を掛けず、魔力の流れだけを追っていた。
夕暮れ、、不意打ちを狙い、そこを拘束魔法で捕まえる。だが失敗で終わった。信じられない反射速度で、主人は避け切った。
「……明日が最後だよ、フィリシア」
その声は、少しだけ息が荒かった。
七日目
この一週間で覚えた森の匂い、地形、風の流れの全てを頭に描く。魔力の持つ道具の色、光、形。ここにいる。咄嗟に隠れ様子を見る。木の影に身を潜め、正面からではなく斜め後ろから回り込む。もう一度不意打ちを狙う。それは主人のくせの振り返る瞬間。その瞬間に拘束魔法を使う。
「わっ!」
驚きの声を聞き。手で主人の服を掴む。逃れようとする力を、全身で押さえ込む。3秒経った。
「捕まえた」
言葉と同時に、主人は小さく笑った。
「合格」
息遣いと汗、七日間の攻防が、ようやく終わった。
読んでくださりありがとうございます。
今回はおまけはありません。変わりに作者の小話をしたいと思います。読みたい方はどうぞ。
•この小説は深夜に書いているので、深夜テンションで書いています。おかしな点などがあると思いますが気にしないでください。
•書いたきっかけ、夢に出てきて、面白いなと思ったのでそっからの発想です。まだ全然序章です。
•タイトル名について、発想としてはいくつかのアイデアを出して、このタイトルになりました。本編と全然関係ないですが、いずれ関係があるようになるかもしれませんね
•こんな所まで読んでくださりありがとうございました