いつも通り
今回はもちもん続きです。
良ければ読んでください。
カフェの窓際、夜の街灯が揺れる光がテーブルを照らしていた。向かいに座るロディは、グラスを軽く傾ける。
「で、感情を喰らう魔法、知ってる?」
「知るわけないじゃん」
ルナティナはため息をつきながら、紅茶のカップをくるくる回した。
「だが、実際に起きてるんだ。笑ってた人が、次の瞬間、何も感じなくなったみたいに無表情になるだとさ」
「へぇー」
「その返し方は興味がないやつだな」
ロディは苦笑して、グラスをテーブルに置いた。
「放っておけないだろ?」
「ほおっておけば?」
ルナティナは淡々と答え、窓の外に目を向けた。
「……お前らしいな」
ロディは小さく息を吐いた。
「でも、今回は違う。感情を喰うなんて、単なる噂話じゃ済まない」
「そう言われても、私には関係ないし」
ルナティナは肩をすくめ、カップを口に運ぶ。
「関係あるさ」
ロディが低く言った。その声音には、いつもの軽さがない。
「チェンジ——お前の魔法、あれも感情に干渉してるだろ」
ルナティナの手が、わずかに止まった。
「……それを言う?」
「悪い。でもな、似た原理かもしれない。だから協力してくれ。俺一人じゃ限界がある」
「やれやれ……そう言うと思った」
ルナティナは苦笑し、頬杖をついた。
「兄上って、ズルい。いつも頼み方がずるいんだよ」
ロディはわずかに目を逸らした。
「……ずるいって言うな。俺だって、頼りたい時くらいある」
「照れてる〜」
「照れてない」
「言葉と顔が真逆なんだけど」
ルナティナはくすくすと笑った。
ロディは軽く咳払いをして、話題を戻す。
「……で、調べるなら、まずは現場だ。被害が出てるのは東区の旧図書街だと聞いた」
「旧図書街かー。いいよ、行こう」
二人の影が、街灯の下で交わる。
ロディは横目で妹を見やり、微かに笑う。
「ありがとな、お転婆ちゃん」
「はいはい、どういたしまして。……でも、今度こそ屋根から落ちないでね」
ロディの笑い声が、夜風に混じって響いた。
「……主人?」
フィシリアは静かな廊下を歩きながら声をかける。
返事はない。部屋の扉を開けると、ベッドは整ったまま。
机の上には一枚のメモ。
『少し出かけてくる。心配しないで』
「……やはり、こうなると思いました」
フィシリアは微笑みながらも、瞳の奥にかすかな焦りを宿す。
そこにエドガーが現れた。
「お嬢様の気配がありません。まさか、また外出を?」
「少し出かけてくるだそうです」
フィシリアが手紙を差し出すと、エドガーは頭を抱えた。
「はぁ……また誰かが関係しているのでしょうね」
「……その可能性が高いです」
二人の間に、苦笑と諦めのため息が落ちた。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
一回ここで区切りとしました。
長くなりそうだったので。次回は本格的に調査が始まります。言うことある?ないので後書きは終わりです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。




