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無名の魔法をかけて  作者: 灰色うさぎ88
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早くない?

今回は面白くはないかも。長いです。

まだ続きますよ。

ある日のこと。


「……あれ?何処ここ?」

嘘と真実を添えて〜真相堂。なにこれ?変な名前の店だね。

「おやぁ〜?これはこれは、お久しぶりじゃないですか!運命のリピーター様っ!」


あの調子のいい声。

髪をくしゃっと撫で上げながら、トリスが姿を現した。


「ほんと変わらない」

ルナティナが苦笑すると、トリスは胸に手を当て、わざとらしくお辞儀をした。


「褒め言葉と受け取っておきますとも!

いやぁ〜またお会いできるとは。やはり縁ってやつですねぇ」


「縁っていうか…道間違えただけだけど?」

「それもまた運命の導き、です!」


ルナティナはため息をつきながら、店内を見渡す。

棚には前よりも商品が増えていた。

未来を写す水晶玉、夢の中でだけ出会える指輪

――そして、あの鏡も。


「あ、それ」

彼女が指差すと、トリスがにやりと笑う。


「おおっ!使われたんですねぇ!どうでしたか?」

「……」


トリスが口をへの字に曲げる。

「えぇ〜、そんなぁ。わたし、気になりますねぇ。誰の心の色を見たのか……おっと、これは無粋でした」

「嫌だね」


軽く笑い合う空気。

前より、少しだけ距離が近い。これは距離を取らないと。

なんかありそうー。


トリスは、ふと真顔になると棚の下から小箱を取り出した。

「実は、リピーターさま限定で……特別な品がありまして」


「そう、じゃあね」

「冷たいですねぇ。待ってくださいよぉ。ほら!これなんてどうです?」


箱の中に入っていたのは、小さなハッカクレンの形をしたペンダント。買ってもいいけど何かありそう。


「これは、想いの花。鏡とは違って、見たい気持ちじゃなく――見られている気持ちを映すんです」

「……え、なにそれ」

……やっぱり。見た目は良かったのにな。

「簡単に言いますと、あなたが誰かを思ったとき、その人がどう感じているかが光の色でわかる」


「へぇー、いらないからいいや」


ルナティナがそう言うと、トリスは一瞬固まり、

次の瞬間、胸に手を当てて大げさにのけぞった。


「おやおや〜!?なんと冷たいお言葉!この真相堂きっての人気商品をっ!」

「人気なら、私が買わなくても困らないでしょ」

「ぬぅぅ……!理屈では返せない正論っ!」


トリスはくるくるとペンダントを指で回しながら、目を細める。

「でもねぇ、お嬢さん。このペンダントは選ばれた人にだけ、本当の色を見せるんですよぉ」


「またそういうこと言って……」


「いえいえいえ!本当ですとも!信じる信じないは、あなたの心次第」


軽く指を鳴らすと、空気がふっと柔らかくなった。

花の香りが漂い、ルナティナの視線が自然とペンダントに引き寄せられる。


「なんか、綺麗かも」

「で・す・よ・ねぇ〜〜〜!」


その一瞬のうちに、トリスは笑顔で包みを差し出していた。

「お買い上げありがとうございます!本日限りの特別価格〜!」


「え?」

ルナティナの手の中には、いつの間にか小さな袋。

「……買った、の?」

「もちろんですとも。魔法のような買い物でしたねぇ」


ルナティナは眉をひそめる。

「魔法でもかけた?買ったなら、効果なくせない?」

「まっさかぁ〜。わたしは誠実を商う男ですから。返品は受け付けてません〜」

「誠実……?」


ため息をつくルナティナ。

「ふふふ、真実はいつだって怖いものでしょう?それでは」


トリスの声が、ふっと低くなった。

冗談めいた笑顔の裏に、ほんの少しの寂しさ。

反射的に言葉が出てしまった。


「ねぇ、あなたは、そうやって誰かの気持ちばかり売ってるよね、自分の心は、誰が見てくれるの?」


一瞬、沈黙。

そしてトリスは、いつもの調子で笑った。


「おっとぉ、それを聞くのは反則ですよ?お得意様」

「……」


外の風が鈴を鳴らす。

ルナティナはペンダントを受け取り、扉へと向かう。


「……次、来るかも」

「ぜひぜひ!お待ちしておりますとも!」

「ただし、また変なもの売らないでよ」

「うわぁ、それは商人の死ですってぇ!」


ルナティナは店を出た。

扉が閉まる瞬間、トリスの声が小さく届いた。


「……真実は、まだ途中ですよ。お嬢さん」


夜、屋敷。

静まり返った廊下を、ルナティナはゆっくり歩いていた。

手の中には、小さな包み。そこからかすかに、金属と花の香りが混ざったような匂いが漂っている。


「本当に、買っちゃったんだ」

玄関を出てから今まで、何度もそう呟いている。

気づけばお金を払っていて、トリスが満面の笑みで見送っていたのだ。


あの男、絶対なにかした。……でも、まぁいっか。


ルナティナはそう言って小さく笑い、包みを開く。

中には、八枚の花弁を持つハッカクレンの形をしたペンダント。中心には淡い蒼い宝石が埋め込まれていて、夜明けの星みたいに光を返していた。


「綺麗、見た目だけはいいのにな〜」


手に取ると、冷たい金属の感触とともに、胸の奥がふわりと揺れる。

同時に、どこかで誰かの声がしたような気がした。

――ルナティナ様。

優しい低音。少し、寂しげ。


「エドガー?」

ルナティナは首を傾げた。けれど次の瞬間、足音が近づいてくる。


「お嬢様?お戻りでしたか」

いつもの落ち着いた仕草。


「外は冷えていましたでしょう。温かい紅茶を――」


エドガーの言葉が止まる。

ルナティナの手元のペンダントが、ふっと蒼く光った。


「……?」

ルナティナは無意識にペンダントを隠す。バレないし、誤魔化せばいいか。

「ちょっと買い物しただけだし、綺麗だったから買っただけだし」

「そうですか。しかし……その装飾は……」


その瞬間、ペンダントの蒼が濃くなる。

「今、なんか光った?」

「……私ではありません」


ルナティナはペンダントを見つめ、呟く。

「なんかあれらしいよー暗いなと思ったら光るらしい」

平然と嘘をつく。

「それは……危険かもしれません」

「そう思う?でも、なんか面白そうじゃない?」


エドガーが何か言おうとしたその時、

階段の方からフィシリアの声が響いた。


「主人、それは新しいアクセサリーですか?」


ペンダントが――今度は淡い金色に光る。


「悪くない買い物だったかも」

「……お嬢様。軽率な判断は――」

「はいはい、説教は明日聞く」


ここまで読んでくださりありがとうございます。


次回は笑えるかも知れませんね。急にすんっとルナティナが冷静に、私自身が落ち着いちゃたのかな?

書くことなし。


ここまで読んでくださりありがとうございました。


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