芸術の秋
今回は前回の数日後の話です。
良ければ読んでください。
秋になり、買い物から帰り、
数日間、ルナティナは絵を描き続けていた。
窓辺で、ルナティナは筆を置き、息を整える。
深夜に長く続いた制作の時間。眠くなったこともある。
1枚は、光の色が溢れる夏の屋敷の庭。
ひまわりと噴水、空には真っ白な雲。
そこには楽しげな風が流れていた。
もう1枚は、静かな夜の街並み。
星の瞬きが淡く水面に落ち、ランプの灯が遠くを照らす。
どこか孤独で、それでも温かい色だった。
「我なりに上出来」
筆を洗いながら、ルナティナは満足そうに微笑む。
「主人、何をなさっていたのですか?」
フィシリアが顔を覗かせた瞬間、ルナティナは慌てて絵を隠した。
「今は秘密」
「秘密?では楽しみにしていますね」
次の日の夕方。
庭に出ていたフィシリアを呼び止め、ルナティナは一枚の包みを差し出した。
「はい、これあげるよ」
「……僕にですか?」
絵の中には、笑い声が聞こえてきそうな夏の風景。
あの日、屋敷で過ごした夏そのものが描かれていた。
「これは好きな景色ですね」
「うん、そうだよね。フィシリアが窓辺でよく見てたから」
「よく分かりましたね」
その言葉に、彼はそっと笑みをこぼす。
「本当に……温かいです。ありがとうございます」
ルナティナは「でしょ?」と笑った。
夜。
月明かりの下、ルナティナは今度は執務室の扉を叩いた。
「入っても?」
「どうぞ、お嬢様」
机の上には整った書類。
その前で紅茶を淹れていたエドガーが、静かに立ち上がる。
「これあげる」
「……私に?」
包みを開けた瞬間、エドガーの瞳がわずかに動く。
そこには、夜の街の灯りが描かれていた。
月と星、そしてひとつの窓だけに灯る小さな光。
「夜を描いたのですか」
「うん。なんとなく」
「ほう」
エドガーは絵をしばらく見つめて、静かに息をついた。
「これは……どこか、寂しさを含んでいますね」
「でも、ちゃんと灯りがあるよ。
見て、暗いけど――あの窓だけ、明るい」
「エドガーは、暗闇にいても、灯りを消さない人だから」
エドガーの表情が、一瞬だけ和らぐ。
「……お嬢様は、人の心を描くのが上手ですね」
「そう?」
「はい。少なくとも、私の居場所を描かれてしまいました」
ルナティナは笑って、首を傾げた。
「それなら嬉しい」
絵を受け取る手が、ほんの少しだけ震えているのを、
彼女は見て見ぬふりをした。
その夜、屋敷の廊下。
フィシリアの部屋には夏の絵が飾られ、
エドガーの部屋には夜の街が灯る。
二つの絵は、まるで屋敷全体に
小さな温もりを広げるように輝いていた。
そしてルナティナは、窓辺に座りながら呟く。
「……秋って、いいね。描くものがいっぱい」
窓の外には、静かな星空が広がっていた。綺麗。
私用の絵もいるかな?
ここまで読んでくださりありがとうございます。
買い物行っていたのでこんな時間に、
あと2話ぐらい投稿するといいましたが、今日の内は1話しか無理そうですね。明日かな。もう話すことないし。
ここで終わりです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。




