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無名の魔法をかけて  作者: 灰色うさぎ88
11/84

正体

ノワールが現れてから1週間後の話です!

少し、地表現があります。嫌な方はブラウザバッグしてください。


ノワールが現れて1週間が経った。ある日、僕達は森の奥にひっそりと開けた小さな草地に来ていた。

勿論、魔法の訓練をする為にだ。特に威力を強化するらしい。

主人は、ちゃんと(・・・・)エドガーさんに連絡したらしい。



「もう一回。さっきより風を溜めて放って。」


僕は小さく息を整え、右手に風の魔力を集めた。


先程より良くなった。

ルナティナは僅かに目を細めて頷いた。


「いいね、形が崩れる前に――」


その瞬間、風がザッと逆巻いた。

森の奥から、たくさんの歩く靴の音。

僕は思わず振り向き、風刃が手の中で揺らぐ。


「主人……誰かが」


「……来る。三、四……八人。エドガー」


主人は剣を構えながら、ベルを鳴らす。

遠くの枝葉を揺らしながら、影がこちらへと近づいてくる。


来た。

そこには沢山の兵達が居た。……兵が襲ってきた。

僕は魔法を使った。倒せたが、主人は?急いで向かわなければ、主人も危ない。そんな事を考えながら主人を見つけた。


主人と兵が戦っている。


「何が目的?」


返事の代わりに、兵達の一人が言葉を吐き捨てた。


「そいつを回収する――それが命令だ。」


その言葉が理解するより早く、魔法が主人に放たれた。

僕は咄嗟に風で弾道を逸らす。良かった、当たらなかった。

だけど僕は今気づいた。


もう一つ、主人の頭上から火弾がある。咄嗟に叫ぶ。

「主人、上!」


――その瞬間、

「ガッ」と何かが風を切り裂き、火弾が真横に弾かれた。


「……やれやれ。訓練の邪魔をするなんて、マナーがなってないですね」


涼やかな声が響いた。黒色の髪を揺らしながら、悠然と立つ男の姿──エドガー・アシュフォード。


「遅れて申し訳ありません、お嬢様」


兵の一人が呻き声を上げながら後方に吹き飛ばされた。


「……っ!?」


何が起きたか、僕には見えなかった。が、主人は静かに目を細めて呟く。


「雷華、かな?」


「そうでございます。弱い魔法程度なら、迎撃は容易いですね」


エドガーは目線だけを兵たちに向け、軽く指先を鳴らした。


空気の中の魔力がピリ、と震える。枝葉が小刻みに揺れ、上空で雷光が散った。


「なに、やってるんだ……!撃て!撃ちまくれ!」


兵たちは踵を踏み込んで一斉に攻撃魔法を放つ。しかし、黒い雷に弾かれていく。


「フィリシア、風を使って左側を抑えて。あとは――」


夜蓮のスキルの詠唱を口にし始めた。


『――晨闇に咲く夜蓮よ、その刃を此処に降ろせ』


淡い闇色の蓮弁が宙に散り、そのまま弧を描いて兵たちへ向かった。


僕は右手を突き出し、風刃を連続で放った。斬撃が木々の間を抜け、敵の前に風壁を作る。これで、逃げられない。


「くっ、バリア魔法か……!」


大分倒れた。


しかし、まだ魔力をまとった者が一人、こちらに杖を向けていた。


「そいつだけは……絶対に回収しろ!」


「させません」


エドガーが、静かに剣を振り下ろす。


小さな雷の花が咲き、次の瞬間、鋭い雷光が一直線に走った。次見た時にはまるで、花火が落ちる様に赤く散った。


「終わりです」


淡々とした声と共に、森の奥の靄が薄れていく。



気づけば、その場に立てている敵はいなかった。全員が動けないまま地面に伏せている。


息を切らしながら僕は主人の方へと駆け寄る。


「しゅ、主人……大丈夫?」


「うん、大丈夫。フィリシア、よくやった」

主人は微笑んだ。


「大丈夫なら、良かったです。……さて」


エドガーはいかにも面倒そうに、丁寧に剣を振り、片手で持ち直した。


「状況は理解しました。魔導騎士団ですね。これほど急に動くとは……。さて、彼らがなぜ“フィリシア”を狙っているのか、詳しく聞かせてもらってもいいでしょうか」


「……もう誤魔化せない」


ルナティナは小さく息を吐き、目を伏せた。


「フィリシアのブレスレットから推測できるよ。まぁ、こいつらの頭を覗いてもいいけど」


不吉とも、優しさともつかない視線が僕に注がれる。

鼓動が、痛いほどに鳴った。

ここまで読んでくださりありがとうございます。


予告しときます。次の話ではフィリシアの正体が分かります。説明することは無いので、これだけ言っときます。


ここまで読んでくださりありがとうございました。

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