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小噺 恭子と少年
椿ちゃんたちを家に送り届けた後の恭子さんの話です。
「ふぅ……生きた心地がしなかった」
冷や汗がとまらない
何なのよあの子。あの霊力、神クラスのものを感じる。
戦って勝てるだろうか……無理だ、仮に勝てたとしても確実に椿も巻き添えになる。
だけど、手遅れになる前に…力を付ける前に祓うしかないーー。
そう思った時、バックミラーに付けていたキーホルダーが不自然に揺れた気がした。
もう20年も前のキャラクター。最愛だった娘からのプレゼント。
「……そうね」
霊の存在は許せない。
けど、レイに関してはかつての自分の怠慢が招いたという負い目もある。
それに、肉体はまだ生きている、ということになってる。
「……何より、娘の大切な人、だものね」
自分の理念に反することになるが……それでも、今は見守ろう。
例え、いずれ祓うことになろうとも。
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