第36話 少年と人間
「きらリン☆ キラキラチャンネルー! 今日は昨日の配信で紹介して貰った、とある方の除霊をしていきたいと思いますっ☆」
宿泊しているホテルの数駅ほど隣。
そこが今日の目的地だった。
「たまたま近くでよかったわ。他にも教えて貰ったけど、ごめんなさいね」
「そうだねっ。困っている人がいるんだから、そっちが優先っ!」
<TOR:優しいね>
<怖い話スキー:えと……本当にたまたま?>
「そうだと思いますっ! 情報提供者の方も動画出演してくれるみたいなので……」
<怖い話スキー:それなら……>
<ぴょんはピョンピョンだぴょん:レイぴょん、何かあってもしっかり守れぴょん>
「もちろん! つーちゃんとキラちゃんは僕が守るよっ!」
<ギギギギギギギ:出た、イケメンに言われたいセリフ>
<イマスグモドレーヌ:美少年にでも言われた過ぎるわ>
「ではではっ! さっそく待ち合わせ場所に行きましょうっ!」
「確かそこの喫茶店で待ち合わせをしているのよね」
駅から少し離れた場所、そこにある喫茶店。
確か、1番奥の席を予約してるんだっけ。
「すみませ~ん――」
「あぁ、いらっしゃい。もしかしてきらリンさんかな?」
「あっ! そうです~!」
喫茶店のマスターらしき人が出て来て対応してくれる。
<柿ピー大好き:おしゃれな喫茶店ね>
<怖い話スキー:結構人もいるし、安心かな?>
店内は少し暗いけど、花とかがたくさん飾ってあっておっしゃれ―、な感じ。
何人かのお客さんもいるみたいだけど奥の席は気を利かしてくれたのか、周りには誰もいない。
「さて、約束の時間まであと――」
「お待たせしました!」
やってきたのは20代くらいのお兄さん。
さすがに顔は映したくない、ということでマスクをしてる。
「あ、どもどもっ! 『キャラメルラテ』さんですよねっ?」
「はいっ! すみません、可愛い名前なのにこんなムサイ男で……」
<TOR:キャラメルラテ、さん?>
<ギギギギギギギ:新参者かっ!? 俺もか>
「いやいや、関係ないですよっ! それで今回は頂いた件ですが――」
「はい、俺の妹なんですけど……数年前から霊に祟られたみたいで……」
そう言ってスマホの写真を見せてくれるお兄さん。
確かに、顔色がすごく悪い。けど――。
「霊力は感じないね」
「以前友人と……あ、元カレみたいなんすけどねっ! 肝試しに行ったみたいで――」
あ、この人僕が見えていないタイプの人かな。
残念。
「そうですか。失礼ですが、写真からは霊力は感じられませんが……?」
「――っ、あ、あぁ。その写真は――祟られる前のものでして。今はもっとひどい顔なもんで……」
……それもそっか。
<週休7日制導入しました:写真うpはよ>
<紳士的なお兄さん:妹ってだけでこう、摂取できる栄養があるよね>
「そうですか、失礼しました。では早速その子がいるところにご案内してくれますか?」
「――っ! はいっ! ありがとうございますっ!」
お兄さんが本当に嬉しそうにしてくれる。
妹さんのことを大事に想ってるんだねっ!
僕も……何だかさくらに会いたくなってきたな……。
妹だけから貰える栄養があるって言ってたし、ちょっとだけ頼んでみようかな……。
「へへっ! 妹さんは絶対に元気になれますよっ! ね、レイくんっ!」
「うんっ! 頑張るよっ! 僕にも妹がいるから、気持ちわかるしっ!」
絶対! 悪い幽霊は、僕がやっつけるから!
<イマスグモドレーヌ:義妹さんはご健在なのかな?>
<きらリン推し:既に義妹になってる……>
「実は、この喫茶店のマスターとは知り合いで……地下に部屋を借りてるんです。そこに妹はいます」
「そうなんですかっ?」
「ええ。一刻も早く妹を見てもらいたくて……無茶言っちゃいました!」
笑いながら頭をかくお兄さん。
何て妹思いの人なんだ……!
「さぁ、こちらに……」
そう言って地下への入口に向かっていく僕たち。
そこで僕は――。
時に霊よりも人間の方が怖いということを思い知らされる。
お読みくださりありがとうございます!
数話ほどシリアス展開というか胸糞展開が続きます。
もう1つ小説を投稿しています。異世界転生モノです。
そちらもよかったらぜひお願いします!




