第13話 少年と配信者活動
「私メリーさん。今、あなたの家の前にいるの」
「ぼくはレイ! 今、きみの後ろにいるよっ!」
「へっ? きゃぁぁぁ!?」
自分の中の力を、玉みたいにしてなげつける。
するとメリーちゃんがもやもやになって……とってもおいしーっ!
<仏教徒ゴリラ:o! yattana!>
<紳士的なお兄さん:幼女の断末魔! これは捗る!>
<ぴょんはピョンピョンだぴょん:名前付きを倒すとは……ヤバいぴょん>
「除霊完了! メリーさんもキラキラしてたねっ☆」
「えぇ。それじゃあみなさん――」
「次もキラキラしようねーっ! キラッ☆」
<TOR:おつ!>
<きらリン推し:キラッ☆>
<aaaa:それ、俺らも除霊されるってことじゃね……?>
「ふぅ」
「ふふ、お疲れ様、レイくん」
力をつかうと少しだけつかれる。
けど、これもひつようなことなんだって。
どうしてこうなったかというと、この前のことなんだけど――。
▽▽▽
「問題が発覚したわ」
ここはきょう子さんの仕事場。
つばきちゃんといっしょによばれてきた。
きょう子さんは……ちょっとだけこわい。
「問題?」
「レイくんの魂が、このままじゃ悪霊になってしまうかもしれない」
悪りょう?
「そんな……どうして?」
「恐らく、魂の修復に使われた蛇神の影響でしょうね」
「へび……」
どうしてもヘビってきくと、あの時のことを思い出す。
こわかったなぁーっ!
でもつばきちゃんが元気でよかったよ!
「……どうしていちゃつくのかしら?」
「はっ、ごめんなさい。ついあの時のことを思い出して。それで、どうすればいいのかしら」
「はぁ……多分、としか言いようがないけど……」
「……」
「……除霊の配信を続けてみるといいかもね」
配しん……つばきちゃんときらちゃんがやっていたアレ。
ぼくもさつえいしたことあるよ!
「配信を? どうしてかしら?」
「霊ってのはね、生前の強い思いによって残された肉体なき存在。まぁ、つまりはそれ以外に現世との繋がりが薄い分案外脆くってね」
ふぅん?
「要は、他人の評判や噂で善くも悪くもその性質が影響され得るということ」
「ほん?」
「ふぅん」
ふぅん。
「だから! レイくんがいいやつだとたくさんの人に思われれば悪霊にはならないってこと!」
他にも、ことだまだとか、プラシーボだとかよくわからない言葉を続けるきょう子さん。
「レイくんは元からいい子だけれど……まぁ霊の性質なんて話、私にはわからないから言う通りにしてみようかしら」
ぼくも、わかんなぁい!
「……いい幽霊なんて存在しないわ。いえそもそも善と悪ってのは――」
それからまたむずかしいことを話し出すきょう子さん。
「……輝蘭羅さんにお願いして、また除霊配信ができるようにすればいいかしら」
「キラちゃん! あのどうがおもしろかったよ! たしかメントスをコーラに入れてね――」
「今時あんなの誰もみないわ。視聴数も2桁だったみたいだし」
そんなぁ……おもしろかったのに……。
「それだけ動画のネタに困ってるってことね。それならきっと、大丈夫ね」
「ぼくもコーラの中に入るってこと!?」
そんなわけないだろうけど……ちょっと楽しそう!
「コーラなんかより、私の中に入っておいで」
「……う、うん」
つばきちゃんの中はあたたかいというか、ホッとするというか……。
でもちょっとだけ、ムズムズする……。
「……どうして人が、人間の善と悪とその変遷について語っているのに悶えているのかしら?」
「はぁん……はっ!? い、いえ、素敵な話だなって……」
お読みくださりありがとうございます!
私ぽむぽむ、今あなたの横にいるの……。
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