第1話 少女と肝試し
初投稿です、よろしくお願いします!
誤字脱字報告や感想等頂けると嬉しいです。
一応ホラーとしていますが、ホラーを題材にしたファンタジーという内容です。
怖くないです。
ファンタジー、何でもあり感。
第1章は少女の視点となります。
よろしくお願いします!
「七原さん! ちょっといい!?」
学校の授業が終わり、校舎を出ようとしたところで声を掛けられた。
「あなたは……えっと、江ノ島さん、だったかしら」
「そうそう、ってゆか! 同じクラスになってもうすぐ1か月なんだから覚えてよ!」
高校2年目にして初めて同じクラスになった江ノ島さん。
江ノ島さんはクラス内でとても目立つ、明るい女の子。
休み時間にお友達と楽しそうに騒いでいるのをよく見かける。
とは言え自分と関わることはほとんどなかった。
「ごめんなさいね。それで、何か用かしら」
しかしそんなことはどうでもいい。
早く会話を済ませて準備に向かいたいのだから。
「あ……えっと、ね! そのぉ~……」
横で結った茶色い髪を揺らしながら、何やら言いにくそうに目を伏せる彼女。
「(……まつ毛、長いわね)」
整った顔立ちに薄く施されたメイク。
どこかキラキラしているように感じられる、いかにも女の子って感じ。
彼も……こういう女の子の方がいいのかしら。
「……あのさっ! 友達からちょっと聞いたんだけどっ!」
意を決した様子の彼女がようやく本題を口にする。
「七原さん……肝試しに行くんだよね!? 私も一緒に行っていいかなっ?」
思わず口角が上がるのを感じた。
▼▼▼
――翌日。
「いやーっ! まさかあの七原……椿ちゃんが本当に肝試しに行くなんて思わなかったなーっ!」
目的地へと向かう車中にて、江ノ島さんが元気に話しかけてくる。
4月終わりから始まる大型連休。
私はそれを利用してとある場所に行こうとしていた。
それは……蛇原村という村にある神社。
そこに封じられている幽霊に会うのだ。
そして明るい少女、江ノ島|輝蘭羅《きらら》さん。
彼女は配信者活動をしており、その再生数を稼ぐための手段として今回の話に目を付けたらしい。
配信者と言うのは……逞しいのね。
「そうかしら」
「そうだよっ! いかにも優等生っ! 清楚系美少女っ! って感じの七原さんだもんっ! 肝試しなんて俗っぽいことに興味あるとは思わないって!」
「そんなことないわ。私も年相応にドキドキしたいもの」
「あっはっはっ! その言い方が優等生っぽいっ!」
しかし、この江ノ島輝蘭羅という子は人をよく見ているようだ。
私のことを清楚系美少女だと見抜くとは。
「よかったわね、椿。こんなに明るい子が一緒に来てくれて」
車を運転してくれている女性、神宮恭子さんが会話に交ざる。
彼女は、言ってみれば私の第2の母親的存在。
諸事情で現場には一緒に来れないけれど、こうして車を出してくれているのだからありがたい。
「それにしても、清楚系美少女ね……ぷぷ」
「……」
何か文句でもあるのだろうか。
手入れを怠らない黒髪はサラサラで長め。
短い前髪の下には強い意思と一途な思いを感じさせる綺麗な瞳。
今日の装いは白いブラウスに青いロングスカート。
男子なら1度は恋焦がれる見た目(ファッション誌参照)である。
「……」
「……ぷぷっ」
殴りたい。
「恭子さんも綺麗な大人のお姉さんって感じで素敵ですよねっ!」
恭子さん、実際は4X歳だが30代前半と言っても違和感ない、綺麗な女性だ。
だが私は知っている。
最近化粧品をドモホルンに変えたことを。
「え? いやいや、私なんていい年したおばさんよ?」
「えーっ! そんなことないですよぉー! 最初会った時、椿ちゃんのお姉さんかと思いましたもん!」
「あらあら、お上手ね。飴ちゃんあげるわ」
「わーいっ!」
誰とでもすぐ仲良くなれるのが江ノ島さんの特性なのだろう。
これなら片道6時間はかかる車内でも楽しく過ごせそうだ。
「椿ちゃんも、改めてありがとねっ! へへっ!」
何の裏もなさそうに笑顔を浮かべる彼女。
「お礼を言うのは私の方よ。一緒に来てくれてありがとう」
「……へへっ!」
そう、彼女のような元気な人間が必要だったのだから。
第1話、お読みいただきありがとうございます!
興味本位で肝試しに行くのは良くないと思います!
お前ら……とんでもないことしてくれたな! なんておじいさんに怒られたくない人はやめておきましょう。
もう1つ小説を投稿しています。異世界転生モノです。
そちらもよかったらぜひお願いします!