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試作1.1

タイトル

《幕間》断章・神の生まれた刻



「……過去を求めるのか?」



挿絵(By みてみん)



「見てしまえば、聞いてしまえば、

もう二度と、“何も知らなかった頃”には戻れぬ」



「それでも……なお望むか」



「知らぬままであれば、

 救われよう。歩めよう。未来を」



「その心が、それに耐えられるとは限らぬ」



「知れば、今が壊れてしまうだろう」



「……再び、問おう――それでも、過去を求めるのか」



「……良かろう」



「ならば見せよう。ならば語ろう。

――()()の夢をもって、我が内に記されし、過去のすべてを」



「――たとえ御前(おまえ)が、御前(おまえ)でいられなくなるとしても……!」





※※※



 昔、ひとつの名家があった。


 その家は、貴族のように権力をふるう一族ではなかった。

 けれど、忠義と勤勉を重んじ、土地の有力者として長く栄えてきた。

 そんな家に、ひと組の若い夫婦が暮らしていた。


 やがて妻は子を授かった。

――だが、夫は突如、何者かによって命を奪われた。

夫は、才能を見込まれて婿養子として迎えられ、家の跡取りとなるはずの男だった。


 身重のまま、夫を喪った彼女は、やがて息子を出産した。


 夫を失い家は少し揺らぎもしたが、彼女の存在が家を支えた。


 彼女は遺された一人息子を深く愛し、母子は数年の平穏な日々を共に過ごしていた。


 たびたび再婚の話も持ちかけられたものの、

――彼女は、亡き夫を忘れることはできなかった。



 けれど、その穏やかな時間も長くは続かなかった――。

 数年後、今度は三十路が見えてきた頃の彼女もまた忽然と姿を消したのだ。


 一人残された幼い彼に真実を教えれば、いつか無謀に探そうとするかもしれない。


 周囲の大人たちは、せめてこの子の心だけは平穏にと願い、「母は亡くなったのだ」と告げた。

 その真実を、誰も幼子に語ることはなかった。


 こうして最後の拠り所を失った家は、やがて離散していった。


 幼い彼は母を探した。家の中を、庭を、町の中を。

 けれど、幼い足に辿れる範囲は限られていた。

 どこにも母の姿はなく、誰もが「母はもういない」と繰り返した。

 それでも幼い心は、しばらくのあいだ希望を捨てきれなかった。


 だが、やがて彼はその言葉を信じ、そして母の死を受け入れた。


 顔すら知らぬ父――その命を奪った仇を探すこともなく、

 いなくなった母に対しても、憎しみを抱かず、

 わずかに覚えていた母の温もりだけを頼りに、慎ましくも与えられた日々をまっすぐに生きてきた。


 そうして彼は、十八歳の青年へと成長していた。



---


 そんなある年の夏、


 供え物ひとつ満足に買えない暮らしのなかで、

 それでもこの日だけは――

 そう思い、青年は父の命日に墓地を訪れた。


 すると、父の眠るその場所に、見知らぬ――けれど、どこか懐かしい面影を宿した、身重の貴婦人が立っていた。


 墓前に立つその貴婦人は、彼が一度も見たことのないような、淡い金糸が織り込まれた上品な衣をまとい、静かにその場に佇んでいる。


 彼女は、大きくせり出した腹を両手で支え、静かに俯き、足元にある墓石を見つめるその姿は、まるで赦しを乞うているかのようだった。


 肩はかすかに揺れ、吐く息は細く浅い。

指先は落ち着かず、腹のふくらみに何度も触れては、すぐに離している。

 それは、胸の奥に込み上げるものを、どうにか押しとどめようとするような動きに見えた。


 顔は伏せられていても、今にも泣き出してしまいそうな気配が、遠目にも、それは悲しみの気配として滲んでいた。



 その美貌に、どこか母の面影が宿っていた。

 青年は、胸の奥が妙にざわめいた。

 なぜだかわからない――けれど、息が詰まりそうだった。


 一方、貴婦人も青年を見て、かつての恋人――青年の父と見間違えた。

 いや、見間違えたというより、その面影があまりに濃かった。

 まるで、青年は父の生き写しのようだったのだ。



 青年は、彼女の姿に言葉を失った。


 ふとした仕草が、幼い頃の記憶と重なったのだ。

 その輪郭。微笑みの癖。目元の影に――忘れかけていた、いや、忘れられるはずもない面影があった。



 思い返せば――

 幼い頃、母の葬式をした記憶などなかった。

 この墓に刻まれているのも、父の名だけだ。


 まさか……。

 いや、そんなはずは――けれど、胸の奥が否定しきれなかった。


「……母さん、なのか……?」

 声は、自分のものとは思えないほど震えていた。


 貴婦人は一瞬きょとんとし、青年を見つめた。

 けれど、その視線は“誰か”を探していた。

 目の前の青年の顔をなぞるように、まるで記憶の奥に重ねようとするかのように。


 青年は一歩、近づいて名乗った。

「■■だよ、母さん……だよね……?」


 ほんの数瞬、空気が止まってたようだった。

 貴婦人は、小さく息を呑む。


 唇が微かに開き、うわごとのように呟いた。


「え……? でも……あの子は……たしか、まだ5つにも……」


 その瞬間、彼女の瞳が見開かれる。


 見開いたまま、やがて小さく震え始めた。


 「……あ……あぁ……なんてこと……そんな……そんなに……」


 言葉にならぬ叫びが、喉の奥から漏れ出した。


 耐えきれず、彼女は顔を覆う。


 肩が震え、指の隙間から、押し殺すような嗚咽が漏れ続ける。


「寂しい思いも……辛い思いも……たくさん、たくさん……させてしまって……本当に……ごめんなさい……」


 それは、言葉ではなく、十数年の空白のすべてを埋める――祈りのような謝罪だった。


「まさか……会えるなんて、思ってもみなかったの……」


 再会を果たした母の言葉に、青年の唇がわずかに震えた。


 喜び、困惑、怒り、悲しみ――何が一番強いのか、自分でもわからなかった。


 それでも、こらえきれずに口を開いた。

 沈黙を破るように、堰を切ったように――。


「今までどこにいたのか」

「なぜ、自分の前から姿を消したのか」

「今まで何をしていたのか」

「……そのお腹の子は?」


 貴婦人はしばし沈黙し、静かに問い返した。

「あまり良い話ではないわ……本当に、それでも知りたいの?」


 青年は過去に何があったのかを知りたいと望んだ。

  母も言いたくはなかったが、それを告げることが青年への贖罪だと、やがて心を決めた。


 母親は語った。

 あの日――夫を……青年の父を殺した貴人に見初められ、連れ去られたのだと。


 再婚を強いられ、名を改めさせられ、いまはその貴人の妻にされていることを。


 青年は、その言葉の意味をすぐには受け止めきれなかった。


 ――父を殺した男の妻……。


 その現実はあまりにも残酷で、頭の中が真っ白になった。


 胸の奥にせき上がってきた感情は、怒りだったのか、悲しみだったのか――

 それすら、もう自分でもわからなかった。


「……あなたが私を恨んでも、仕方ないと思ってるわ。……むしろ、恨んで。

今の私には――あなたを置いていった私には、それしかあなたに与えられるものがないの……」


 母は、膨れた腹に視線を落とした。

 一瞬だけ迷うような沈黙のあと、どこか遠くを見るように口を開く。


「……私だけではなかったのよ」


「その屋敷には、すでに同じように連れてこられた美女たちが何人もいたの。私が娶られたときは、たしか二十八番目だったかしら。……今もなお、若く美しい娘たちが次々と迎え入れられているわ」


 母はお腹を優しくさすりながら、ほんの小さく息を吐いた。


「……普通はね、一年か二年で“飽きられる”までに妊娠できなければ帰していただけるの。

あるいは、一人か二人産んだ頃には……ね。

でも――私は、運が悪かったの」


 静かに目を伏せながら、母は続けた。


「……気に入られてしまったのよ、あの方に。

若い娘たちが次々と迎えられては、やがていなくなっていくのに、私は……こんな歳になってもなお、“飽きられる”ことなく孕まされ続けて……今はもう、九人もあの方の子を産んでいるの」


 母の手は、膨れた腹に触れかけて、一度止まり……やがて震えるように包みこんだ。

 まるで、自分自身を叱るように、そして赦そうとするように――。


「……この子も、あの方の……血を継いでいるのよ」


「じゅ……十人……そんなに……」

 青年の視線は、思わず母の腹へと落ちた。

 だが、そこに目を向けたこと自体に戸惑いを覚え、すぐに逸らした。


 現実を受け入れきれず、ただ呆然と――立ち尽くしていると、

 墓地の入り口から、一人の少女が姿を現した。


 13~14歳ほどだろう。

 母と同じ、絹糸のような美しく艶やかな長い黒髪を腰まで流し、

 その髪に手の込んだ飾り紐を結い添えた姿で、高価そうな布地の衣を風に揺らしながら、

 少女は母の姿を見つけると、小走りで駆け寄ってきた。


「お母様、大丈夫ですか? “昔付き合いのあった殿方のお墓参り”だなんて言って、私を参道の休憩所に残して一人で行ってしまうから……。もう臨月もいいところなのですから、あまり無茶はなさらないでくださいね」


 そう言ってから、青年の母を「お母様」と呼ぶ黒髪の少女はふと気づいたように青年へと視線を向けた。

 その瞳が、一瞬だけ驚きに揺れる。


「あの……この方は?」


 母は一瞬だけ逡巡し、まず青年に向き直った。


「この子は、私の娘になります」


 青年はその言葉を聞いた瞬間、息を呑んだ。


 ――やはり、そうなのだ。

 目の前の母を「お母様」と呼ぶ黒髪の少女は、

 母が産まさせられた、あの男の血を引く……自分の妹――。


 母はすぐに少女へ微笑みかけ、続けて言った。


「この方はね、私が貴人(お父さん)に出会う前に、一度だけ本気で好きになった人がいてね。……この方はその人の息子さんなのよ」

 そこに嘘はなかった。……でも、真実でもなかった。


 少女は目を丸くして青年を見つめ、

 はしゃぐように声を弾ませた。


「まぁ……お母様、もしかしてこの方……昔お母様が恋をしていた方に、似ていらっしゃるのかしら?」



 少女は好奇心に駆られたように青年を見つめると、ついにはそっと彼の顔に近づき、じっと目を覗き込み

 やがて少女は、青年の肩や腕にまでそっと手を伸ばした。




「――やめなさい、他人様(ひとさま)の前でそんなはしたない真似をしては駄目よ」


 母の声音が少し鋭くなった。


 少女ははっとして手を引っ込め、小さく肩をすぼめて、口元に手を添えた。


「あ……ごめんなさい……」


「まったく……この前も、異母姉兄(きょうだい)達と喧嘩して怪我をさせたばかりなのに。

もう少し()()()()()に育って欲しかったわ」


 母はそう言いながらも、どこか楽しげに笑っていた。


 青年は、そのやり取りをただ黙って見つめていた。

 そこには、"母と娘の、ごく自然な親子の時間"があった。


 もう、母にはあちらで家族がいるのだ――そこに、自分の居場所はどこにもない。



 青年は、胸の奥が締めつけられるような苦しさを感じながら、目の前の母と異父妹のやり取りを見つめ続けていた。



 青年は、絞り出すように問いかけた。


「このまま貴人(アイツ)の屋敷に戻るのか?」


 貴婦人は、しばし黙ったあと、静かに目を伏せた。


「あの方はね……もう私が“逃げない”って、心底思ってるのよ。

 私が、あの子たちを置いてどこかへ行くような女じゃないって――あの方は、誰よりもよくわかってるの……」


 その声には、怒りも反発もなかった。ただ、すべてを呑みこんだ母親の声だった。


「――ごめんなさい……」

 少し唇を震わせてから、彼女は続けた。

「たとえ正しき逢瀬ではなかったとしても、生まれてしまった子供たちを私は愛しているの。 屋敷で、私の帰りを待っている我が子たちを、私は見捨てられないの……」


 そう言ってから、貴婦人はふと視線を落とし、膨れた腹をそっと抱え込むように包みこんだ。


 張った腹の曲線を、ゆっくりと撫でる。


 その仕草には、言葉にならぬ矛盾が滲んでいた。 いま宿す命を慈しむようでいて、それがもたらした別れを悔いるように。 愛おしむようでいて、どこか疎ましそうに――。


 彼女の指先は、まるで何かを許そうとして、 それでもどこかで赦せないものを抱えているかのようだった。


 青年には、その姿がひどく遠く見えた。 自分とはもう交わらない、“別の人生”を生きる者の姿として……。


 青年は母の背にすがるように言葉を落とした。


「また……会えるよね…?」


 貴婦人は青年の目をまっすぐ見ることができず、視線をそっと逸らした。


「私たちの住まう屋敷は、とても……とても遠いところにあるわ……」


 そう言い終えた母の唇は、ほんのわずかに震えていた。


「お母様、そろそろ行きましょうか。……弟妹(きょうだい)たちが、母様を待っています。初めての遠出であまり時間がかかるとお父様にも心配されますよ」


 少女はどこか呆れたように笑いながら、母の手をそっと引いた。


「本当に――母様のことになると、父様は過保護すぎますよね。母様がお屋敷の外に出たの、今回が初めてなんですもの。遅れたら、父様が……また鍵を閉めてしまうかもしれません」


 ――それは、無邪気な冗談のつもりだったのだろう。


 だがその言葉に、貴婦人の肩がぴくりと震えた。


 ほんの一瞬、過去の記憶が脳裏をよぎったかのように、彼女は目を伏せた。


「……ええ、そうね。帰らなければ……、あの方を、これ以上待たせては……叱られてしまうわ」


 ――その口調には、喜びよりも、どこか諦めにも似た静けさが滲んでいた。


 ふと、母は青年の方にだけ視線を向け、微かに唇を動かした。


「……墓参りを望んでも……この土地に戻ることさえ、一度も許されなかったの」


 一瞬、少女が振り返りかけたが、母は穏やかな笑みで誤魔化すように肩を撫でた。

 その声はごく小さく、少女には聞き取れないほどだった。


「……だから、今日だけは……あの人の目を盗んで……ここに来たの。

せめて――一度だけでも……お別れ、言いたかったの……だから…ごめんなさい、――さようなら……」


 その言葉には、懺悔と名残惜しさが込められていた。


 そしてそれは――二度とは戻れない場所への、静かな別れの言葉でもあった。


 青年は、その声を黙って受け止めていた。



「母様と父様は、ずっと変わらず仲睦まじいですから」


 少女はそう言って、何でもないように微笑んだ。


 その言葉に、貴婦人は一瞬だけ視線を彷徨わせた。

 口元がかすかに引きつるが、それを悟られまいと笑みに変える。


 少女は青年を一瞥し、それきり視線を落としたあと、ふと母を見上げた。


「母様が失恋してから父様にどんなふうに出会ったか……今度教えてくださいね?」


 少女の言葉は何の疑念もない、幸福な家族の記憶だった。


 貴婦人はその言葉に小さく目を見開いたが、それを壊してはならないと、すぐに伏し目がちに曖昧な微笑みを浮かべるだけだった。

 ……たとえ、その全てが、造られたものだったとしても。


 応える声は、最後まで返ってこなかった。


 母は少女の手に導かれ、背を向けて歩き出す。

 青年は、その後ろ姿をただ見つめるしかなかった。


 ――もし、母が奪われることがなければ。

 いや、もしあの時、自分も共に連れて行かれていたのなら――。

 あの少女の隣に立ち、母と笑い合う自分がいたのかもしれない。


 それは、

 いつか辿り着いていたかもしれない――もう二度と手の届かぬ未来()だった。


 貴婦人はかつて愛した者たちに背を向け、もはや振り返ることなく少女に手を引かれ歩き去っていった。




 青年は、誰もいなくなった墓前にただひとり立ち尽くしていた。


「――さようなら……か……」


 頭では理解していた――いや、理解してしまったのだ。


 あの人は、もう自分の"母"ではないのだと。


 思い返してみれば、母に育てられたのは、わずか5年にも満たない。

 対して、あの子たちは10年以上も共に過ごしてきた。


 自分は――今の母の名前すら、知らない。


 きっと母は、今日ここに“かつての人生”と決別するために来たのだろう。


 ――自らの意思で“かつての自分”に別れを告げるために……。


 ……それでも、胸の奥では、何かが崩れていく音がした。


 母はもう、自分と会うつもりはないのだ。二度と会うこともないのだろう――。


 妹は……姫君は父と母の出会いが拉致であり、

 そして――強姦だったことなど、きっと知らない。


 母は、自分の存在すら知らせていなかった。……兄だと、紹介もしてくれなかった。


 身分違いの恋を叶えた父と、幸福な母。

 二人が愛しあって生まれた大切な"愛の結晶"。


 その後に生まれた他の弟妹(きょうだい)達も、両親が相思相愛だと……何も疑いなく、信じている。


 言葉にならない何かが喉までこみ上げてきて、

 それでも、声にはならなかった。



 ――母は、新たな人生を歩んでいた。


 もう二度と、手の届かない場所で、“今の子たち”の母親として……。

 自分は、もう、その腕に抱かれることはないのだ……。




 後日、貴婦人の希望により、

 青年の父が眠る墓石には、


 かつての彼女の名――青年の“母の名”が刻まれた。


 そして、彼女が失踪の日から決して手放すことなく守り続け、


 あの日、父の墓前に捧げることで自ら手放した“青年の母であった証”が、彼女の“遺骨”としてそこへ納められた。




 貴婦人がこの地に足を運んだのは、

 それが最初であり――そして、最後だった。


 母親を迎えに来た姫君も、青年が種違いの兄だということに

 ――生涯、気がつくことはなかった。



※※※


 人が言葉にできぬ思いを抱えたとき、


 それは時に、どこかに残る。


 ――言葉にならぬ、十の情念。


 “断絶(だんぜつ)”・“未練(みれん)”・“帰属(きぞく)”・“追憶(ついおく)”・“無力(むりょく)

 “虚像(きょぞう)”・“逡巡(しゅんじゅん)”・“贖罪(しょくざい)”・“逃避(とうひ)”・“嫉妬(しっと)


 我ら(アヤカシ)は皆、この思いから生まれ、形を得た。


 我らは『神未満(アヤカシ)』、欠けたモノ。


 満ち足りず、飢えたモノ。


 飢えは欲望を生み、欲望は心を生む。


 それゆえ求め続ける――飢えを……欠けを埋めてくれるモノを……。


 人もまた飢えた存在、欠けた存在。


 故に人は求める……欲望を満たす力を……。


 故に――我らは人に憑く、


 互いを喰らいあい――互いを満たすために……。


 我らは授ける――『恩恵()』を。


 我らは欲す――欠けを埋め、共に歩んでくれる伴侶を……。



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