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ジョーカーの切り札  作者: カード屋
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一枚目 チェンジ

 チェンジカード。

 現代技術の発展により、人類はこのカードを活用して生活をしていた。

 チェンジカードはある程度の大きさ、エネルギーであれば、カードに収納ロックし、使いたいときは特定の機具を使うことでカードから現物化リリースすることができる代物だ。

 しかし、このカードが戦争に悪用され、多くの被害を出したことにより、一般市民の使用はできなくなってしまった。

 次第に国々は、このカードを危険視し、あるラインを超えての使用を禁止するようになった。

 こうしてチェンジカードによる争いは無くなった、と思われていたが…



「こちら、J-8の1エリア、ディザードと戦闘中、応援を求む」

「こちら、司令部水時。応援を受理します」

「こちら、第一部隊風神、J-8の1エリアに応援行けます」

「分かりました。風神、当エリアに向かってください」


 ディザード。突如現れた謎の怪物で、近年発見数が増えている。ディザードは独自のチェンジカードを使い人々や物に危害を加えている謎の集団である。

 特に、一年前に起きた「ラウンド・アップ」では街が一つ崩壊するほどだった。


「風神、エリアに到着しました。今から戦闘態勢に入ります。カード使用の許可を。」

「了解。風神のカード使用を許可します。」

 

 風神はチェンジカードを取り出し、専用のスキャナーにカードをスワイプさせる。


『リリース』


 その機械音声とともに、風神は戦闘用スーツを身に纏う。


 ディザードに対抗すべく開発されたのが、チェンジカードを使った戦闘システムADCC(Anti-Dizard Change Card)だ。チェンジカードにはチェンジカードで戦うのだ。


「風神さん、こっちです!」 

「今向かう!」


 風神や水時らは、特定怪物対処委員会に所属している。委員会はディザードによる被害を抑えるために奮闘している。そして、ディザードはある程度攻撃を加えると…


「これで最後だ!」


 風神の一撃と共にディザードの体がまばゆい光にを発し…、人の姿が現れてきた。

 そう、ディザードは人間がカードによって変貌した怪物である。そのため、中の人間を無事に救出することも大事な任務なのだ。

 

「あれ、ここは…」

「ようやくお目覚めか。詳しい話を聞く前にまずは治療だ」


「…今回も大事にならずに済んだな」

「そっすね、水時司令」


 大きな被害を出さずに済み、二人は安堵を漏らす。


◇ ◇ ◇ 


 風神は仕事終わりの帰路、いつも立ち寄る場所がある。

『深夜営業カードショップ エース』

 名前の通り深夜の時間に営業する、珍しいカードショップだ。今時珍しい横スライド型の戸を開けると、


「お、風神か。仕事お疲れさん」

「ツルギさん。お疲れ様っす」


 店長であるツルギさんとは、風神が学生時代からの長い付き合いである。風神は今も大会に出るほどのTCGプレイヤーだが、新弾のパックの予約、デッキの相談に限らず風神本人の相談など、風神の心の支えでもある。


「ん、ライも来てたんだ」

「...」


 ライ。本名は風神もツルギさんも知らず、唯一知っているのはハンドルネームだ。最近プレイし始めたというのに大会の優勝を総なめしている天才プレイヤーだ。営業開始から終了までずっといるのでいつ来ても会える。


「あー、今アイツデッキ調整中だからあんま声かけないでやってくれ」

「そうなのかー。久々に対戦したかったのになー」

「...」


「そこで受け札にこれを入れれば強いと思うんだけど、ってもうこんな時間か。」

「いやー、いい話を聞けたよ。今日はお開きだな。」

「じゃ、また明日も来ます」

「...。仕事も大事だろうけど、休む時は休めよ。」

「へいへい、気を付けます」


「本当に、休む時は休めよー」


◇ ◇ ◇


翌日

まさか今日もディザード発生サイレンが鳴るとは思わなかった。


「風神さん、お願いします!」

「はいよっと!」


「風神、今日も応援に駆り出してしまってすまないな。でもおかげで対象を仕留めることができたよ」

「いやいや、いつものことだ。この委員会の中で一番実践が強いのは自分だし、もっと頼ってくれてもいいんだぜ?」

「あまり調子に乗ってると、回線切るわよ」

「すまんすまん。」

「だいたい貴方は休まなすぎなの。いくら装備が体になじんでるからって...」


 内心また始まったかと思った風神だがいつものように右から左に聞き流した。


「だから貴方はもっと体を大事にしなさ...え!?」

「どうした?」

「新たにディザードが確認、そして...、委員会本部に向かっているだって!?」

「なんだと!?」

「緊急事態発生!本部に向かってディザードが接近!戦闘員は直ちに... ザザ、ザザザ...」


ドーン、と爆発音が遠くからも聞こえた。


「水時!水時、返事を!」


 いくら待っても反応は返って来なかった。

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