1544年(天文13年)4月17日、馬込の戦いで奇襲を受けた太田資高の軍勢は崩壊、太田資高の消息は?
立花義秀の作戦は金杉城付近に本多勢と太田勢を進出させて牽制させる予定でした。
しかし、高城胤春は待ち伏せして太田勢を粉砕、太田資高は消息不明になりました。
高城胤春は西船橋城に囮に使い、義秀の作戦の裏を掻きました。
太田勢は大打撃を受けて戦力はガタガタです。
立花義秀はどーするのでしょうか?
1544年(天文13年)4月17日~
前日、金杉城の北、馬込周辺にて高城勢の奇襲を受けた太田勢が壊滅しました。
江戸太田家当主、太田資高の消息が掴めなく、なりました。
馬込から近い大野城に大半の太田勢が逃れて来ましたが、日没後も情報がありませんでした。
早朝、大野城から馬込周辺に探索部隊を派遣した結果、重傷の太田資高を発見、大野城に生還しました。
太田資高の生還は西船橋城の立花義秀の陣営に知らされました。かなりの重傷で指揮するのは無理な状態です。
─西船橋城、立花義秀、鹿島政家─
政家?
太田資高の代わりに誰が指揮を取るんだ?
筆頭宿老の宇田川勝長になるでしょう。
そうか、それにしても太田勢は二度目の大敗だからなぁ、大事な場面には使い辛いぞ!
はい、古河公方軍本隊が小弓城からこちらに来た場合に地元の太田勢がこれでは、難しい戦いになりそうです。
─夏見城、高城胤春、馬込和治─
殿!
間者から知らせがあり、太田資高が大野城に収容されました!
重傷で指揮が取れない様です!
惜しい事をした!
あと少しで討ち取れたのだが、仕方あるまい。
昨日は太田勢を粉砕したから良いだろう。
立花義秀の軍勢が西船橋城を攻略して滞陣してくれたら夜襲出来たのに!
船橋城まで進出して来るとは思わなかった!
はい、立花義秀の運が良かったみたいです。
夜襲出来たならば、討ち取れたかもしれません!
とにかく、船橋城を援護しないとなりません。
そうだな、後詰めに参るぞ!
それから習志野、、花見川、稲毛方面の募兵の様子はどうだ?
はい、古河公方公方様が小弓公方を退治したお陰で小弓公方に属した諸勢が集まりました。
花輪城にて兵力2000程の軍勢が編成中です。
そうだ!
花輪城の指揮官はお前の弟の馬込和長だったな?
船橋城の後詰めに使えるか?
はい、彼らは新参者の領主達の集団だからこそ、懸命に戦うでしょう。本領安堵に加え、太田領からの奪った土地を与える事を餌に集めて参りました。
良し!
それでは馬込和長の軍勢2000に船橋城の後詰めを命じる!
はい、手配致します!
─船橋城周辺の状況─
─古河公方軍、高城勢の陣容─
船橋城→高城勢の城兵800、
後詰→高城胤明の軍勢1800、
後詰→花輪城→馬込和長の軍勢2000
夏見城、高城胤春7800
金杉城、宇都宮勢3800
合計16200
─立花軍、船橋城攻略部隊─
伊集院勢5800
後詰→立花義秀5800
遊撃部隊本多勢5500
予備部隊
大野城→太田勢3000
合計20100
─西船橋城、立花義秀、鹿島政家─
政家、
敵の大将の高城胤春は何を考えてるかわからん奴だな?
はい、なかなかの曲者ですな?
まあ、今日は船橋城攻略を狙うが、高城胤春が後詰めに来たら叩くぞ!
本多勢を金杉城と夏見城の中間、塚田に進出させる!高城胤春が釣られて出てきたらすぐに我が軍勢を率いて塚田に向かうぞ!
はい、手配致します!
本多広孝の軍勢5800が大野城から南下しました。
4キロ程先の塚田原周辺に布陣しました。
船橋城から3キロ、金杉城から3キロ、夏見城からも3キロの中間地点
です。いずれからも近い距離にあります。
─夏見城、高城胤春、馬込和治─
殿!
塚田原に本多勢5800が布陣しました!迎え討ちますか?
来たな?
誘いに来た様だから、金杉城の宇都宮勢に知らせて攻撃させるぞ!
恐らく立花義秀の軍勢も出て来るだろう!
塚田原にはゆっくり参るぞ!
まぁ俺の軍勢本隊を潰しに来るはずだからな?
はい!では金杉城の宇都宮勢に攻撃の手配を致します!
塚田原に布陣した本多勢5500に金杉城から出撃した宇都宮勢3800が接近しました。
周辺は畑と荒れた野原が広がり、見通し良い場所です。
本多勢は東に向けて布陣しています。宇都宮勢は北から攻撃を開始しました。長槍部隊を先頭に迫ります。本多勢は方向を転じて対応します。
宇都宮勢は長槍部隊を揃え、集団で歩調をあわせてゆっくり前進します。
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
本多勢は弓部隊が前に待ち構えます。背後に長槍部隊が控えています
。
宇都宮勢は本多勢の弓部隊を警戒して盾を持つ兵士を前に出します。
本多勢は20騎の騎馬兵を繰り出して長槍部隊の左脇から弓を放ち接近しました。移動しながら馬上で弓を連射ます。
歩調を合わせて前進する宇都宮勢の長槍部隊が乱れます。
宇都宮勢の隊列が崩れ、正面から本多勢の弓矢が連射されます。上空と平行に射出の連射に乱れる隊列に本多勢の長槍部隊が早足で歩調を合わせて突入しました。
エイ!エイ!サー!
エイ!エイ!サー!
エイ!エイ!サー!
エイ!エイ!サー!
声と歩調を揃えて突入します。
幅100mの隊列の長槍部隊が2列縦隊で槍先を敵の胸に合わせ、およそ200の軍勢が密集隊形で突入します。
宇都宮勢が怯む瞬間に弓矢の連射が雨の如く放たれました。
崩れる宇都宮勢の前列に本多勢の長槍部隊が突入しました。
うわぁーぁー!
うぉーぉーぉー!
エイ!エイ!サー!
エイ!エイ!サー!
エイ!エイ!サー!
エイ!エイ!サー!
宇都宮勢の前列が最初の激突で先鋒部隊が崩れました。
弓矢に崩され、長槍部隊に胸や顔面を突かれ、長槍の穂先で頭上から叩かれ続けました。
追い立てられた宇都宮勢は後退します。
その隙に宇都宮勢第二陣が東から接近します。
先頭に弓部隊を揃え、長槍部隊が後ろに付いて接近します。
本多勢も弓部隊を先頭に長槍部隊を従えて接近します。
20騎の騎兵を繰り出して弓矢を浴びせます。
宇都宮勢は40騎の騎兵で本多勢の騎馬兵を追い立てて妨害しました。
宇都宮勢と本多勢の弓部隊が弓の撃ち合いになりました。
本多勢の弓部隊の数と連射に圧倒された宇都宮勢が崩れます。
長槍部隊同士のぶつかり合いにも宇都宮勢が押されて後退します。
戦いは本多勢が優勢になりました。
そこに本多勢の南から夏見城から出撃した高城勢7800が現れました。
─本多広孝、本多広家(嫡男)─
父上!
殿様が予測された通り、高城胤春の軍勢がやって来ます!
広家!
間も無く殿の軍勢もこちらに来るから少しの間、支えれば良い!
西へゆるゆると下がるぞ!
高城勢が本多勢の南から攻撃すると、予測していた本多勢は慌てずに対応します。
しっかり弓矢の連射を浴びせて、安易に接近させない戦いに徹しました。数で上回る高城勢とまともに戦わず、弓矢を掻い潜り接近した部隊を長槍部隊で叩きながら後退します
。
高城勢の姿を確認した宇都宮勢が反転して攻勢に転じました。
予備の軍勢全てを戦場に投入すると少しずつ体勢を持直しました。
─立花義秀、鹿島政家─
政家!
予想通りに高城胤春の軍勢が現れたぞ!さぁ塚田原に参るぞ!
はい!楽しみですな?
─高城胤春、馬込和治─
和治!
間も無く立花義秀の軍勢が来るぞ!
本多勢の中軍と後軍に一撃したら下がるぞ!
はい!緊張します!
本多勢は宇都宮勢と高城勢に攻撃されて三つに分断された形になりました。
─本多広孝、本多広家─
広家!
良く見ておれ!
彼方に殿様の軍勢が見えるだろう!立花軍の菊の紋章の軍旗だ!
気合いを入れるぞ!
あと少しの辛抱だ!
気合いの声をあげるぞぉー!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
本多広孝の軍勢が声を挙げて高城勢の攻撃に勇気を振り絞りました。
三つに分断されても潰れない隊形を保ちました。
─高城胤春、馬込和治─
殿?
彼方にが立花義秀の本隊の軍勢が見えます!あれが噂の菊の紋章の軍旗の様です!
ほぉ、30本位あるかな?
金色の輝く紋章なんて豪華過ぎるじゃないか?
一旦後退して立花義秀の軍勢と戦うぞ!
使番!各部隊に告げよ!
立花義秀の本隊と戦いに備え、結集せよ!
以上、伝えて参れ!
高城勢が攻撃停止、高城勢が陣形を再編します。
使番!宇都宮勢に伝えよ!
本多勢を任せる!
我らは立花義秀の軍勢に向かう!
以上だ!
高城勢の陣形が再編を完了、立花義秀の軍勢が迫ります。
─立花義秀、鹿島政家─
政家、高城勢の動きはなかなか素早いみたいだな?
はい、
我らが来るのを予測してましたな?
ならば脅かしてやろうぞ!
立花義秀は普段より先鋒部隊の弓部隊の数を増やしました。
先鋒部隊に弓部隊300、長槍部隊を200、高城勢に向かい前進します。
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
声を挙げ、歩調を合わせて前進します。統一された黒一色の甲冑に背中には菊の紋章の旗を背負います。
菊の紋章の黄金模様の軍旗と龍魂の
文字が掛かれた軍旗が掲げられ、これぞ正義の戦いと信じて戦いに挑みます。
高城勢は盾を前に弓部隊200、長槍部隊500が動かずに待ち構えます。
やがて立花勢の先鋒部隊の両脇から騎馬兵500騎が現れました。
紫紺の甲冑に紫紺の覆面を被り、長さ1mの短槍を2本抱え、高城勢に近づくと短槍を投げ込み、短弓を連射しました。
一瞬で、動揺した高城勢は続いて早足で接近する立花勢の弓の連射、長槍部隊の突入を許し、先鋒部隊が崩れました。
先鋒部隊が粉砕され、第二陣に騎馬兵500が短弓の連射で崩し、弓部隊も弓を連射、長槍部隊が突入します。長槍部隊は胸を突き、頭上から頭や肩を打撃します。
打撃を受けるだけで高城勢の兵士達は動けなくなります。
第二陣も瞬く間に後退します。
─高城胤春、馬込和治─
ダメだ、和治!立花義秀の軍勢が強すぎる!
夏見城に撤退するぞ!
殿!殿軍は私が務めます!
殿は夏見城に向かってください!
アホたれ!
和治!一緒に戻るぞ!
殿軍は我が旗本部隊2000だ!
和治!各部隊に使番を出せ!
各部隊は夏見城に撤退せよ!
殿軍は我が旗本部隊が務める!
宇都宮勢にも忘れずに使番を出せ!
金杉城に撤退せよ!
以上だ!
高城勢は深刻な打撃を受ける前に撤退を始めました。
立花軍は騎馬兵500騎が中心に追撃します。弓部隊、長槍部隊が少数を包囲して倒します。
殿軍の高城胤春の奮闘で壊滅は免れました。
立花義秀も深追いせず、追撃は1キロ程度に押さえ、撤収しました。
─塚田原の戦いの結果─
古河公方軍11600
高城勢、戦死300、負傷500
宇都宮勢、戦死100、負傷300
損耗率10%
立花軍11300
本多勢、戦死100、負傷200
義秀勢、戦死50、負傷50
損耗率3%
塚田原の戦いは立花軍の圧勝に終わりました。
この日、船橋城の戦いは小競り合いのみ、本格的な戦いはありませんでした。
江戸太田家の領内の戦いは古河公方軍の優勢が揺らぎ、立花軍が優勢になりました。
江戸太田家の当主、太田資高が重傷、反撃に挑んだ塚田原の戦いに勝利した事で、立花軍がやっと主導権を握りました。
あと2日?3日辺りに古河公方軍本隊が来るかもしれません。
まだ、安心出来ない状況は続きます。
追伸
本日は執筆中3回文章が消滅しました。
突然画面が飛び、消えて書き直し、精神的に厳しくなりましたが、なんとか書き直しました。
画面に触れなくても、特定の情報がスマホに入ると画面が飛ぶ様です。
画面に無駄な情報が現れた時に触れてしまうと飛ぶ時も経験しました。
書き込む指先に邪魔な画面表示が出て来る為、防ぎ様がありません。
執筆中に妨害するような画面表示が出ない様にするにはどーしたら良いかわかりません。
ほぼ毎日が文章が飛び、消滅する現象との戦いです。
小まめに仮キープして文章を書くしか対策がありませんので、執筆に時間がかかる事をお詫びいたします。




