1544年(天文13年)4月14日午後~古河公方軍と小弓公方軍の戦いはさらに激しくなります。どちらの正義が勝つのか?
古河公方、足利晴氏の考えた作戦は千葉勢、大掾勢に鎌取城の足利義純に集中攻撃をさせて、暫く戦場を観察して兵力を温存しながら主導権を握る予定でした。
思わぬアクシデントから自分から作戦を壊してしまいました。
足利義明の罵倒部隊作戦がアクシデントを誘い、小弓城周辺は小弓公方勢が優勢です。。
嫡男、足利義純の考えた鎌取城が囮になる作戦は
半分成功、半分失敗の状態です。
鎌取城周辺は千葉勢が優勢です。
足利義純達は急ぎ包囲の網から抜ける必要があります。
1544年(天文13年)4月14日、午後~
──足利義明、真里谷信之──
開戦から2時間程経過しました。
午前11時頃
信之!
もう良いだろう?右後方へ少しずつ下がるぞ!
小弓城の正木勢が前が開くのを待ちかねてるはずだ!
はい!手配致します!
使番!
各部隊に伝えよ!右後方へ100歩移動せよ!
一斉に使番が走りました。
信之?
引き鐘を使わぬ理由がわかるか?
公方様、引き鐘を使うと敵勢に怪しまれるかと思いますが?
その通りだ!
引き鐘は知らせるなら早いが、今、足利晴氏の本陣が手薄な状態だ。
怪しまれたら、小弓城に隠してる正木時茂の軍勢の奇襲が不発になるかもしれんからだ!
─小弓公方軍、足利義明の軍勢が右後方へ100歩後退しました。
すると、ジリジリと100歩だけで無く、少しずつ、さらに後ろに後退しました。
古河公方の4000の軍勢が小弓城周辺から足利義明の軍勢に引きずられて移動した事で、遮られた正面の道が開き、2キロ先の古河公方、足利晴氏の本陣への道が空きました。
小高い山の上にある小弓城から、孤立している古河公方、足利晴氏の本陣1000が見えています。
──小弓城、正木時茂、
これより、古河公方!足利晴氏の本陣に向かう!
敵の本陣に僅か1000!
狙うは晴氏の首ひとつ!
これより、目立たず、音を控えて進む!
敵は本陣の危うい事がわかっておらぬ、気付かれぬ様に接近するぞ!
使番!伝言内容は4列縦隊!音を立てず、静かに進め!伝えて参れ!
正木時茂は遊撃部隊2700を率いて古河公方、足利晴氏の本陣を目指して進みます。
古河公方、足利晴氏の本陣まで2キロ、直線の道を進みます。
2700の軍勢を素早く到達させて、戦場で隊列を組んで戦うには縦長になる行列を出来る限り短くする事が必要です。
単純に1列で歩くと2700名なら2700mの長さになります。
2列なら1350m、4列なら695m。
2キロなら徒歩30分の距離です。
道幅は3m程度、兵士1人の幅70センチ必要です。4名が横並びの隊列、4列縦隊で行軍する事になりました。
隊列の長さは約700m
先頭が目的地に30分で到着、最後尾は20分後に到着、陣形を組むのに10分程度です。
小弓城から出発した正木勢2700は60分で目的地に到着、戦闘態勢が完了します。
──古河公方軍本陣、足利晴氏、簗田晴助(宿老、簗田高助嫡男、空気読めません。(笑))
晴助!千葉昌胤に命じた護衛の兵士1000の軍勢は未だ来ないのか?
返事は未だか?
はい!未だですから、我が手勢を戻したら良いでしょう?小山、佐野、小田、那須の4000が足利義明と夢中で戦ってますから、誰かの軍勢を引き抜けば良いでしょう?
アホか?晴助!
優勢に戦ってる味方の邪魔は出来ぬぞ!義明の首が後少しで取れるじゃないか?
へぇ、公方様?本陣が手薄で怖いなら、あの4000の軍勢に混じれば良いじゃないですか?
千葉昌胤だって、鎌取城の御曹司とやらの首を取るのに夢中ですから、当てにしたらダメですよ!
なんだとぉー!
口答えしやがってぇー!
怖くなんか、ないからなぁー!
だがなぁ??
お前?名案じゃないか?
晴助ぇー!前に出るぞぉー!
──足利晴氏の本陣が孤立した原因は晴氏が罵倒部隊に怒り、出撃命令を出したのが発端になりました。
失敗を挽回するチャンスかもしれません?
古河公方、足利晴氏の孤立した軍勢1000が動きました。本陣に高く掲げた軍旗を放置して慌てて出発しました。
東に進路を取り、東南方向に進みます。
古河公方、足利晴氏は空気が読めない軽薄な簗田晴助の単純な名案(迷案?)?に救われる事になりました。
小弓城から出発した正木時茂の軍勢2700は古河公方、足利晴氏の本陣に迫っていました。
本陣から見える軍旗を目印に、音をたてずに静かに進みます。当然、通常より歩く速度が落ちた事が幸いしました。
足利晴氏の軍勢の最後尾が正木勢の先頭と至近距離にありましたが、互いに気付かずに通り過ぎました。
正木時茂の軍勢は古河公方、足利晴氏の本陣から手前300mの空き地に軍勢を集めました。
ところが、斥候部隊から本陣が空だと知らせがありました。
──正木時茂、正木時正(弟)
兄上!本陣が空です!
なんだとぉー?!本陣が空だとぉー!?
しまった!?時正!公方様が危ない!
足利晴氏は入れ違いに我が軍の本陣に向かったに違いない!
兄上、直ぐに引き返しましょう!
待て、足利晴氏が残した軍旗を燃やせ!
燃やして鬨の声を挙げるぞ!
離れた場所に居る古河公方の軍勢達に本陣が燃えて落ちた!古河公方が死んだと思わせるのだ!
一瞬でも騙せたら絶対こちらが有利になるぞ!
時正!早く本陣の全てを燃やして来い!
はい!兄上!
やがて古河公方の本陣に火の手が上がり、本陣から正木勢2700が鬨の声を挙げました。
エイエイ!おぉー!
エイエイ!おぉー!
エイエイ!おぉー!
エイエイ!おぉー!
エイエイ!おぉー!
エイエイ!おぉー!
エイエイ!おぉー!
エイエイ!おぉー!
そこに古河公方、足利晴氏が千葉昌胤に命じた本陣護衛の軍勢2000がやって来ました。
千葉昌胤の嫡男、千葉利胤が鎌取城の攻防戦から引き上げて到着しました。
燃えてる本陣に死傷者見当たらず、古河公方は移動済みと判断して戦闘態勢に入りました。
古河公方を追撃したかった正木勢2700は想定外の千葉利胤勢2000と戦う事になりました。
偶然の遭遇から戦いが始まります。
千葉勢の接近に気がつくのが遅れた正木勢が後手を踏みました。
千葉勢は左右から30騎が弓矢を放ちながら攻撃します。正面から盾兵を前に弓部隊、長槍部隊が続きます。千葉勢の優勢な形で押し込まれました。
─小弓城の西側、簗田高助、側近、
殿ぉー!大変です!
公方様の本陣が燃えてます!
まさか?!公方様が?
殿!
あんなに燃えてるなら全滅なのでは?
しまった!
公方様ぁー!
殿?逃げますか?
待て、あの公方様だ、怖くなったら直ぐ逃げるはずだ!
少し考えさせろ!
殿、兵士達が燃えてる本陣を気にして逃げ始めました!
なにぃー!?
どーしたら良いのか?
どーせ、逃げても逃げきれぬ!
もうダメなら足利義明を道連れに死ぬしかないぞ!
決めた!
全軍東に転進する!
目指すは足利義明の首だ!
使番!皆に伝えよ!
東に転進!狙うは足利義明の首!
急ぎ伝えよ!
──簗田勢が小弓城の東で戦闘中の足利義明を目指し、転進しました。
─小弓公方、足利義明、真里谷信之
公方様!
足利晴氏の本陣が燃えております!
やったぞ!
正木時茂の軍勢がやり遂げた!
これで勝てるぞ!
─千葉昌胤、高城胤吉
鎌取城北1キロ地点
鎌取城は落城しました。
殿!
公方様の本陣が燃えております!
しまった!公方様!?
利胤の軍勢が間に合わなかったか?
胤吉!鎌取城攻めの全部隊撤収だ!
使番に全部隊撤収を伝えさせろ!
殿!鎌取城は消化作業中です。
兵糧と金蔵にかなりの蓄えが有り、多数の兵士が接収中です!
胤吉!
緊急事態だ!鎌取城攻めの全部隊集めて、状況を把握してから対処する!
急ぎ使番を出せ!
はい!手配致します!
─真里谷信応
平山城へ向かい始めた真里谷勢2000は千葉勢の撤収する様子に異変を感じました。
4キロ離れた古河公方の本陣の方角から大きな煙が見えます。
気になりますが、重傷の御曹司、足利義純を守り、平山城方面に向かいました。
──一色正義
真里谷勢を見送り、千葉勢に戦いを挑む直前、敵勢が撤収する様子が判明しました。
古河公方の本陣の方角から煙があがっています。
殿の役目を覚悟していましたが、予定通り、平山城へ向かいました。
─小弓公方、足利義明、真里谷信之
公方様!
古河公方、足利晴氏が生きております!目の前の軍勢の後方に足利家の軍旗が見えます!
なんだとぉー!?
生きておったか!?
それでは?
正木勢は空振りながらも本陣を燃やして知らせたに違いない!
報告します!
小弓城から報告!、
足利晴氏の本陣にて正木勢2700と千葉勢およそ2000が交戦中!
そーか!
正木時茂!里見家の勇将だけあってなかなかの機転だぞ、あれを見たら一瞬、古河公方の本陣が落とされたと錯覚する!
古河公方軍が動揺したはずだ!
公方様ぁー!
鎌取城が燃えておりまーす!
御曹司がぁー!
なんだとぉー!
鎌取城が、燃えてるじゃないか?
義純が、囮の役目を果たして…
義純、義純、んぐぐっ……
義純ぃー!
公方様ぁー!
公方様ぁー!
お気を確かに!
義純が、義純…義純…
この戦が終わったら、義純に家督を譲るつもりだった…
義純、あの息子なら古河公方を倒してくれると信じていた!
無念だ…義純、
俺の希望だった…義純ぃー!
義純、義純、義純ぃー!
古河公方!足利晴氏を討ち果たす!
信之!伝令だ!
各部隊に通達!
古河公方!足利晴氏の首だけ狙え!
以上だぁー!
はい!手配致します!
馬を引けぇー!
前に出るぞぉー!
古河公方!足利晴氏の首を頂きに参るぞぉー!
うぉー!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
兵士達が泣きながら声を挙げました。
─足利義明の将兵達は鎌取城が燃えて、落城を悟りました。
しかし、足利義純は鎌取城から脱出に成功して平山城に向かっていました。
足利義明は嫡男、義純が亡くなったと思いました。
将兵達も希望の御曹司、義純が亡くなったと悲しみました。
─古河公方、足利晴氏、簗田晴助
押せぇー!
押せぇー!
前に出ろぉー!それ行けぇー!
偽公方、足利義明を討ち取るぞぉー!
公方様?足利義明を討ち取ったら褒賞金は幾らですか?
あぁ?まぁ、100貫!(1000万)
公方様渋過ぎます!
ここは1000貫!(1億)でしょ?
あほ!そんなに出せん!無理!
公方様がぁー!
足利義明を討ち取ったら1000貫!
褒賞金1000貫!出しまーす!
褒賞金1000貫!出しまーす!
晴助ぇー!バカ!勝手に言うな!
公方様!!
ここでケチったら後悔しますよ!
もう、後には引けませんよ?
──兵士達が燃えてしまいました。
太鼓を叩いて歌ってます!
ダダダン!足利義明1000貫!
ダダダン!足利義明1000貫!
ダダダン!足利義明1000貫!
古河公方、足利晴氏と小弓公方、足利義明が1キロ圏内の戦場で大接近
、互いに近づき、やがて視認出来るまで、近づきました。
古河公方軍対小弓公方軍の戦いは2日目も激しい戦いになりました。
戦いは終盤に向かいます。
互いに作戦通りにならず、アクシデントの連続になりました。
最後まで何があるのか?
どーなるのか?
わかりません。




