1544年(天文13年)4月4日、古河公方、足利晴氏が山内上杉憲政に筆頭宿老を長尾景長を指名!したけど、納得出来ない派閥が黙って従うのでしょうか?
下総の戦いは古河公方軍の快進撃が続いていました。しかし、小弓公方、足利義明は纏まらぬ重臣達を一喝、抜群のリーダーシップで平山城を囲む千葉勢をたった1時間で敗走させました。
援軍に駆けつける原勢の来援を予測して勝ち逃げを決めました。
千葉勢は退却しましたが、本拠地、本佐倉城から戦場千葉勢、原勢の陣地までわずか10キロ、補給路が確保され、兵力の補充、武器兵糧の調達が出来ます。
油断して敗退しましたが、再編して進撃して来る筈です。小弓公方、足利義明は気を抜けない状況が続きます。
勝敗の鍵は援軍を頼んだ里見家の反応です。
内紛の影響で、安房の国の鎮圧に兵力を割いています。上総の国から兵力を抜き、援軍に向かうと上総南部に反乱が及ぶ恐れがあります。
反乱勢力と小弓公方、足利義明の重臣達の一族が結びついています。かなり複雑な状況です。
足利義明を助けても、彼の重臣達の中に里見家を裏切ってる者がいます。
里見家と小弓公方家の両家にダブリ所属する家臣と安房、上総で内紛の当事者一族が繋がり、ぐちゃぐちゃの状態です。
関東動乱の範囲が広がりました。
1544年(天文13年)4月4日、
─前橋城、山内上杉憲政、長尾勝正、長野業政
(長尾勝正→滝山城の戦いで上杉憲政を庇い弓矢を受けて戦死した筆頭宿老、長尾勝久の嫡子)
箕輪城主、長野業政の謹慎を解除、前橋城に招き、滝山城の和議で立花家と署名を交わした書状を見せました。
2年先の3月末日まで期間限定の約定です。
山内上杉家は武蔵国内の領主の婚姻に関与しない
、立花家に敵対しない事が記されています。
長野業政の顔が怒りで赤くなりました。
お館様!なんと情けない!
お館様を守る為に身代わりに矢を受けて亡くなった長尾勝久殿が嘆いておりましょう!
お館様は一方的に不利な約定に署名した責任を背負う覚悟がありますか!?
滝山城で無念に消えた数千名の命を背負う覚悟がございますか!?
和議の交渉に立ち会わず、逃げて家臣に任せたと聞いております!
命を失い、帰らぬ者達の家族をどうする積りですか?数千の家族は主を失い、相続で揉めてる者、相続する男子がおらず、断絶寸前の家族のくるしむ声等、箕輪城に謹慎している私の耳に届きました!
やらねばならぬ戦後の後始末に手を付けず、今まで半月近く!酒でも喰らっておりましたか!?
済まん!勝久が居ないと俺には何も出来ぬ事が解った。配慮が足りなかった!
──反省を見せる憲政でした。──
お館様、私も熱くなり過ぎました。
和議の中身についてですが、たしかに我が山内上杉家は上野の国が主な領地ですが、武蔵の国の領地も大切です!
この内容を知らされた武蔵の国の領主達は何を感じるでしょうか?
山内上杉家に使えていて大丈夫なのか?
隣接地、青梅の三田家、立花家に従う領主が出て来るでしょう。上野の国の領主達も靡くかもしれません!
川越の扇谷上杉朝定様も、石神井城の戦いで大敗
、和議を結びましたが、同じく武蔵の領主の婚姻に口を挟まない、立花家に敵対しない約定と聞いております!
これで古河公方様が立花家に勝ちきれば良いですが、負けでもしたら立花家に乗り換える領主が増えてしまうでしょう。
早く筆頭宿老を決めて戦後の後始末を付けねばなりません。
古河公方様から援軍の催促がある様ですが、きっぱり断るべきです。
業政?
お前が筆頭宿老を選ぶなら誰が適任なんだ?
私の口からは申せませぬ。
前回の筆頭宿老を決める際、長尾一族で派閥同士の争いになりました。
そこで越後の守護職、上杉家に調停をお願い致しました。
結果として、越後上杉家の調停が成立、越後長尾家から惣社(総社)長尾家に養子に入った長尾勝久殿が筆頭宿老に就任しております。
次こそ!と白井長尾家、足利長尾家が躍起になっております。
─そこで長尾勝正が尋ねます─
業政様、長尾家が長野業政様を嫌う理由は何が原因ですか?
だははは!
それは、山内上杉家の本拠地、ここだ!前橋城が原因だからなぁー。
ここには昔から長野一族の箕輪城を守る支城だったのだが、相続争いの末、上杉一族、長尾一族の争いから長野一族が山内上杉家の嫡流を守護する事になり、前橋城と名を変えて、大きな城に拡張したのだ。
長野一族が山内上杉家の嫡子を守り、筆頭宿老職になって以来恨まれ、警戒されておるが、亡き、長尾勝久殿と勝正殿だけ、私に好意を頂きましたなぁ。
あのぉ、業政様?
前橋城を山内上杉家譲り、守った結果、長野家が筆頭宿老になって当然でしょう。
見返りに恨まれるなんて、間違ってませんか?
まぁ仕方ないかもなぁ、山内上杉家に前橋城を譲る形になりましたが、維持管理は長野一族で分担しております。山内上杉家一族、長尾一族は内部で必要以上に命が失われました。、特に秘密を知る使用人を長尾家は簡単に始末しますから、前橋城を運営する裏方はほぼ全て長野一族が賄っております。
前橋城は見た目は山内上杉家の城ですが、実際は前橋一帯、箕輪城から西側の大半、信濃の国境まで長野家の領地ですから、長尾一族の白井長尾家、惣社(総社)長尾家、足利長尾家の3家からは妬まれても仕方ないでしょう。
長尾家の中で私に好意を示して下さったのは亡き筆頭宿老、長尾勝久殿と息子の勝正殿だけでござる。
業政?表向き前橋城は山内上杉家の城だが、実際は長野家から俺は前橋城を借りてるのか?
はい!亡き長尾勝久殿との約束で秘密にしておりましたが、前橋城の真実は長野家の所有する城です。山内上杉家は相続争いで先祖代々争い、分家が増えて直轄地の大半を失いました。
相続争いの度に長尾一族が領地を奪いましたから当然直轄地が減りすぎた山内上杉家の財政は赤字です。
随分前から長尾一族と長野一族が赤字な補填を分担しております。
この秘密を知る者は僅かしか知りません。
なんと、業政!知らなかったぞ!
知りたくなかったがな……
お館様!長尾一族から取られた直轄地を取り戻さない限り、赤字は続きます!
──館林城主、長尾憲長41歳が登場します─
古河公方様から筆頭宿老の辞令を受けて自信満々でやって来ました。
派閥仲間数名と護衛の兵士20名が威圧します。
ちょっと待ったぁー!!
長野殿!お館様に都合の良い嘘を並べて恥ずかしく無いのかぁー!
お館様!こちらの書状をご覧あれ!
古河公方様からの書状にございます!
なんだ!憲長!態度がでかいぞ!
んんん??
古河公方様からの辞令!?
なんだ?お前が筆頭宿老に指名されてるじゃないか?それで、筆頭宿老、長尾憲長に兵力5000で蓮田城を攻撃せよ?
業政?古河公方様が筆頭宿老の指名が出来るのか?
お館様、前例がございません!
さすがに越権行為かと思われます!
こらぁー!長野業政!
お館様を惑わす不忠者ぉー!
こやつを捕えろ!
──甲冑姿の護衛達に捕らわれ、連れ去られる長野業政を助けられず、長尾憲長の威圧に屈する山内上杉家当主、上杉憲政と長尾勝正─
ギラリと睨む長尾憲長の迫力に萎縮する二人……
ヤクザの親分みたいな凄みある顔、怒らしたらヤバい雰囲気でした。
お館様!
立花家と交わした約束なんぞ、守る必要ありません!
踏みにじり、決意を示す為、古河公方様の下知に従い、蓮田城攻めに参りましょう!
あっ、憲長!ちょっと待て!いきなり過ぎる!
もう少し、後にしても良いだろう?
ダメだ!お館様!
古河公方様に逆らうとは情けない!
お前ら、お館様を館林城に連れ参るぞ!
護衛の兵士達に腕を捕まれて連れ去られる上杉憲政と長尾勝正……
既に前橋城は長尾憲長と長尾一族の派閥に制圧されていました。多少の犠牲者が出た様です。
捕らわれた憎しみの対象、長野業政はどーなるのか?
山内上杉家が古河公方の書状で様子が一変してしまいました。
長尾憲長は古河公方の権威を利用して山内上杉家を支配する筈です。
かなりヤバい人物が筆頭宿老になりました。
いやー!たまげた、ストーリーが考えいた道から外れてしまいました。
最初に想定してたのとちゃう!?
何かが降りて来て書かされてしまったかも?
インしピレーションで流れてしまいます。
私にも止められません。
明日は?
どーなるのか?わかりませーん!
(笑)
前橋城が実際は長野業政の所有物件でした。
山内上杉家が借りてるなんて恥ずかしくて公表出来ません。滝山城の賃貸物件事件以来の珍事になりました
。
お詫び、ヤクザまがいの描写で背中に刺青のシーンがありました。読者の方に不快を招く可能性がありましたので消去しました。
さらに、文面確認したら不適切な表現があり、前橋城内の会話を修正、加筆しました。




