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戦国大河小説、立花家三代戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!武蔵国、府中から関東を制覇して、上杉謙信、織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1544年(天文13年)3月27日、戸塚攻防戦2日目、北条氏堯重傷、 立花軍撤退戦

戸塚攻防戦、2日目も北条軍優勢の展開から始まり、北条綱成の策が当たりました。

北条軍優勢のまま、戦いは激しくなります。










1544年(天文13年)3月27日


戸塚の戦いの2日目午前中、早朝に始まった戦いは北条軍優勢のまま展開しています。

立花軍は平山信季、久良岐(くらき)康成の二人の指揮官が北条家の軍勢に討ち取られていました。


─楢島正臣本陣―

―楢島正臣、側近―


「殿ぉー!!

久良岐康成殿が討たれました!

北条氏堯ほうじょううじたかと一騎討ちになり、討たれました!」


「何ぃー!?」


「久良岐殿は北条氏堯と刺し違えて討たれました!

北条氏堯も腹部に負傷、後方に退避しました!」


「拙いぞ!平山も久良岐も討たれ、部隊は混乱してるだろう?支えなければならんぞ!

そうだ!

太鼓兵に護衛20名付けて平山勢に派遣する!

応援歌を歌い、平山勢を集め、諦めずに守りに徹するんだ!さらに長弓の名手5名を選抜して付ける!敵の指揮官を狙わせろ!」


「ははっ!手配致します!」


「同じく、太鼓兵に護衛20名付けて久良岐勢に派遣するんだ!久良岐勢を集め、諦めるんじゃねぇーぞ!と応援歌で勇気付けろ!

こちらにも長弓の名手5名を付けるぞ!

敵の指揮官を倒せ」

 

「ははっ!畏まりました!」


早急に楢島正臣の陣中から太鼓兵と護衛の兵士、長弓の名手が久良岐勢と平山勢に向けて派遣されました。



ダダダン!ニッポン!

ダダダン!ニッポン!

おぉーおー!にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

ヘイヘイヘイヘイ!

おぉーおー!にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

ハイハイハイ!


ダダダン!平山!

ダダダン!平山!

奮えぇー!奮えー!

ひ、ら、や、ま!

奮え!奮え!!平山!

奮え!奮え!平山!


太鼓と応援歌が流れました。

指揮官を失い分散していた平山勢が太鼓の音に引き付けられ、集まり始めました。

討たれた平山信季の弟、平山広季(ひろすえ)が兵士達を集めて太鼓兵の近くに現れました。

柏尾川対岸から逃げて来た兵士達も太鼓の音に気が付き、集まりました。


北条綱成は平山信季を討ち、平山勢を柏尾川まで追い詰め殲滅しました。

綱成勢は対岸に渡らず撤収しました。


もし、ここで追撃していたら平山勢を完全に粉砕出来たかもしれません。

しかし、対岸を渡りると、緩やかですが坂の上に陣地を構える平山勢が有利になります。


まだ午前中です。体力の消耗も考えねばなりません。

その判断が正解なのか?難しい判断でした。


しかし、不測の事態が起こりました。

北条氏堯が負傷して本陣に運ばれ、慌ただしく治療が始まります。


─北条綱成、伊藤正春―


「何ぃー!

氏堯様が久良岐康成と一騎討ちしたのか?

久良岐を討取ったが、腹を刺された?

なんて事だ!?

一騎討ちなどする必要無いだろーが!?」


この時の衝撃が北条綱成から戦場全体を見る余裕を奪いました。氏堯の容態が気になりました。

当主、北条氏康の顔が浮かびます。


「殿!氏堯様は腹部を刺され、出血がまだ止まりません!」


綱成が治療中の氏堯を心配して駆けつけました。


「氏堯様!なんて事を!」


「綱成、俺は昨日800名の兵士を失った。

家族の嘆きを想ったら、死んでお詫びするしかなかった。一騎討ちを望んだのはそれが理由だ…

それより、綱成、お前が玉縄城に援軍をくれた事に驚いたぞ…」


「氏堯様、余り喋らぬ方が…」


「もうダメかもしれぬ…伝えなければ、後悔する…

お前が、兵力に余裕なんて無い筈なのに、援軍を出してくれた…感謝してるぞ…

今まで、兄貴に気に入られてるお前が羨ましくて悪態をついて悪かった…

まだ、生きて居られるかわからぬが、生きて居られるなら、お前と酒が呑みたくなった…」


「氏堯様、必ず治ります!血止めに慣れた軍医にお任せ有れ!浴びる程酒を呑みましょうぞ!」


「わかった…

酒を呑む為にも、必ず勝たなきゃならんぞ…

頼むから勝ってくれ…」


「承知致しました。

必ず勝ちますから、早く元気になってくだされ!」


北条綱成が本陣の指揮所に戻りました。



─久良岐勢陣地―


太鼓兵と護衛の兵士が久良岐勢の陣地に入りました。丘の上から太鼓と応援歌で久良岐勢を鼓舞します。


ダダダン!ニッポン!

ダダダン!ニッポン!

おぉーおー!にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

ヘイヘイヘイヘイ!

おぉーおー!にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

にぃーぃーっぽーぉーん!

ハイハイハイ!


ダダダン!久良岐!

ダダダン!久良岐!

奮えぇー!奮えー!久良岐!

奮え!奮え!久良岐!

奮え!奮え!久良岐!


繰り返し応援歌が続き、久良岐勢に諦めるな!

と勇気を出すよう鼓舞する事を続けました。

応援歌の効果が現れ、主将を失った久良岐勢は苦戦しながら必死に耐えていました。


─久良岐康國、槙野善臣(よしとみ)


「若君!太鼓と応援歌が聞こえます。

諦めずに戦いますぞ!

楢島殿が何か手を考えてるかもしれません。

諦めるな!と言ってるようですぞ!」


「善臣!死ぬのは怖く無いぞ!

だが、負けたくないのだ!

負けたら亡き父上に顔向け出来ぬ!」


楢島正臣の気持ちが平山勢、久良岐勢に伝わりました。


北条綱成勢が撤収した事で平山勢は戦死した兄に代わりに弟の平山広季ひらやまひろすえが周囲に散らばった兵力を纏めて落ち付きを取り戻しました。


平山広季は総大将、楢島正臣宛に伝令を出しました。

「平山勢1200は健在なり!久良岐勢を救援する余裕あり!」


その知らせを受け取った楢島正臣は喜びました。

「良し!平山勢は久良岐勢を救援せよ!」


返信が平山広季に伝えられ、平山勢1200が久良岐勢の救援に向かいました。


柏尾川の対岸からその様子を把握した北条綱成は

伊藤正春に1000を与え、久良岐勢の南側から迂回、背後から攻撃するよう指示しました。



─楢島正臣本陣午前11時頃―


原町田の立花義國から伝令が到着しました。

昨日夕方、中津に三田綱重、大石盛将、新納忠義の軍勢6000が布陣した事が知らされました。

座間城の北条氏康の陣中まで7キロの位置です。

北条綱成は戸塚の戦いを早く終わらせ、座間方面に向かいたい筈です。



楢島正臣が策を練ります。

2日に渡り、北条軍優勢ですが、北条綱成の弱点は北条氏堯の負傷です。

重傷の為、早く落ち着いた環境で治療したい筈です。最寄りの玉縄城まで6キロ、座間城からかなり離れてしまいます。


次に近いのは早川城ですが、ここから12キロと離れています。座間城まで6キロと近くなりますが、判断が難しい状況で、頭を悩ましてる筈です。


楢島正臣は撤退を決め、狡い策を見つけました。


「伝令だ!

平山勢、久良岐勢に伝えよ!

東へ向かい!久良岐城方面へ半里(2キロ)転進して待機せよ!」


さらに次の手を繰り出します。

平山勢、久良岐勢を攻撃する北条軍に正臣が派遣した大声自慢の兵士が呼び掛けます。


「北条軍の皆様に申し上げーる!

本日の戦いは北条家の勝利であーる!

立花軍は撤退するー!

本日の一騎討ちにてー!

北条氏堯殿が重傷でござーる!

早く玉縄城にて治療なされよ!

北条氏堯殿が重傷なり!

早急に玉縄城で治療なされよ!」


繰り返し、繰り返し大声を張り上げました。

撤退する為に狡いやり方ですが、北条軍の兵士の心理に訴えた効果がありました。


やがて北条軍が平山勢、久良岐勢を攻撃する勢いが弱まりました。

彼らの大半は北条氏堯の指揮下の兵士達です。

氏堯の容態が気になり、兵士達の気勢が削がれ、攻撃が緩みました。


「撤収だー!」

「追撃停止!撤収!」

「殿様を守り、玉縄城へ戻るぞー!」

楢島正臣が放った間者が偽の命令を叫び、それを信じた北条家の軍勢が次第に撤収を始めました。


その時、本陣から出撃した伊藤正春の軍勢1000が綱成の命令に従い、久良岐勢を攻撃しようと南に迂回していました。

伊藤正春の軍勢は撤収する味方に遭遇してしまいました。撤収する味方に邪魔され、まともに

前に進めなくなりました。


楢島正臣の奇抜な策が嵌り、平山勢、久良岐勢は無事に東へ退避しました。


しかし、伊藤正春勢1000は好機を逃しましたが、少し離れた楢島勢に標的を定めました。


楢島勢も撤退を始めています。

隣の長尾勢も撤退を始めています。


楢島正臣が仕掛けた北条氏堯重傷、玉縄城で治療すべきだ云々の大音声の狡い仕掛けに北条軍本隊の攻撃意欲が喪失しています。

楢島勢、長尾勢は追撃されずに撤退して行きます。東海道を北東に向かいました。


伊藤正春勢が諦めずに追撃しましたが、撤収する味方の軍勢に遭遇して断念、楢島正臣の本陣跡に引き返し、北条綱成の本陣に向かって鬨の声を挙げました。


「エイエイ!おぉー!

エイエイ!おぉー!

エイエイ!おぉー!

エイエイ!おぉー!」


北条綱成の本陣に声が届きました。

本陣からも鬨の声があがります。

周りの北条軍全てが鬨の声を挙げました。


「エイエイ!おぉー!

エイエイ!おぉー!

エイエイ!おぉー!

エイエイ!おぉー!」


2日間続いた戸塚攻防戦は北条軍が勝利しました。

しかし、北条氏堯の重傷と、膨大な死傷者の代償は大きな痛手になりました。





















ついに戸塚攻防戦が決着しました。

北条綱成はもう少し派手に勝ちたかったに違いありません。立花家の軍勢を暫く立ち直り出来ないほどに叩き潰す事が最大の目標でしたが、叩き潰すまでに至りませんでした。

北条家の勝利の代償は北条氏堯の重傷と多数の死傷者を抱えました。

立花家と北条家の熱い戦いは更に続きます。


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