表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国大河小説、立花家三代戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!武蔵国、府中から関東を制覇して、上杉謙信、織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/494

1544年(天文13年)3月23日、石神井城周辺の攻防戦、午後2時以降、立花義秀、突然の決断!?

石神井城周辺の戦いは立花軍が2倍以上の兵力差を生かして攻勢に出た結果、難波田陣地を攻略しました。優勢になった立花軍は上杉朝定を石神井城前の馬防柵の陣地の中まで追い込んだ時点で進撃を停止、朝から5時間戦っていた全軍に戦闘停止、明日に備え、休息を命じました。

朝9時から始まり、午後2時頃に終わりました。


追い詰められた扇谷上杉軍の必死の抵抗を避ける為とは言え、午後2時終了にするのは随分早い決断でした。


さて、立花義秀が何を考えているのでしょうか?

1544年(天文13年)3月23日


午後2時過ぎ、石神井城周辺の戦場にて、立花義秀は石神井城の目の前の馬防柵へ逃げ込んだ扇谷上杉軍を眺めながら、意外な決断をしました。

「全軍に戦闘停止!明日の戦いに備え、休息せよ!」

と命じました。周りの将兵は驚きました。

あと少し!ひと押し!強気に攻めれば石神井城が落ちたかも知れません。

義秀は鬨の声を揚げる様命じました。


エイエイ!おぉー!

エイエイ!おぉー!

エイエイ!おぉー!


立花軍将兵に優勢に終わった事を示しました。


側に居る鹿島政家も疑問に思う程、早い決断でした。

義秀が何か考えてる様子に政家は思考を邪魔せぬよう、黙っていました。

戦場には両軍兵士の亡骸が有りました。


「政家!両軍兵士の亡骸を弔うぞ!

全軍に通達だ!立花軍兵士、上杉軍兵士の亡骸を各々集め、戦場の作法通り、手厚く弔う様手配せよ!

石神井城の上杉朝定に軍使を派遣せよ!

両軍兵士の亡骸を弔うから全軍に戦闘停止を命じたと、それだけ伝えるのだ!」


「はっ、畏まりました!」 


鹿島政家が石神井城に軍使を派遣しました。

全軍に使番を出して義秀の指示を次々に手配しました。

やがて石神井城の上杉朝定から承諾の回答が有りました。


「良し、これで、じっくり相手を観察出来るぞ!

政家!上杉軍陣営の兵士の様子を探れ!

末端の兵士の様子を調べるのだ!

戦う気持ちが強いのか?

負けた!と感じてるのか?

兵士達の様子が知りたいのだ!」


「承知しました!

両軍兵士の亡骸を弔いながら敵陣が邪魔せぬよう押さえの一手を打ちましたな?」


「そうだ!間近でじっくり、敵が手出ししない状況で、戦場全体を観察出来るだろう。

戦場を片付けなきゃ、亡骸が戦う邪魔になるしなぁ、踏みつけたり、雑に扱うなんて忍びないからな、そうだ!難波田陣地の大将、難波田憲重の首を贈るとするか?」


「善き策にございます。

観察力に優れた使者に難波田憲重の首と遺品を付けて返却させましょう。

敵の陣営の雰囲気が掴めます。

早速、難波田陣地を攻略した佐伯勝長に伝えます!」


使番が難波田陣地に向かいました。

暫くすると使番が戻りました。

佐伯勝長から、難波田憲重の首、甲冑、太刀等は直ぐ支度が整いますが、敵方の捕虜600名の扱いを如何なさるか?指示を待つと伝言がありました。


「殿?随分捕虜が集まりましたなぁ?

何か利用価値を考えましょう!」


難波田陣地から逃亡した兵士がまだ、戦場を彷徨って居るだろう。怯えて隠れてるのが数百名居るのを捕まえろ!

次に、石神井城に使者を出すぞ!

石神井城から20名の兵士に上杉軍の軍旗20本を掲げて戦場の上杉軍兵士の回収を依頼せよ!」


「前代未聞ですなぁ?笑いながら政家が使者に要件を伝え、石神井城に送りました。」


「さて、600名の捕虜?んんん、無駄飯喰わすの勿体無いしなぁ…

政家!!捕虜達に飯喰わすぞぉー!!

豚汁と、炒飯なら直ぐに出来るだろう!

焼酎も呑ませてやれ!

難波田陣地内に善福寺と井草八幡宮があるから、厨房を借りる事が出来るだろう!

難波田陣地内の厨房と、補給部隊が協力せよ!

石神井城から20名と上杉軍の軍旗が来たら周辺に隠れた上杉軍兵士を集めて、捕虜達と一緒に呑み喰いさせろ!

好きなだけ喰わす!呑ます!

戦う気持ちを奪え!

久我山城から給仕する女性を集めろ!

歌や踊りが出来る娘も集めろ!」


立花義秀の指示はかなり無理難題を含みましたが、鹿島政家は使番に的確な指示を出して慌ただしく担当者達が働きます。日暮れ前に豚汁、炒飯、焼酎が用意出来ました。

石神井城から来た20名と上杉軍旗が周辺を捜索した結果、隠れていた200名が見つかり合流、思わぬ歓迎を受けて立花流の旨い豚汁、炒飯、焼酎を堪能しました。


「殿?これから何を企んでいますか?」


「まぁ、待て、石神井城内の兵士の様子はどうだ?」


「難波田憲重の首と遺品を届けた使者によると、今のところ今日の負けに落ち込んでる様子です」


「そんな時に好き放題呑み喰いした兵士が戻って来たらどーなる?」


「殿?主戦論を唱える連中が居ても戦う雰囲気に水を差しますなぁ?

まさか?和議に持ち込む気ですか?」


「ああ、そうだ!和議なんて皆驚くだろう。

明日、石神井と上田陣地を攻撃すれば落ちる可能性がある!最悪でも3日以内で落とせるが、しかし、かなり損害が出るだろう?

明日、必死の抵抗を決めた将兵が、立花家から和議を示されたらどんな気持ちになるのか?

主戦論を唱える強硬派が、やる気が失せた捕虜達800名が城に戻って来たらどんな気持ちになるか?

敵方の士気は大いに下がるだろう?

明日の朝、捕虜を石神井城に返す!

捕虜達に和議の話を伝えるぞ!」


「はい、承知致しました!」


「和議にする理由だが、間も無く古河公方、足利晴氏の軍勢が下総、小弓公方の御所を攻撃するだろう。その際に目障りな岩槻太田領、岩槻城を攻撃する可能性が高い。支援するには十分な兵力が必要になる。

今、石神井城で兵力を消耗すると岩槻城を支援仕切れない可能性がある!

岩槻城が北側の最重要地点だ!

川越城から岩槻城まで5里(20キロ)!

古河公方の本拠地、古河城から7里(28キロ)!

石神井城から岩槻城まで推定7里(28キロ)!

府中城から岩槻城まで推定10里(40キロ)!

出来る限り、兵力の消耗を避けなければ、遠距離の援軍が出せぬ!

忘れてはならん事だが、立花家は古河公方、足利晴氏、関東管領、山内上杉憲政、扇谷上杉朝定、北条氏康の関東最大の4大勢力に囲まれて居る事だ。

1つ包囲が破れたら詰みになる可能性が高いのだ!」


「はい、左様にございます!」


「まず、和議の条件だが、石神井城、練馬城の明け渡し、さらに赤塚城を明け渡すように加える!

明け渡すなら扇谷上杉軍将兵を安全に川越に返す!」


「殿!先を考えてのご判断に従います。

和議にする理由が解けました。

私は目先の事しか見えて居りませんでした!」


「しかし、随分迷ったぞ!目の前に有る宝に手を出さないなんて辛い事だからなぁ。

今回の戦いで活躍の機会を逃した兵士達には申し訳ないが、消耗を避けねばならん!

こちらが片付いたら相模の方もやらねばならん!

消耗を避けながら、相模原、橋本辺りをなんとかせねばならんのだ!」


「はい!仰せの通りにございます!」




3月24日早朝、東伏見城、久我山城から立花家の朝の儀式が始まりました。

祝詞、君が代斉唱、応援歌が続きました。


捕虜達は眠い目を擦りながら目覚めました。

半数近くが二日酔いの状態でした。

目覚めた捕虜達にお茶漬けが配られました。

食事中の彼等に立花家は和議の意向が有ると知らされました。

石神井城、練馬城、赤塚城の明け渡しするなら無事に川越に帰れると言う内容です。


さらに、捕虜の兵士達に大國魂神社の護符が紹介されました。

護符を持ち込み、申し入れすれば救済する護符です。

将来立花家に仕官したい時にも使える事を説明すると希望者に与えました。



食事が済むと捕虜の兵士達が石神井城へ返され、朝8時過ぎに捕虜の兵士達は石神井城に帰還しました。

それから立花家から石神井城に和議勧告の使者が訪れました。

石神井城の将兵に和議勧告が有ったとすぐに知れ渡り、和議を巡って城内のあちこちで口論が発生しました。



―石神井城―

―上杉朝定、長尾信忠―


「殿!立花家からの和議の条件は石神井城、練馬城、赤塚城の引き渡しをすれば、扇谷上杉軍全てが安全に川越城に帰れますが、代償が大き過ぎます!」


「赤塚城を勘弁して貰う事が出来ないのか?」


「状況はかなり劣勢なのは理解出来ますが、練馬、板橋周辺の広大な領地を失います。

簡単には手放せません!」


上杉朝定は筆頭宿老、長尾信忠に任せるしかありません。自分で判断するには責任が大きすぎると考えてあいました。


その頃、城内では主戦論の強硬派が騒ぎます。諦めてる和議賛成派と揉めます。

末端の兵士まで和議に応じるべきか?

議論になってしまいました。


捕虜になって立花軍の食事と酒を頂いた兵士の大半が士気ガタ落ち、二日酔いで戦意喪失、立花軍との文化の差、兵士の資質の差を痛感して戦意喪失した者も有りました。

捕虜を非難する者も居ました。

前日と違い、扇谷上杉軍の士気が剥ぎ取られた状態になりました。


大國魂神社の護符について貰った者を上司に密告する者が有り、石神井城内が護符を巡り揉めました。

立花義秀は揉める事を想定して護符を配布していました。


―久我山―

―立花義秀本陣物見台―

―立花義秀、鹿島政家―


「政家、各部隊に和議の件は伝わったな?」


「はい!使番から全軍に警戒を解かず、現状維持を指示しています。」


「まぁ、気が抜けたかも知れぬが、大局から俯瞰(ふかん)したら押しきれるが、危険の一歩手前の状況だ!

石神井城内の様子はどーだ?」


「殿の予測通り、前日に比べたら士気は半分以下になりました。

城内で意見が対立して纏まらない様子です。

末端の兵士まで口論になっています。

これでは戦える状態に、ありません!」


「だははは!良し!そろそろ許してやるか?

「和議の内容を明かすぞ!

①年内12月31日まで、武蔵国内の婚姻に口を挟まない事。

②年内12月31日まで、立花家に敵対行為をしない。全ての軍事行動、外交において敵対しない事。

③年内12月31日まで、古河公方、足利尊晴氏、関東管領、山内上杉憲政、北条氏康と軍事、外交を通じて立花家に敵対行為をしない事。

④上記を守るなら、和議の条件として、石神井城、練馬城の破棄、付随する領地の破棄のみで許す。

⑤詳細な後始末は立花家の代表と扇谷上杉家の赤塚城主との間で交渉する。

この内容で決める!赤塚城が助かるなら承知するだろう。

しかし、これで赤塚城主を取り込む!

交渉に理由を付けて赤塚城主意外の上層部、要所の人物も取り込むつもりだ!」


「はははは!流石(さすが)

殿!先の先まで考えておられますなぁ?

それで、立花家の代表を誰にしますか?」


「んん、それが難しい、次男の義弘にするか?

(東伏見城主、立花義弘)

練馬城を与えて、吉良頼定か?

宿老から選ぶか?」


「殿!楽しい選択ですなぁ?

人事の機微が有りますなぁ?

ご次男義弘殿か?婿殿吉良頼定殿か?

二人にやらせるのも良し、二人のいずれかに宿老を支えに付けても良し、纏めて三人に任せても良いのでは?」


「そうだな、急がずに対処しよう!」


「はい!では、石神井城の交渉に私が参りましょう。書面を取り交わし、署名捺印して参ります」


「良し、政家!頼んだぞ!

扇谷上杉朝定へ逃げ道を示した。

期限が12月31日なのは守れそうなギリギリの期限だろう。

守る気持ちがあるかどうかは不明だが、和議の内容に同意した事実が大事!

古河公方、足利晴氏、関東管領山内上杉憲政、北条氏康や関東の諸大名達に扇谷上杉朝定が屈服して、和議を結んだ内容が肝心だ。

彼等が期限の約束を守らなくても、仲間を裏切るに近い行為で屈服した事実が大事なのだ!

面倒な仕事をやらせて済まんが頼んだぞ!」


「はい、畏まりました!」


「それから、城の受け渡しについて大事な事がある!

①石神井城、練馬城の城主、将兵の罪を問わず、上杉家将兵の退去を認める。城内の武器、兵糧、財産は持ち出しを禁止する。

②立花家に使えたい者の仕官を認める。

③城内の使用人も希望者があれば採用する。

④石神井城、練馬城の領地は3年間無税にする。

⑤退去は明日までに完了する。

以上だが、ここに、和議の条文と内容全て書き纏めた書面を政家に託す!

これを元に交渉してくれ!」


「はい!喜んで行って参ります!」


鹿島政家が石神井城に向かいました。


和議交渉が始まりました。

破棄する城から赤塚城が外れました。

石神井城と練馬城の二つで済みます。多少、文言や期限について文句を付けてきましたが、城内の家臣や兵士達の手前、抵抗したに過ぎず、交渉は纏まり、書面に署名捺印して和議が成立しました。


立花家の示す条件全てを受け入れた形で扇谷上杉家の敗北が確定しました。


やがて石神井城の退去が始まりました。

石神井城の受け取りは難波田陣地を攻略した佐伯勝長、伊集院忠久に決まりました。

石神井城を巡る戦いに一番功績があった二人に名誉の受け取り役を与えました。


練馬城は吉良頼貞に受け取りを命じました。

練馬城の戦いで城兵を翻弄した功績から当然与えられる名誉の役目でした。



―久我山城―

―立花義秀、鹿島政家―


「政家、見事に和議交渉を纏めてくれた!

感謝してるぞ!」


「殿!元から殿の頭の中に纏まった知恵ではないですか?私は手続きに立ち会ったに過ぎません!」


「だがなぁ、立花家の筆頭宿老が出向いたから早々と和議が成立したのだ。

相手も相応の対応になったのだ。

力攻めしていたら石神井城も練馬城も莫大な修繕費用になっただろう。

交渉で城内の財産全てを受け取り、石神井領と練馬領の財産がほぼ丸々手に入った。

城兵から仕官希望者も予想以上に多数みたいだな?

城内の使用人も採用希望者が多数らしいじゃないか?」


「はい、和議交渉の時に立花家の仕官希望者には禄高制度ではなく、給金制度だと知らせました」



士官に興味を示した彼らは、立花家の給金制度だと毎月支払われるので決まった給与で安心です。

上杉家の禄高制度は米が安定して取れません。毎月支払われるでは無く、年四回から六回の支給となります。現金化も手続きが面倒ですから、

和議交渉中に立花家の給与体系を説明する資料を提示しました。事務方の者達から一般将兵に説明させると多数の兵士が興味を示す事になりました。

さらに城内の使用人の採用にも給与体系、給金制度を公開しました。

昨夜の捕虜達にも立花家の兵士から給与が毎月の現金給付だとか、城内の使用人も毎月の現金給付だと聞いて驚いていた様子が見受けられました。



「そうだな?立花家の現金給付は他家には無理だろうからな?

この現金給付体系が魅力なら赤塚城の取り込みも上手く行くかもしれんな?」


「はい、東伏見城、石神井城、練馬城から各々北に向かって経済的に扇谷上杉領を侵略出来るかも知れません。上杉家中から立花家に採用された人物を仲介に使えば、早い時期に赤塚城を取り込める可能性があります。」


「良し、決めた!石神井城主に佐伯勝長!練馬城を吉良頼貞に与える!

東伏見城の立花義弘と三人で赤塚城及び、周辺の上杉領の領主を取り込み工作をやらせる!

宿老佐伯勝長を首班として、立花義弘、吉良頼貞を指導して貰うぞ!

政家、三名への指示を任せる!暫くここで、後始末を任せる!2、3日で片付けて府中に戻れ!」


「はい、畏まりました!」



「俺は明日、一旦府中へ戻る!

明日から我が軍も撤収して暫しの間、府中で休息したら相模に向かい、北条軍を退治するぞ!」



「ははっ!」


石神井城周辺の戦いが決着しました。

間も無く戦場は相模方面に展開します。





東伏見、石神井周辺の戦いが終結しました。

立花軍優勢のまま、まさかの決断で立花義秀が和議に転じました。


力攻めするより安全に二つの城を獲得出来ました。

消耗を避けた事が良かったかもしれません。


さて、残る戦場は相模方面です。

状況は立花軍有利です。

立花軍は立花義秀率いる主力軍が府中に戻り休息した後、相模に向かうようです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ