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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)12月中旬、勅使、万里小路頼房来訪!

立花義秀は上洛から帰国して以来、慌ただしい日々を過ごしました。府中に招いた同盟大名家の諸将も帰国して、ようやく穏やかな時間がやって来ました。

そこに勅使来訪の知らせが入ります。

義秀は自身の三男、加賀美利久に勅使の護衛を任せました。

1546年(天文15年)12月中旬



12月11日、品川湊に朝廷の勅使、万里小路頼房までのこうじよりふさが到着しました。

府中城に急報が入り、古河公方家、関東管領、前橋上杉家を訪問する事が知らされました。


「遂に来たぞ!政家!勅使からの内示は無かったのか?」

立花義秀は筆頭宿老、鹿島政家に尋ねます。

勅使が古河公方家、関東管領、前橋上杉家に下す処分の内容を少しでも早く知りたい気持ちがありました。


「はい、残念ながら内示はありませんでしたが、古河公方家、関東管領、前橋上杉家に立ち寄り、任務を果たした後に府中城に向かうと知らせがありました!」


「そうか、待ち遠しいぞ!…それで予定通りに勅使に護衛を付けただろうな?」


「はい、ご三男、加賀美利久様が率いる護衛200名に加えて勅使の側近や女官に偽装した手の者を配置しております。

関東の情報に疎い勅使を補佐して府中まで導いて参ります! 

古河公方家や前橋上杉家の処分については早馬で急報する手筈になっております!」


「ぶははは!それは楽しみだ!

さて、立花家の三男が護衛する上に女官の護衛が居るなら勅使殿は楽しい旅になるだろう?

府中に来るのは年末近くになりそうだな?

政家!勅使を迎える支度を頼むぞ!」


「はい、承知致しました!」


勅使、万里小路頼房は品川湊に隣接する品川城に宿泊、翌12日には立花義秀の次男、立花義弘の居城、川口城に宿泊、翌13日には岩槻公方家の岩槻城に宿泊しました。


岩槻公方、足利晴氏は数日前に立花家から勅使の宿泊を打診された時に飛び上がって喜びました。

「これは!勅使が宿泊するなら、朝廷も幕府も岩槻公方家を公認するつもりだぞ!

立花家の護衛付きでくるのか?

良いではないか?立花家には捕虜になった時に生かして解放してくれた借りがあるから許す!

直ぐに勅使を迎える支度を致せ!」

筆頭宿老、野田弘明が晴氏の指示を受けて準備に奔走しました。



やがて、岩槻城に到着した勅使一行を歓待した足利晴氏は喜びの余り、酔った勢いで岩槻公方家創設の理由を勅使、万里小路頼房に語りました。

「勅使殿!私は古河公方家を安泰にする為!

岩槻太田家を滅ぼして家督を嫡男、政孝に譲り、自分は岩槻公方家を創設しました!」


「ほぉ、それは大きな事をなされましたなぁ」

などと勅使、万里小路頼房は受け流します。

勅使は立花義弘から事前に真相を聞いていました。

足利晴氏は立花家との戦いで捕虜になり、後に解放されました。

晴氏は筆頭宿老、簗田高助から強制的に隠居を迫られると察知して、味方の岩槻太田家を不意打ちで滅ぼして岩槻公方家を創設、古河公方家の家督を嫡男、政孝に譲ったのが真相です。


万里小路頼房は足利晴氏が善人だけに、権力者の家臣にお飾り主君になるべくして育てられたと、哀れに感じました。

その様な気持ちの頼房に晴氏は待ちきれずに勅使に問いかけました。


「万里小路様、朝廷と幕府は岩槻公方家を公式に認めるおつもりでありましょうか?」


「はて?…わが身は古河公方家と関東管領、前橋上杉家に対して任務があり関東に下向致しました。

岩槻公方家?…公認について?…岩槻公方家については何も聞かされておりませぬ!」


「なんと!聞いておりませんか?

古河公方家から正式に岩槻公方家の公認申請をしたと聞いていましたが……」

落ち込む晴氏に対して勅使、万里小路頼房は助言をしました。


「足利殿、関東には他にも公方家がございましょう?

小弓公方家がありましたなぁ!

あれは、確か古河公方家が滅ぼしたはずですな?

二年ほど前に、貴方自身が晴氏殿が総大将でしたな?」


「はい、確かに!しかし!あれは父の代に反乱を起こして勝手に小弓公方家を名乗り、反乱を起こしたから征伐致しました!」


「そうでしたか、それで小弓公方家が滅んだ後に上総公方家と下総公方家が出来ましたな?」


「あれは、立花家が房総里見家と手を結び、滅んだ小弓公方家の血縁の男児を擁立して上総公方家を創立した為、仕方無く対抗策として下総公方家を創立致しました!」


「ややこしいですな?

古河公方家の他に小弓公方家、上総公方家、下総公方家、それで更には岩槻公方家…

幕府に許可を取らずに勝手に四つも作りましたね?」


「はい…成り行きで四つになりましたが…」

晴氏が小さな声で答えました。


「そもそも、公方家とは伊豆国、相模国、甲斐国、武蔵国、上総国、下総国、安房国、常陸国、上野国、下野国の関東10ヶ国を統治する為に足利尊氏公の四男、足利基氏公が初代鎌倉公方として任地へ赴かれて幕府公認の鎌倉公方家が誕生致しました。

しかしながら関東を治める事が出来ず、争乱の果てに鎌倉から常陸国の古河に逃れて再起を図り、古河公方家を名乗り、幕府は仕方無く追認する形で承認致しました。

しかし、初代古河公方、足利成氏あしかがしげうじ公以来、公方家の相続争いが続き、足利晴氏殿!貴方も父君と相続争いになり、関東争乱の原因を作りましたな?」


「あっ!……はい、仰せの通りにございます…」

足利晴氏は小さな声で答えました。


「立場がわかりましたかな?

高望みはなさらず、平穏に過ごされる事が無難にございましょう。公認は無理でも…黙認がありますから、気楽に黙認の立場を楽しまれたら宜しかろう?」

万里小路頼房は厳しく叱りながら、最後に黙認の言葉で落とし処を笑顔で示しました。


「えっ?!黙認?!…有り難き言葉に感謝致します!

幕府も朝廷も?黙認してくれるのですね?」


魑魅魍魎の世界に揉まれた貴族の知恵に素直に喜ぶ足利晴氏は機嫌良く持て成しを続けました。

勅使一行は翌14日に岩槻公方家の筆頭宿老、野田弘明の居城、栗橋城に宿泊、翌15日に利根川を渡り、古河城下に入りました。





遂に立花家が待ち望んだ古河公方家、関東管領、前橋上杉家に勅使から処分が言い渡されます。

果たしてその内容は?…

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