1546年(天文15年)5月下旬、立花義秀、今秋の上洛計画公表!
立花義秀の居城、府中城にはひとときの平和な時が流れています。
古河公方家の内部の情勢変化は未だ詳しく掴めてはいませんでした。
1546年(天文15年)5月下旬
5月25日に府中に凱旋した立花義秀は諸将を招いて慰労の酒宴を開きました。
2ヶ月に渡る戦いの話に花が咲き、深夜まで宴会が続き、翌朝はほぼ全員が二日酔いになりました。
26日早朝、朝陽が登り始めました。
府中城、天守閣には20名の若者と松千代が最上階から君が代斉唱、応援歌を合唱します。
「大國魂のー!
大神様に捧ぐー!
我が魂をー!民の安寧とー!
正義の為に捧ぐー!
君が代斉唱ぉー!」
松千代の甲高い声が府中城最上階から大國魂神社の方向に響きます。
「君が代はぁーー!千代にぃーー!
八千代にー!さざれ石のー!
厳となーりてー!
苔のーー!蒸ーすぅーー!
まーぁでー!」
静寂の中に君が代の歌が町に流れ、邪気が祓われた気配に包まれます。
太鼓が鳴り響き、応援歌が始まります。
「おぉーーにぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!
おぉーーにぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!
ダダダン!♪た、ち、ば、な!
ダダダン!♪た、ち、ば、な!
おぉーーにぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!
おぉーーにぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
にぃーーっぽぉーーん!
ダダダン!♪た、ち、ば、な!
ダダダン!♪た、ち、ば、な!
府中の町に朝の儀式が響きました。
太鼓と若者達の声で元気を届けます。
早朝の静寂の中に鳥達の声に混じり、大國魂神社の境内まで応援歌の声が響きました。
府中の町では寺院の時の鐘が鳴らされて朝を知らせます。
二日酔いの諸将達は朝の儀式の声と太鼓の響きに叩き起こされ、付き添いの小姓に促されて半ば無理やり起こされて温めた緑茶を飲まされます。朝風呂に導かれ、大浴場で身体を湯に浸しました。
二日酔いの諸将の為に薬草と柑橘類を混ぜた入浴剤を入れて回復を計りました。
湯から上がると諸将の身体を小姓が椿の花の香りがする石鹸で洗います。
洗い終わると再度湯に浸かり、身体を癒しました。
湯から上がると小姓達が身体を拭いて団扇で風を送り、浴衣を着せました。
「湯女が世話してくれたら極楽なんだがなぁ、兄上(立花義秀)は気が利かないな…」
などと泥酔軍師、立花将広が愚痴を漏らすと、同盟大名の青梅三田家、三田綱秀、滝山大石家、大石定久も頷きました。
湯上がりの諸将達は義秀に朝食の席に招かれ、本丸御殿の展望台に円卓が用意されました。鴨肉と行者ニンニクの朝粥が振る舞われ、山頂に雪が残る美しい富士山を眺めながら談笑が弾みます。円卓には高菜、大根、蕪の漬物、温泉卵などの副菜が諸将の舌を楽しませました。朝粥で腹が満たされ、配られた抹茶入りの緑茶が諸将達の胃に優しく染み込みました。
この席で立花義秀から上洛についての発表が為されました。
「諸兄に知らせる事がある!
二年前に上方、堺の町に訪問団を派遣したが、今年11月頃に堺の町に訪問団を派遣するが、今回は都への上洛を目指す!
俺の名代として立花将広を総代として派遣する!今回は同盟大名家からも上洛に参加して頂きたい!各大名家から代表と少数の随行者を伴って頂くつもりである!
後日、近衛府にて調整する事になる故、協力を頼む!」
「ぶははは!兄上!聞いてないぞー!
だがな、都の酒と美女を見学出来るなら是非にも総代を引き受けます!」
立花将広が笑いながら総代を承知しました。
「兄上!儂が里見家から預かっている里見義弘殿を是非にも連れて参りたいが、里見家に許可を取り付けて貰えないだろうか?」
「よっしゃ!将広!里見家に頼んでみるから任せろ!」
義秀が里見家の了承を取り付ける事を約束しました。
この時同席していた同盟大名家は青梅三田家、三田綱秀、綱重親子、滝山大石家、大石定久、盛将親子は上洛を快諾、親子両者が上洛を望み、今秋の上洛計画は賑やかになりそうです。
今秋の上洛計画が公表されました。
二年前より人数が大幅に増えるかもしれません。




