3月16日朝になりました。平林寺城を包囲する扇谷上杉軍の動きは?滝山城は?
高月城、滝山城が攻撃されます。
越後勢の3万貫!さんまんがん!(笑)
さてどーなる?
1544年(天文13年)3月16日
■平林寺城包囲する扇谷上杉軍
―上杉朝定、長尾信忠―
「信忠、兵士達の供養も終わったぞ!
こちらから動くべきだろう?
志木街道から府中へ向かうべきじゃないのか?」
「はっ、その手もございますが、この先には清瀬城があり、我々の行手は警戒されています。今は滝山城からの状況を待ちながら平林寺城を囲むのが良いかと思います!」
「そうだな。わかった!滞陣する!」
上杉朝定は大人しく長尾信忠の判断に任せました。
―高月城―
一方、八王子方面の高月城では攻撃側の小幡勢3800が昨日奪取した砦を起点に攻撃開始、100メートル上がった場所に弓矢倉があり、三方から弓の雨を浴びて苦戦の末に午前中に進展がありませんでした。
午後になり、上野山内上杉憲政が援軍を派遣、岩松家忠の2000を秋川上流から高月城西側へ向かわせました。
彼らはあきる野から八王子に抜ける街道を進み、険しい七曲りの名所を通過、高月城の南側に布陣しました。
―滝山城、越後勢4000―
滝山城の北側から狭い道を上がり、攻め上がります。道が障害物で塞がれ、撤去しながら上がります。突破した先に弓矢倉がありましたが、三方から弓の雨を浴びて一時的に撤収、午前中の攻撃は失敗に終わりました。
午後からは高月城と滝山城の間にある街道筋から滝山城の西側を通過、柿崎勢1000が滝山城の南に進み、周囲を偵察した結果、南側から攻撃した方が良い事が判明、情報を全部隊に共有し他まま、午後からの攻撃は控えて休息する事になりました。
3月17日になりました。
滝山城から祝詞、君が代斉唱、応援歌が流れます。対面1キロ先の拝島城からも祝詞、君が代、応援歌が流れました。
おぉーぉー!にぃーいーっぽぉーん!
にぃーいーっぽぉーん!
にぃーいーっぽぉーん!
にぃーいーっぽぉーん!
ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!
元気な応援歌が響き、大石家、立花家の連合軍の戦意が高い事を示していました。
越後勢は柿崎勢からの情報を受けて滝山城の北側から南側に移動しています。
滝山城の南側に越後勢4000が集結しました。
滝山城北側に上野山内上杉軍本隊から由良成繁の2000が布陣しました。
―高月城―
高月城の南側から岩松勢 2000が南門を攻撃します。寄せ手の岩松勢は南門の矢倉から雨の如く降る弓矢に阻まれてなかなか進展しませんでしたが、やがて城方の矢が尽きたのか南門を破棄した大石軍は100メートル離れた最教寺と大乗寺に移動して二手に別れて立て籠り、激しい闘いになりました。
しかし、寄手の岩松勢はこの日の朝から高月名物の七曲りの急坂を登り、さらに急坂を下りました。登山の如く険しかった坂でかなり体力を使っています。
体力が尽き始めました。
岩松家忠は無理せず、南門に撤収、ここに陣地を作り、この日、高月城の戦いは特に進展せず、岩松勢は明日に備えました。
―滝山城、越後勢―
早朝、越後勢4000が滝山城の南門攻撃を開始、南門の矢倉から矢の雨にさらされ苦戦しましたが、午後になり城方は南門を破棄、大石軍は後方に下がりました。
南門から4000の越後勢が侵入します。
滝山城内に入った越後勢の前に進路を塞ぐ馬防柵が並んでいます。
通路は馬車2台分の幅しかありません。
その右側には1段下がる1メートルの深さの畑が広がっています。
越後勢は直進する部隊と畑を進む二手の部隊に別れて進みました。
畑の中にも馬防柵があり、行く手を遮ります。越後勢は警戒しながら前進を開始しました。
通路側、畑側も城方の弓矢を浴びながら前進します。
やがて戦いは槍部隊同士の闘いになりました。
越後軍は緩やかな坂を上がりながら進撃を試みますが、城方の激しい抵抗に撃退されて後退、越後勢は無理をせず南門まで撤収、南門を確保して陣地を構え、明日に備えました。
やがて越後勢から滝山城の南門を確保した事が伝わります。
―福生、上野山内上杉憲政本陣―
―上杉憲政、長尾勝久―
「高月城攻めの岩松勢は良くやった!
滝山城の越後勢も進展があったじゃないか?
勝久!北側を埋めないと南側の味方の軍勢にに負担がかかるじゃないか?
今から本陣の4000を二宮城に進めるなら、夕暮れ前に着くだろう?
そこから安中勢2000を割いて高月城北側に布陣せよ!
北側にも注意を向けさせる!」
「殿!急ぐ必要はありませぬ!二宮城に向かうのは明朝の着陣で十分にございます!」
好機に興奮する憲政に対して宿老、長尾勝久は冷静に答えました。
「ダメだ!高月城と滝山城で味方が必死に活路を見つけたからには!今すぐ北側から支援せねばならぬ!
明朝から高月城の北側と、滝山城北側から目立つように攻めるべきだろう?
高月城、滝山城の南側で奮戦する味方を支援するぞー!」
「殿、承知致しました!味方の支援に参ります!」
長尾勝久は素直に引き下がるしかありませんでした。
憲政の言うままに本陣の軍勢4000を二宮城に進めました。
本陣から兵力を分割して安中勝正の2000は高月城北側に布陣しました。
安中勝正の部隊は先日、輸送部隊の護衛に失敗していましたが、挽回の機会を与えられて士気が高まっています。長尾勝久はその意気に期待して彼らを送り出しました。
高月城付近には小幡勢3800が布陣しています。主に東側に展開しています。幸い北側に安中勢2000が布陣出来る場所が空いていました。
二宮城に憲政の本陣の軍勢2000が入りました。多数の軍旗を立てます。
これは高月城付近に布陣する味方を鼓舞する為です。
憲政が叫びます。
「二宮城から鬨の声をあげよ!
高月城周辺に布陣する味方を鼓舞するのだ!」
上野山内上杉軍が攻勢に出た事を誇るように鬨の声があがりました。
「えいえいおぉー!
えいえいおぉー!
えいえいおぉー!」
夕暮れのオレンジ色の空に響きます。高月城の北側を囲む安中勝正2000名の陣地からも鬨の声で答えます。
「えいえいおぉー!
えいえいおぉー!
えいえいおぉー!」
さらに高月城東側を囲む小幡景定3800の陣地からも鬨の声をあげます。
「えいえいおぉー!
えいえいおぉー!
えいえいおぉー!」
―滝山城本丸、大石盛将、立花将広―
夕暮れの本丸から、福生方面の敵勢が見えています。慌ただしく上杉勢の旗が動きました。二宮城方面に軍勢が到着する様子が見えて、別の部隊が高月城北側に布陣する姿が確認出来ました。
「父上!来ました!
上野山内上杉憲政が二宮城に入ったようです。今夜、田圃に水を流しましょう!」
「良し!やるぞ!
ぶははは!夜が待ち遠しいぞ!」
高月城と滝山城周辺に多数の上野山内上杉軍の陣地が設営されています。
高月城
北側、安中勢2000
東側、小幡勢4000
南側、岩松勢2000
合計8000
滝山城
北側、由良勢2000
南側、越後勢4000
合計 6000
上野山内上杉軍、総計14000
寄手の大軍の全容が把握出来ました。
高月城と滝山城に籠城する大石家、立花家の連合軍の士気は旺盛で怯む様子がありません。
「見事に引き込んだぞー!
合図の赤旗をあげろぉー!」
合図の旗、白、黒、黄、そして、赤旗が上がりました。拝島城と高月城の味方が赤旗が上がる様認識しました。
やがて日没前に滝山城から夕暮れの儀式、祝詞
君が代、応援歌が響きました。
対岸の拝島城からも、祝詞、君が代、応援歌が響きました。
「奮ぇー!奮ぇー!た、き、や、まー!
奮ぇー!奮ぇー!た、か、つ、きー!」
夕暮れに意味深な声が響きました。
―3月18日深夜―
同日深夜、高月城、秋川取水口から田圃に水が流れました。高月城内の5本の小川から水路に配水を開始、更に滝山城からも3本の小川から水路に配水を開始しました。
高月城の北から東に田圃の中に水が侵入します。やがて、滝山城周辺の田圃に水が入りました。
高月城北側、安中勝正の陣地から騒ぎが起こりました。
「水が来てるぞー!」
寒さに奮えながら寝ていた兵士が驚きの声をあげて仲間に知らせます。水かさが増してきた所は足のくるぶしを越えました。
草鞋や足袋が冷たく濡れます。堪えられない位冷たい水です。
「わぁー!水が来たぞぉー!」
次第に騒ぎが広がります。
やがて、滝山城北側の田圃に水が流れました。
由良勢も驚き、慌てました。
指揮官達は大事な物から多摩川河川敷に移すように指示を出します。しかし、泥に足を取られて転び、やがては兵糧、弓矢、槍が濡れ始め、騒ぎは大きく広がりました。
―拝島城(立花領、福島勢)―
その頃、拝島城の福島勢は多摩川を小舟で渡り、滝山城の由良勢陣地近くに伏兵50名を配置しています。同士討ちせぬように白い襷を2本体に巻いています。
夜が白み始めました。
声を潜め、音を立てず接近、手前30メートルから奇襲開始、弓30名が闇夜から連射で敵を倒します。槍20名は護衛役です。
シュン!シュン!シュン!
空気を切り裂く音、数名が倒れました。
「敵だぁー!敵襲ぅー!
敵に備えろー!」
由良勢が乱れました。
対岸の拝島城側から太鼓が響きます。
タダダン!ニッポン!
ダダダン!ニッポン!
おーぉーにぃーっぽぉーぉーん!
にぃーいーっぽぉーん!
にぃーいーっぽぉーん!
にぃーいーっぽぉーん!
ハイハイハイハイ!
応援歌が始まりました。
滝山城からも奇襲部隊200名が降りて来ました。
太鼓を響かせ、弓の連射が始まりました。
多摩川河川敷に追い込みます。
対岸には拝島城の兵士が100名が弓を構えて待ち構えます。
由良勢が、多摩川河川敷に逃れても対岸から弓で射たれました。
高月城も奇襲部隊50名を北側に布陣する安中勢に接近させます。
同士討ちを避ける為、奇襲部隊を少数の兵に絞り、弓30名が連射して槍20名が護衛して秋川の河川敷に追い込む作戦を展開します。
太鼓を響かせ弓の連射で安中勢に迫りました。
安中勢は秋川に向かって逃げようとします。
3月中旬の水は冷たく、安中勢は腰から胸まで濡れながら逃げました。
高月城東側の小幡勢にも城方から奇襲部隊を
送り、敵に奪われた東側の3ヶ所の砦を攻撃しました。
油入りの壺を砦の壁にぶつけます。
砦の中にも投げ入れます。
多数の火矢が放たれました。
やがて、火に包まれる3ヶ所の砦から小幡勢の兵士達が逃げ出します。
砦が燃えて辺りが明るくなり、小幡勢の陣地が明るく照らされます。砦の脇から奇襲部隊200名が彼らを追跡、多摩川河川敷に追い立てます。
やがて、夜が明け始めました。
―二宮城、上杉憲政、長尾勝久―
「殿ぉー!味方が高月城の奇襲を受けたようです。
甲冑を着て下さい!」
「わかった!逃げるのか?」
「いえ、逃げたり致しません!
備えが出来たら援軍に出る覚悟でお待ちください!
軍勢が纏まり次第、間もなく出発致します!」
憲政は奇襲に同様して弱気になっていました。
長尾勝久はその様子を咎めずに援軍に出掛ける事を告げています。
憲政は近習に手伝わせて甲冑を装着しました。
戦場に向かう恐怖が迫り、少しずつ身体が小刻みに震えます。
二宮城から高月城周辺までは僅か2キロ、出発したら直ぐに戦場に到着します。
憲政の心中は逃げたい気持ちと、味方を救う義務が心の中で葛藤しています。
心臓の鼓動が早まり、ドクドクと音が聞こえる程になりました。
「行かねばならぬよな?」
震える声で憲政が近習に呟きます。
近習はただ頷くだけでした…
外が騒がしくなりました。
「急げ!間もなく出るぞ!」
「予備の武器を忘れるな!」
「戦場は近いから兵糧は要らぬ!」
周囲が慌ただしくなりました。
高月城、滝山城の反撃が発動しました!
投稿してから、多数のミスが判明、誤字脱字、表現ミス、分かりにくい文章、発見次第5回?
修正加筆しました。
修正前に見て頂いた方にお詫びもうしあげます。
ゆるーく、許してくださーい。




