1544年(天文13年)3月8日、青梅三田家、青年武将と山内上杉軍の戦い!
滝山城に向かわせた補給部隊が壊滅しました。
怒った上野山内上杉憲政、兵力二千を三田領、今井城付近に布陣、東に1キロ先に藤橋城があります。攻めるには兵力が足りません。
今井城を攻めると藤橋城が援軍に来ます。
上杉憲政の意図は?
宮寺城の北に布陣した兵力二千は?
こちらは報復するのか?
こちらも2キロ東に箱根ケ崎城があります。
こちらも攻めるには兵力が足りません。
上杉憲政の頭の中にどんな策があるのか?
川越から動き出した扇谷上杉軍の動きは?
1544年(天文13年)3月8日早朝
宮寺城の北2キロに布陣する上野山内上杉軍二千の将兵が眠りから叩き起こされました。
早朝、宮寺城から祝詞、君が代斉唱、太鼓が鳴るとダダダン!ニッポンダダダン!ニッポン!だとか、へいへいへいへい!
「うるせぇな朝から元気な奴らだ!」
上野山内上杉軍の兵士達が呟きます。
─2キロ東、箱根ケ崎城─
へいへいへいへい!
おぉーぉーおーにぃーぃーっぽぉーおーん!
にぃーっぽん!にぃーっぽん!
にぃーっぽぉーん!
へいへいへいへい!
「なんだょ!元気なやつらだな?」
上野山内上杉軍兵士達は緊張感に欠けていました。
数時間後、上野山内上杉軍二千の補給部隊が、彼らが布陣する陣地前を右折、西に進路を取りました。
令和の時代でも茶所通りの名前の道を進みました。立花領と三田領の境目で広大な茶畑が広がっています。
補給部隊の護衛の為に前日から敵の部隊が宮寺城を押さえてた事が判明しました。
補給部隊が西に2キロ進むと三田領、今井城の南500メートルを通過します。
その時、前日に今井城の東2キロに布陣した上野山内上杉軍二千が東に進軍、今井城前に五百の兵力を展開、さらに東1キロの藤橋城にも五百の兵力を展開しました。
残る千名は今井城から東に1キロ地点に待機しています。
補給部隊二千は藤橋城の南側から左折、南下して羽村方面の藤田勢二千の陣地を目指しました。
今井城からも藤橋城からも敵補給部隊が南に消えて行くのを確認しました。
暫くすると今井城と藤橋城に展開した敵が撤収します。監視の為、百名ほどの監視部隊がそれぞれ距離を保ちながら追跡しました。
五百メートルほど追跡すると、民家に入り略奪、放火、大事な茶畑を荒らした後が見えました。
怒りに燃えた監視部隊二百名が上杉軍の最後尾に取りつきました。
今井城からも火が見えます。
「行くぞぉー!」
城主、来住野泰知が二百名を連れて駆け出します。
隣の城主、師岡和春も今井城から知らせを受けて二百名を率いて駆けつけます。
監視部隊二百名が上杉軍最後尾に弓矢を連射します。周りを垣根に囲まれた道です。最後尾の上杉軍兵士は弓矢の連射に次々倒されます。
来た道を足早に撤収中に背後から弓矢の連射、忽ち上杉軍の数十名が倒されました。
三田家の監視部隊は冷静に弓矢の連射で敵の最後尾と20メートルほどの間隔を保ちながら追跡します。敵が接近すると後退、敵が背中を向けると追跡します。
冷静に今井城から応援が来る時間を待ちながら追跡します。
敵軍の半数千名は道を東に後退、
残る半数千名は南に200メートルの霞川に展開しました。
どちらに進んでも包囲される状況です。
その時、今井城から来住野泰知の二百が追いつきました。
霞川に上杉軍千名、三田家の軍勢は三百名、さらに東に遠ざかる上野山内上杉軍、倉賀野勢一千名のは連携せず、後は宜しく!とばかりに無責任にも陣地へ去りました。
この怠慢が後悔する事になります。
「後方を行軍する千名に任せりゃ三田家の軍勢など圧倒して十分でしょう!」
等と軽く考える武将、倉賀野尚之、そんな脳天気な武将がいるからダメな上杉軍、倉賀野勢は1キロ先の陣地に帰ってしまいました。
来住野泰知は三百名対千名の不利な戦いを決意しました。騎馬二十騎、弓部隊百名、槍部隊百八十名、三倍の敵に挑み、仲間に熱い気持ちを叫びます。
「ここに居る俺達の中に臆病者は居ないはずだ!俺に命を預けてくれ!
地形はこちらが高台、霞川に向かって下る坂道だ!
今から横に長く広がってる敵の右端に弓矢の連射を浴びせる!
三百名が下り坂を右端の敵だけ狙って突入する!全員が密集隊形だ!」
「右端の敵を突破して霞川対岸の湿地を抜けて!大國龍魂神社(大國魂神社系列です)の丘に向かう!
追いかける敵軍を泥沼にハメてやるぞ!」
「我らの最後尾に二十名の弓隊!
お主達が左側から包囲して来る敵を連射して防いでくれ!
騎馬二十騎は最後尾の弓隊を騎上から弓矢で援護してくれ!
遅れずに最後に川を渡ってついて来てくれ!」
「大國魂の大神様!
我が魂は!
正義と!民の安寧の為に!
この身を捧げます!
行くぞぉー!!」
「うぉーおー!!いくぞぉー!」
兵士達は皆奮い立ちました。
三田家、今井城主、来住野泰知率いる三百名が敵軍右端に殺到しました。
─上野山内上杉軍千名─
「何だぁー?三田家の奴ら本気か?
三百名対千名だぜ?
まぁ美味しい獲物を頂くぞ!」
「マジかょ?こっちに来るぞ!
弓矢の連射すげーぞ?!
連射!連射!長槍が密集ヤバいじゃん?
やべー!戦えー!」
来住野泰知の熱意が三百名を勇者に仕立てました。死兵の様な三百名の塊が弓矢の連射、長槍の連携で上野山内上杉軍の右端を粉砕します。
霞川を渡り、対岸から細道を走り、大國龍魂神社の丘に辿り着きました。
「皆付いて来たか?来てくれたか?」
すでに涙溢れる来住野泰知、側に居る仲間も涙をためていました。
目の前で落命した仲間がいます。
助けられず、速度を落とさず川を渡り、必死に密集を守り、切り抜けました。
大國龍魂神社の丘に迫る敵は対岸に逃げた来住野勢三百を追いかけ、手柄を焦り、湿地帯の泥沼にはまりました。
地元だから知る地形に敵軍が嵌まりました。来住野泰知と兵士達は神社の丘で少し休息を取りました。
その時、藤橋城から師岡和春率いる二百名が到着、湿地帯にはまる上野山内上杉軍を弓矢で連射しで倒すのが見えました。
大國龍魂神社を目指す敵の側面から弓矢の雨にさらしています。
「泰知ぉーおー!
少し休んでろぉー!
俺達に任せろぉー!」
来住野達が限界近く疲れてるのを理解してる幼なじみの和春の軍勢は自分達を犠牲にしてまで命を張ります。
来住野泰知が叫びます。
「藤橋城から味方が来たぞぉー!
師岡和春の二百名が来たぞぉー!
俺達もいくぞぉー!
焦らず霞川に追い込むぞぉー!
諸岡勢を死なせるなぁー!
いくぞぉー!」
「わぁーーぁ!いけぇー!
藤橋の仲間を死なせるなぁー!!」
タイミング抜群で藤橋城から師岡和春の軍勢二百名が西から敵軍を霞川に追い込みます。
来住野勢三百名も南から敵軍を霞川に追い込みに掛かります。
「よーし!ここまでだ!追撃終了だー!
体力が尽きないうちに撤収!」
来住野が呼び掛けました。
今井城、藤橋城の全員が肩を叩きながら喜びを爆発させます。
「やったー!勝ったぞー!」
「泰知ぉー!和春!」
二人が抱き合います。
「生きてるぞぉー!!」
勝利して生き伸びた喜びを分かち合います。
「エイエイおー!
エイエイおー!エイエイおー!」
おぉーぉーおーにぃーぃーっぽぉーおーん!
にぃーっぽん!にぃーっぽん!
にぃーっぽーん!
へいへいへいへい!
おぉーぉーおーにぃーぃーっぽぉーおーん!
にぃーっぽん!にぃーっぽん!にぃーっぽーん!
へいへいへいへい!
命を落とした仲間に祈りながら歓喜の歌が響きました。泣きながら跳び跳ねました。
深追いは危険と判断は正解でした。
敵軍には無傷の千名が1キロ先に居ました。
彼らが仲間に任せて放置したお陰で六百名の軍勢で残った千名に勝利しました。
今井城、藤橋城に帰ると勝鬨があがりました。
おぉーぉーおーにぃーぃーっぽぉーおーん!
楽しく歌ってピョンピョン跳び跳ねました。
この戦いは三田軍六百対上野山内上杉軍二千
三田軍の死者八十名、負傷者百二十名
上野山内上杉軍、死者百五十名、負傷者二百五十名
三田軍の死傷損耗率33パーセント
上野山内上杉軍死傷損耗率20%
しかし、半分の千名と戦ったとすると40%完敗の数字です。
三田家の将兵の勇気が勝利を掴みました。
三田家、今井城主、来住野泰知
名将の器かもしれません。
先に今井城から引き揚げた上野山内上杉軍、倉賀野勢千名は陣地で遅い昼飯を食べ終わる頃、大敗した味方が帰って来ました。
1キロ西の戦場から血だらけの負傷者でした。慌て味方を迎える。
怒号が飛びます。
「お前ら何してたんだぁー!
何で逃げたんだぁー!」
楽勝だと思ったら負けてしまった怒りと、戦いを放棄した味方への思いが爆発、あちこちで喧嘩が始まりました。
しかし、余りにも多数の負傷者が帰って来ると殴り合いの喧嘩どころでは無く、治療を優先しなければなりませんでした。
損害は戦死百五十、負傷者二百五十、マイナス四百になりました。
問題は滝山城に向かう予定が狂い、負傷者の二百名は重傷です。
倉賀野尚之は頭を抱えました。
このままなら、まともに治療出来ず死者が増える一方になります。
敵の支配地域に深入りした状況で治療出来ず、治療可能な川越まで20キロ、二百名分の戸板を調達なんて無理でした。
調達出来たとして、戸板一つに四名で運ぶから八百名必要です。交代しなきゃ無理だからプラス八百名、生き残りの千六百全員で運ぶのか?それでも無理だ身体が持つはずもありません。
倉賀野尚之は安易に略奪を許した結果、天罰を受けたと感じました。
「ここから動けぬ!俺が招いた大敗だ!
俺が切腹しても足りない!」
若きお館様(上杉憲政)は「重傷でダメな奴らは見捨てろ!」
などと過去に命じた事が幾度かありました。
「俺には出来ぬ!」
項を垂れる尚之は涙を流して後悔しました。
夕方になり、2キロ離れた今井城から使者が来ました。
降伏勧告か?攻撃予告か?
来るならここで死ねる?
上杉憲政の罵声浴びるよりましだと倉賀野尚之は覚悟しました。
意外にも使者が伝えるのは今井城主、来住野泰知から重傷者から軽症者全て治療の申し込みでした。
「治療を認めてくれたら陣地で応急手当した後は今井城及び近くの寺社に引き取り、完治するまで面倒を見る。
さらには上野山内上杉領内まで送届ける事を約束する。」
これは正々堂々戦った相手に敬意を抱いたからであり、大國魂の大神様に誓って約束すると有り得ないような申し出が為されました。
自分が略奪、放火、茶畑を荒らせ!と命じたのに、判断を誤り、半分の兵力で足りると舐めて戦って大敗したのに…略奪を咎めず、卑怯な俺に正々堂々戦ったと…
倉賀野尚之は声をあげて泣きました。
やがて倉賀野尚之は申し出を受け入れ、
応急手当を受けた重症者を次々今井城や寺社、裕福な民家に運びました。
藤橋城主、師岡和春からも受け入れの申し出があり、多数の重傷者が運ばれ、深夜まで掛かる作業が終わりました。
尚之がこれからの身の振り方を考えていると、今井城から来住野泰知がわずかな護衛を連れてやってきました。
尚之が平伏して感謝の言葉を伝えると、青梅の清酒澤乃井の極上吟醸酒を勧める。青梅特産の酒のつまみが旨い、梅のおむすびがまた旨い。
余りにも旨い清酒、吟醸酒に、しかも濁酒しか知らぬ尚之が驚いた。
「身の振り方にお悩みですか?」
ズバリ言い当てられた尚之…
「もう、私に帰る故郷はありません。
父母に合わせる顔も無し、お館様にお詫びの仕様もありません。」
尚之は涙を流します。
「ならばこちらに、温泉に浸かりながら今井城におりなされ!
重傷者の治療の間、彼らの心の友になってくださらんか?」
来住野泰知の申し出が胸に染みたのか、涙が止まらない尚之…
「故郷に帰る迄、彼らの話し相手になってくださらんか?我々には出来ぬ事が有りすぎて困っております。
貴方がここに居る限り彼らは故郷に帰る希望が持てます」
さらに、涙が止まらない尚之…
周りの兵士達にも吟醸酒と握り飯、青梅特産の酒のツマミが振る舞われています。
三田家の者達は武装を解き、府中から流行してる漢服で、談笑しています。
「こちらにおられたい方の滞在費は全て三田家にお任せくだされ、お手当て、ほかに必要あらば皆用意いたしまする。
負傷した方々は名誉の負傷!
世話をなさった残りの千六百名の皆様も立派でごいます。
ご希望とあらば、全員こちらにのこられてもかまいません!」
「千六百名の皆様の滞在費、お手当て、必要物全て用意いたしまする。
これは、府中の立花家、宿老筆頭、鹿島政家様からも保証頂いております」
周りには尚之の部下達が何人も泣いていました。
「皆さまが希望すれば三田家、大石家、立花家にお仕えする事も可能です。とりあえず、負傷した皆様のお話し相手をしながらゆっくり温泉を楽しんで頂きたいと思います。」
木住野泰知の言葉に周りから小さな拍手が上がりました。
倉賀野尚之の兵士、重傷者二百名が今井城、藤橋城付近に滞在する事になりました。
残り六百名が倉賀野尚之と今井城、藤橋城に残り、約千名が数日滞在した後、故郷の上野に帰国したい!と申し出がありました。
大半が半分武士、半分農民みたいな中途半端な地位の民です。
三田家の兵士の軍装は弓矢部隊、槍部隊、騎馬隊、みな統一性ある防御力が高い甲冑になっています。
自分達が貧弱な軍装に対してこの装備の違いに驚きました。
貧弱な装備で勝てる筈も無し、戦う目的を失っていました。
彼らは今回の戦いで帰農する事を決めたらしく、滝山城の戦いが終わってから帰る事を勧めるが、早く帰りたい彼らをこれ以上止める事が出来ませんでした。
来住野泰知と師岡和春は、故郷に帰る者達を戦場になった霞川の側にある大國龍魂神社に招きました。
「こちらは府中の大國魂神社の分社です。大國魂の大神様に命がある事を感謝して、家族に会えるよう、祈願して別れよう!」
木住野泰知が呼び掛けました。
大國龍魂神社の眼下で行われた戦い、境内には戦いで亡くなった両軍兵士達の慰霊碑があります。
集まった全員で黙祷を捧げました。
さらに本殿にて宮司の祈祷を受けて、大神様に祈願を済ませました。
大神様からの贈り物として、お守り、護符、慰労金を一人ずつ贈りました。
護符には大國魂神社の大神様に助けを求める、または立花家、親戚筋の三田家、大石家に救いを求めれば、大神様の意思で助ける事が書かれており、護符を持ち込めば救われると説明しました。
上野の国に大國魂神社の直系の神社はありませんが、八幡宮の名前がつく神社が提携しています。こちらを通す、または、大國魂神社の系列、三ノ宮の大宮氷川神社、四ノ宮、秩父神社に願いを届ける事を伝えました。
慰労金は貰ったご本人が驚く金額です。嬉しくて笑みがこぼれます。
皆肩を叩き、別れを惜しみました。
故郷に帰るにあたり、旅人や商人等、変装して帰します。
無事帰る道筋を想定して、地図を持たせました。別れの時がきました。
見えなくなるまで手を振りました。
涙を流す彼らは無事に家族に合える保証はありません。自分達で切り抜ける必要がありました。
だが、軍から離れ勝手に帰る行為は危険でした。もう、故郷に帰りたい気持ちが焦りました。
やがて、故郷に帰る途中、味方のはずの上野山内上杉軍に捕まり、家族に会えずに亡くなる者が続出しました。
数日後、今井城の英雄!今井城の魔術師!って、紙芝居の人気ネタになり、やがて立花家の芝居公演で上演され、大人気になります。
幼なじみの藤橋城主、師岡和春との命を張った友情、今井城と藤橋城の兵士達の友情が描かれます。
今井城主、来住野泰知が憎い敵に温情を掛けて二千名の軍勢を味方にした話しになりました。
三田家に隠れてた優秀な武将が現れました。
三田家の飛躍を担う武将かもしれません。
しかし、その裏に悲しい事がありました。家族に合えなかった多数の魂が天に召されました。
三田家に英雄が現れました。
今井城主、来住野泰知、藤橋城主師岡和春の命をかけた友情…
大まかなストーリーを考えて書いていましたが、書きながら何がが降りてきました。
インスピレーションが降りて来て
また、流れが変わり、自分でも思わぬ方向に流れました。
敵にまさかの温情で二千の軍勢が解体消滅?
以前に補給部隊も粉砕、補給物資消滅しました。
少しずつ凄い武将?現れるのかな?
まだ凄いヒーローがきっと来るぅー!?
あっ!関東管領様、上野山内上杉憲政のお坊っちゃまがー!怒って大変かもー?(笑)
毎回ですが、投稿してから確認すると、分かりにくい表現や誤字脱字、数字まちがえた!
修正、加筆だらけで反省の毎日です。
数字が五百、500、どちらが読み手に見易いのか?わかっていません。混ぜこぜを許してください。
漢数字が書き込みしずらいから500がいいのかも?
そのあたりもゆるーく御許しくださーい。
2024年6月5日、初期の投稿で稚拙な文章を少しだけ修正しました。
中学生が書いたみたいな文章で申し訳ありません。




