1546年(天文15年)4月30日午後、鉢形城攻撃へ!
車山から見た鉢形城は難攻不落と言われるのも納得の姿でした。
しかし、弱点さえ見つければ、打開策が有るやもしれません。
1546年(天文15年)4月30日午後~
─鉢形城東側、外曲輪、連雀曲輪攻撃部隊─
車山の陣地にて軍議を終えた諸将は各々の攻め口に移動しました。
立花義弘の5000の軍勢が外曲輪の外側、城下町に侵入しました。
福島正義の軍勢4000も連雀曲輪に迫る為、城下町に侵入しました。
鉢形城の城下町は東側から南側にかけて碁盤の目の様に整備されています。
城下町を抜けて外曲輪、連雀曲輪の前に先頭の部隊が到達する頃でした。
城下町の至る場所から火の手が上りました。
鉢形城の外曲輪から500の城兵が出撃します。「掛かれー!立花軍を追い立てろー!」
総大将、立花義弘の軍勢に襲いかかります。背後には放火された城下町と分散して配置された城兵が屋根の上から弓矢を放ちます。
城兵と城下町の炎の挟撃を受けました。
福島勢も連雀曲輪から500の城兵が出撃、城下町の炎に挟撃されて混乱します。
「掛かれー!掛かれー?」
城兵達が攻め立てます。
立花義弘は即座に不利を悟り、移動する事が必要だと判断します。
「慌てるな!荒川方面が風上だ!北へ移動!
北へ移動だー!」
「真っ直ぐに下がるな!北へ移動だ!」
押されるままに下がると城下町に放たれた炎に包まれる可能性がありました。
立花義弘の軍勢は北へ移動します。
移動する背後から城兵達は弓を放ち、長槍で追い立てます。
連雀曲輪の前で城兵と城下町の炎に挟撃された福島勢は東から西へ風が流れるのを把握しました。
福島正義は南へ退避する事を判断しました。
「南へ移動だ!左手側!南へ移動せよ!」
移動する背後から城兵達が弓を放ち、長槍で追撃しました。
立花義弘の軍勢は危機を脱して荒川の近くまで退避しました。福島正義の軍勢は南の車山陣地の麓近くに退避しました。
放火された城下町は次々に燃え広がり、炎が風を呼び、荒川から吹く風と南の車山から吹き下ろす風を引き込み、延焼地域が拡大しました。
城下町の上空の風は複雑に吹き荒れて炎の勢いを強める事になりました。
煙は鉢形城へ降りかかり、西側と南側へ白煙と火災独特の匂いが蔓延しました。
─立花義弘、側近─
「鉢形藤田家は正気か?
城下町を焼くなんて民の事を考えて無いのか?」
「殿、捕虜の情報から外曲輪、連雀曲輪の指揮官、阿佐美信隆の指示で放火したとの事ですが、どうされますか?」
「そうだな、矢文で城方の悪事を追及する!
鉢形藤田家当主、藤田友綱の指示で城下町を放火した事を弾劾するぞ!」
「殿、阿佐美信隆の仕業を当主の藤田友綱にすり替えて追及するのですね?」
「そうした方が面白いだろう?
多数の矢文を城内へ放ち、大声自慢の兵士に罵らせるのだ。」
「承知致しました。手配致します!」
「ぐはははは!悪者にされた藤田友綱が怒るだろうし、主人に悪名を着せてしまった阿佐美信隆は追い詰められて猪武者になるだろう。
戦い易くなるはずだぞ。」
立花義弘の指示は直ぐに実行されました。
城下町を焼かせた悪者にされた藤田友綱は怒り?放火した阿佐美信隆に激怒しました。
宿老の、児玉勝長に宥められましたが、阿佐美信隆への信頼は揺らぎました。
鉢形城の外曲輪、連雀曲輪を託された阿佐美信隆は最善策と信じて立花軍を城下町と曲輪の間で炎との挟撃を計りました。
しかし、結果は以外な事になりました。




