1544年(天文13年)2月、立花家の新しい儀式が始まる。滝山城に重大な秘密が判明!
滝山城には意外な秘密がありました。
滝山城の敷地は少林寺の領地だと判明します。
1544年(天文13年)2月1日
立花家領内全ての城、早朝、君が代斉唱を含む新しい儀式が始まりました。
若者20名、冷たい空気中に向かって元気に声を出します。太鼓の音が府中の町に響きます。
「おおくにーたまのーー!!
おおかみさまにぃーー!捧ぐぅー!!
我がー魂ぃーおー!
正義とー民の安寧の為にぃーぃー!
捧ぐぅー!!」
「君が代斉唱ぉー!
「君がぁーあー代ぉおーわぁー!
千代にーぃーいー!やぁーちぃーよーに!
さざれぇーいーしぃーのぉーー!
巌とぉーおーなぁーりてぇー!
苔ぇーのぉーー!むぅーーすぅうーう!
まぁーあぁーーでぇーー!」
太鼓が響きます。
ダダダン!ニッポン!
ダダダン!ニッポン!
おーー!にぃーいーっぽーん!
にぃーいーっぽん!にぃーいーっぽん!
にぃーいーっぽーん!!
にぃーいーっぽーん!!
ヘイヘイヘイヘイ!
おーー!にぃーいーっぽーん!
にぃーいーっぽん!にぃーいーっぽん!
にぃーいーっぽーん!
ヘイヘイヘイヘイ
ダダダン!たちばな!
ダダダン!たちばな!
若者達の声が響き、府中の町に新たな儀式が始まりました。
2月1日から早朝、日没前に毎日実施されます。
やがて領内に真似する事が流行しました。
2月3日、立花家当主の弟、立花将広が軍勢を率いて滝山城に向かいます。
軍勢は府中城から行列が出発しました。
立花家の菊紋の軍旗百、儀仗騎兵二百、結納品を運ぶ歩兵二百、将広本隊、騎馬二百、歩兵三百、普請材料と日本酒、焼酎の酒樽多数と工兵部隊五百、合計千五百の長い行列が進む。
府中城から大國魂神社前を行進します。
沿道は日の丸の小旗を振る民衆で溢れました。
太鼓が響きます。
ダダダン!ニッポン!
ダダダン!ニッポン!
おーぉーおーにぃーっぼーぉーん!
にぃーっぼーぉーん!にぃーっぼーぉーん!
にぃーっぼーぉーん!
ヘイヘイヘイヘイ!
ダダダン!たちばな!
ダダダン!たちはな!
沿道に立花義秀が送り込んだ楽士達が太鼓の響きと声援を上げて盛り上げました。
楽士達の太鼓、サッカー式応援歌に合わせて飛びはねて一緒ににぃーいーっぽん!にぃーいーっぽん!にぃーいーっぽーん!!
ヘイヘイヘイヘイ!!
などと歌います。
立花将広は世田谷城の外交交渉を成立させて立花家を救った英雄だと知られています。
次男が大石家の養子に迎えられ、結納の挨拶に向かう行列に、日の丸の小旗が振られています。
大國魂神社前から甲州街道を立川方面→日野城下でたくさんの民衆が行列を大声援で迎えました。
日の丸の小旗が振られてます。こちらにも当主、立花義秀が用意した楽士達がサッカー式応援歌で迎えます。
おー!ぉーにぃーぃーっぽぉおーぉーん!!
にぃーぃーぽん!にぃーいっーぽん!
にぃーいっーぽん!
ヘイヘイヘイヘイ!!
民衆達も一緒に歌い!飛びはねています。
子供達がメチャ楽しそうです。
左前方の山に日野城が見えます。城から手を振る城兵達が叫んでいます。
「将広様ぁー!」
「将広様ぁーあー!」
「おめでとうございまぁーあぁーーす!」
声援が続きます。
太鼓が響きます。
ダダダン!ニッポン!
ダダダン!ニッポン!
おーぉーにぃーいーっぽーん!
にぃーいーっぽん!にぃーいーっぽん!
にぃーいーっぽん!
ヘイヘイヘイヘイ!
応援歌が歌われ、世田谷交渉の英雄は大人気になりました。
紙芝居の宣伝効果は絶大です。
長い坂道をあがりきると正面に高尾山が遠くに見えてきます。行列一行は高尾山が神聖な御神体と信じています。高尾山の神様に祈りながら進むと、少し左前方に白く雪景色の富士山が姿を表します。丹沢山脈の山々もまだ山頂付近に雪が残っています。
やがて、東光寺城(日野市)から軍事用に切り開かれた道筋から滝山街道に入ります。
大石家と対立した時代、日野城から東光寺城を結び、滝山城に一気に迫る為に作られた甲州街道と滝山街道を結ぶ軍用道を進みます。
滝山街道に入り、西へ進軍すると滝山城が見えます。
滝山街道から滝山城の南門に至る入り口の前には、大石家の一族、家臣達がお辞儀をしています。回りには民衆達が道筋に平伏している姿は、立花家の領地とは違う光景でした。
大石家の挨拶を受けて滝山城内へ
立花将広が城内を見渡しながら思考します。
「滝山城に繋がる南側の弱点を確認しながら、先へ進む、左側には崖、道筋は馬車二列の幅のがある。道から先は一段下がり、三尺強(1メートル)ばかりの低い地形。
辺りは畑になっている。
崖上に弓矢倉を作るか?通路から一段低い畑に追い込み楽しめそうだな?」
「真っ直ぐ2丁(220メートル)先から急角度で左折すると、いいぞ!この辺りに仕掛けを作るならば敵が密集して渋滞になり、下の畑に落ちる、後ろから来る軍列が混乱して楽しくなりそうだ!」
「左折した先1丁(110メートル)の右側に少林寺の山門がある。右側のあの急な坂がいいなじゃないか!少林寺の本殿近くに砦を作れば凄い防御力になるぞ!」
「さらに1丁(110メートル)先から右折して急な坂!左側がずっと削って道幅作ったから高い柵を付けて工夫すれば、左の山全体が弓矢の攻撃に適した射撃場になりそうだ!
ぶはははは!これは楽しみな地形だぞ!」
やがて滝山城本丸で歓待された一行は、府中から持ち込んだ日本酒、焼酎を出して楽しく歓談しました。
「なにー??!!」
立花将広絶句??
大石定久から信じられない話しがありました。滝山城の敷地は少林寺の領地だと判明、
少林寺の住職が認めないから、築城以来、あの当たりに防御施設作れず、作らせて貰えない事が判明しました。
「滝山一帯が元々少林寺の領地!?
築城する時の約束で景色壊すから少林寺近くのあたり景色壊したらダメ?
作らせない約束でやっと滝山城の築城が許されたって??」
「ちょっと待てょ!滝山城って借地なのかぁ?
お寺さんの領地で借地?
賃貸契約してるだと?
大石家の一族が信濃国からやって来た時以来の古い歴史があるお寺さんなのか?
それじゃ、頑固な住職は大石家の血筋なんだな?
毎月いくら払ってるんだ?
嫁の実家のアニキでわけありで背中に龍の刺青してるだと!?
怖い奴じゃないか?」
「おぃ土方!
土方!こんな話しは聞いてないぞ!
なんで黙ってたんだ!」
立花義秀に命ぜられて治水土木奉行として随伴している土方はニコニコ笑っています。
ひたすら平伏する土方信将が諭します。
「腹をくくりましょう!
世田谷城で絶体絶命、もうダメーっ!て状況から吉良家、岩槻太田家、江戸太田家の猛者をベロンベロンに酔わせて品川湊の条約結んだじゃないですか!」
「アホたれ!
秘密を、バラすな!」
「いぃえ!!事実ですから、一回出来たんだから!もう一回!おかわり!の、もう一回です!ベロベロに酔わせて契約書にハンコ貰ったら勝ちですから!」
「わかった!やけくそだ!
ハンコ貰ったら、勝ちなんだよな?
よしっ!土方!府中から連れて来た中から美女達を集めろ!
化粧バッチリで酒と色仕掛けで住職を落とす!
大石家と立花家、しらふで頭回る奴集めろ!
少林寺住職と交渉する原案を作れ!
ひとつ目は少林寺住職に有利に見える原案だ!
ふたつ目は大石家、立花家に有利な原案だ!
ふたつ共、契約書になる書体に作り、しらふの時にひとつ目を出して話しを進める!
ベロベロに酔わせてから二つ目の原案を見せてハンコを貰うぞ!支度が出来たらすぐに少林寺へ行くぞ!」
大石家、立花家の家臣達が慌ただしく立ち回り、2時間で準備が出来ました。
少林寺に立花将広の一行が訪れました。
翌朝、ベロベロの立花将広が大石定久の待つ本丸に帰ってきました。
「ほれ!契約書だ!ハンコ貰ったぞ!
あのくそ住職は欲張りな奴でなかなか酒が強くてしぶとい奴だった。
美女達がいなかったらハンコ貰えず、滝山が落城するはめになったかも知れん!
住職は少林寺本殿から門気構え、あちこち全部建て直しを要求しやがった!
全額立花家の負担だぞ!
想定内だから承諾した。
エロ住職が寂しいから後添えの妻が欲しいとか抜かしやかった!
今60歳らしいじゃないか?
それは認めた振りして契約書には記載しとらんがな…」
「少林寺の全てを改修する見返りに、周囲に防御施設を普請するのを認めた!
滝山一帯の少林寺の領地は立花家に売却!
総額5000貫!(5億円)
したがって少林寺と大石家の滝山城の賃貸契約は終了する。」
「この契約書は大國魂神社の大神様に誓って双方の合意に基づき押印した。平等な立場で合意に至り、後から苦情を申し出さない!
となってるから安心してくれ!
詐欺じゃないからな!」
「ぶははは!
これで滝山城は賃貸契約終わった!
形は今は立花家所有だが、俺の次男が家督継ぐにあたり、立花家から所有権を譲渡されるはずだからな!
明日から南側の普請作業にかかるぞ!」
「しかし、兄貴に報告するとなると頭が痛いな…
滝山城周辺が賃貸契約でした…
それ故、全部購入契約しました…
まぁ報告書にして知らんふりするしかねぇな…
滝山城守るのが大義だからな…」
大役を果たしながら、兄へ報告するのが怖い立花将広でありました。
少林寺と交わした契約書を受け取り、滝山城主、大石定久は立花将広に深々と頭を下げて感謝の言葉を捧げました。
立花将広が酒絡みで難しい交渉を契約出来ました。酔っぱらいながら、判断力は天才かもしれません。




