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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)4月14日、市原城を巡り、立花将広、大掾正興と交渉する事になりました。

大掾正興26歳、多数の剣豪を育む鹿島神流の免許皆伝の腕前を持つ剣士。

正義感溢れる青年武将です。

立花将広の軍勢に囲まれながら命を許された恩義と古河公方家に仕え、下総公方軍の戦いに参加している武将としての正義感と、二つの狭間で信義を貫けるのか?

微妙な立場になりました。

1546年(天文15年)4月14日


─早朝、市原城─


昨日、東市原城の戦いに破れた下総公方軍は市原城に退却しました。

混乱の中、退路を断たれるのを恐れ、梁田直助が下総公方、足利晴宗を連れて小弓城に移り、大掾正興に市原城の全権を与えました。

立花軍と戦う事も交渉する事も全て大掾正興の自由に任されました。


昨日の日没以降、千葉勢5000、原勢2000の内、4000が市原城に辿り着き、3000が帰還しませんでした。


市原城には千葉勢3000、原勢1000、大掾勢1000、合計5000


市原城の下総公方軍は千葉勢、原勢、大掾勢の多数が負傷しています。

原胤貞は千葉利胤を救う為にかなり危険な退却戦を切り抜け、身体に数ヶ所を負傷しています。千葉利胤は西南の退路を塞がれ、北の退路に転進出来たのは原勢が多数の犠牲を出しながら退路を確保してくれた事を知りました。


大掾正興は全権を任されましたが、下総国、上総国の太守、千葉家の当主、千葉利胤と筆頭宿老の嫡男の原胤貞、両名の承諾無しには動きが取れません。

3名の協議となりました。

議題は市原城に籠城して戦うのか?

開城して退去するのか?


籠城して戦っても、援軍の見込みがありません。開城して退去するのも立花軍との交渉を纏める必要があります。

それらを踏まえて大掾正興は両名に語ります。

「立花軍は潤井戸から街道筋を制圧しており、海岸線まで周囲の退路は塞がれております。

千葉勢、原勢の将兵を無事に返すには大掾勢が犠牲になるしかありません。

大掾勢が全員市原城内で切腹する代わりに千葉勢、原勢を無事に小弓城に戻す事を交渉すべく、立花軍を取り仕切る立花将広殿を訪ね、直談判致します!

譲り受ける城が1000の将兵の骸で一杯になるより、妥協して無血開城になる方を選ぶはずです。必ず千葉勢、原勢の無事を確保して参ります!」


千葉利胤、原胤貞両名は大掾正興の申し出に驚きますが、梁田直助に全権を託された事もあり、承諾しました。

ただし、交渉の監視役として千葉勢と原勢から目付を1人ずつ同行させる事になりました。


大掾正興は立花将広に使者を派遣、市原城の扱いについて交渉したいと申し入れ、交渉の承諾を得ました。


午前8時頃、市原城の周辺は21000の立花軍に包囲され、錦の御旗と呼ばれる菊の紋章が描かれた軍旗に囲まれました。

「エイ!トウ!エイ!エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!エイ!トウ!エイ!」

太鼓が鳴り響き、市原城の至近距離まで前進して威圧すると市原城の将兵は追い詰められた事を実感しました。



大掾正興は立花将広に招かれ、建前上の最上位の上総公方、足利頼純に頭を下げて挨拶を交わし、実質上の指揮者、立花将広との交渉に入りました。


大掾正興は下総公方、足利晴宗の退避に同行せず、市原城の惨状を見捨てられず、城に残ったと説明しました。

潤井戸の戦いで包囲されて全滅寸前から救われた見返りに立花将広と交わした約束はほぼ守られ、足利晴宗と梁田直助を小弓城に帰還させました。


─立花将広、大掾正興─


「ぶはははは!城に退却して来る味方を見捨てる事無く、世話をしながら後始末をつける覚悟だな?」


立花将広は千葉家、原家から付いてきた目付役の二人を意識しながら語りました。


「はい、市原城に付きましては上総公方家にお返ししても構いませぬが、千葉勢、原勢の将兵4000を無事に小弓城に退避させて頂けるなら、引き渡し致します!

見返りに我が、大掾正興以下大掾勢1000の命と引き換えにお願い申し上げます!」


大掾正興は自分と将兵が自害するから千葉勢、原勢を助けて欲しいと要望しました。


「なんと?貴殿と大掾勢1000の命と引き換えにと申されるのか?

ぶはははは!俺が拒否したらどーする積もりだ?」


「立花様、交渉に失敗した責任を取り、我が身と大掾勢は市原城内にて自害致します!

市原城は血の海になりますが、我らの命と引き換えに何卒千葉勢と原勢の命を助けて頂きたく、お願い申し上げます!」


「ぶはははは!参った!

血だらけにされては叶わぬ!

自害などされては後始末が地獄になるではないか?(笑)

それならば、千葉家、原家から正木一族、酒井一族の人物を2名ずつ、4名を借してくれたら千葉勢、原勢を無事に小弓城まで退避させる事を約束する!

4名は人質では無く、客人として待遇するがどうだ?」


大掾正興は千葉家と原家からの目付役の二人が頷くのを確認しました。


「立花様、千葉家、原家から正木一族、酒井一族の人物を2名ずつ4名を預けましょう。」


立花将広と大掾正興は二人の目付の手前、昨日の暗黙の密約に触れる事無く、互いの駆け引きの中に少しずつ信頼を高め合うやり取りを続けました。


「大掾殿、客人4名を受け取り次第、千葉勢、原勢は本日中に小弓城に退避してもらう事とする!

城内の財貨や兵糧の持ち出しは禁ずる!

大掾勢は城の在庫一覧を作り、場内の掃除を済ませて明日の午後を目処に市原城を引き渡し、退去して貰う!

これで良いか?」


大掾正興は二人の目付役が承諾と頷く姿を確認しました。


「立花様、ご配慮に感謝致します!」


市原城明け渡しの条件が決まり、明け渡しに関する覚え書きを署名して交渉が成立しました。



市原城から正木一族から2名、酒井一族から2名が立花将広に預けられ、午後から千葉勢、原勢の退去が始まりました。


大掾正興は見事に交渉を成立に導き、評価を高める事になりました。




立花将広は敵ながら堂々と振る舞う大掾正興に好感を抱きました。

将来是非に味方にしたいと思う若き武将です。


立花将広から受けた恩義と、市原城を託された義務の板挟みを巧みに対応しました。

これからの活躍が楽しみな若者です。

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