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１５４６年(天文１５年)４月１１日午後～立花将広、佐竹勢を操り戦局好転！

立花将広の重臣、横山典弘は鎌倉幕府の時代、関東武士団の中でも八王子を中心に栄えた横山党と呼ばれる大きな武士団でした。

鎌倉幕府執権、北条義時と対立した和田一族の乱に関わり、全ての領地を失い、立花家に庇護された一族です。

横山典弘は立花家の為に必死の想いで佐竹義廉の心を開き、立花家側に引き入れた情熱的武将です。

１５４６年(天文１５年)４月１１日午後～

─永田城周辺、正午過ぎ─

永田城を佐竹義廉から託され、立花将広の軍勢が無血入城しました。

城内には古河公方軍の兵糧が５００俵も残されていました。１５０００の軍勢の１０日分の兵糧になります。

永田城から古河公方軍は一掃され、立花軍側に鞍替えした佐竹義廉の軍勢３０００は北西４キロの土気城攻略に向かいました。

里見義弘の軍勢３０００と新納忠義の軍勢５０００が北へ退却する結城勢と一色勢を追撃しています。

─立花将広、横山典弘─

「殿、昨日から夜通し追撃して寝不足、空腹、疲労を抱えた敵勢は早暁からの攻撃で粉砕されました。全て殿の采配が鮮やかに決まりました。」

「ぶはははは！、昨日の夕刻には原胤清の軍勢に押し込まれ、討ち死に寸前から起死廻生の逆転だな？

しかし、今朝、典弘、お主が佐竹義廉の心を動かし、睨み合う事を承知させたから戦の流れを呼び込んだ！

見事に説得してくれた功績は大きいぞ！

結果として敵方の大物、常陸国の佐竹を古河公方軍から引き抜いたのだからな！」

「私は殿の考えを伝えたに過ぎません。

佐竹義廉様は殿が泥酔軍師と呼ばれてる事を存じておりました。(笑)

破天荒な提案をした殿のお気持ちが義廉様に伝わったのでございます。」

「ぶはははは！、泥酔軍師が知られておったとは、嬉しいじゃないか？

さて、そろそろ呑ませて貰うぞ！

誰か？焼酎を持って参れ！」─

─午後１３時過ぎ─

永田城の立花将広の元に朗報が入りました。永田城から北へ退却した結城勢、一色勢が北に３キロの大網城へ逃げ込み、大関城から駆けつけた酒井義勝の軍勢２０００が合流、暫く抵抗しましたが、里見義弘、新納忠義の軍軍勢８０００が酒井勢を撃退すると大網城の結城勢、一色勢は北へ４キロ、東金城方面に敗走しました。

大網城の城兵は城の各所に火を放ち炎上しました。

大網城は千葉家の重臣、酒井家の所有する城です。立花軍に利用されるのを拒み、酒井家の本拠地東金城を守る為に焼き払いました。

以上の状況が使番を通じて報告されました。

立花将広は里見勢と新納勢には永田城まで帰還を命じました。

─永田城、立花将広、横山典弘─

「殿、これで古河公方軍の軍勢は東金城まで退却しました。主将の一色直頼、有力武将の結城政勝を失い再起不能の状況かと思われます。この先は佐竹勢を先鋒にして上総公方様の為、西へ転進なさいますか？

それとも里見家を救う為、南へ向かわれますか？」

「そうだな、里見義弘殿と新納忠義が戻り次第、相談するとしよう。

まずは激戦を戦った兵士達を休息させるぞ。

佐竹勢が土気城を攻略するのを待つとするぞ。」

間も無くの事でした。

１４時過ぎに佐竹義廉から急使が到着、土気城を攻略したと知らせが入りました。

立花将広は直ぐに感状を書き上げ、佐竹義廉と兵士達の功績を讃える書状を贈り、本日は休息して明日、西南１里(４キロ)の大椎城の攻略を依頼しました。

さらに大椎城宛てに明日は佐竹、立花連合軍が攻撃に参るから覚悟せよ！と通告書を届けました。

夕刻、大網城方面から里見義弘の軍勢と新納忠義の軍勢が帰還しました。

太鼓が叩かれ、歓声があがりました。

ダダダン！にっぽん！

おぉーぉーおー！

にぃーぃーっぽぉーん！

ハイハイ！ハイハイ！

おぉーぉーおー！

にぃーぃーっぽぉーん！

ハイハイ！ハイハイ！

ダダダン！里見！

ダダダン！新納！

応援歌の歓迎で軍勢を迎えます。

勝鬨が挙がります。

エイエイ！おぉーぉー！

クタクタに疲れた兵士達に立花家特製の豚汁と握り飯が配られました。

立花将広は里見義弘、新納忠義から敵方の様子を聞き、今後の方針を熟慮しました。

２日連続の戦いの末、古河公方軍の主将一色直頼、有力武将、結城政勝を討ち取り、佐竹義廉の軍勢を味方に引き入れ、１４０００の軍勢は激減、永田城の北２里弱(７キロ)の東金城に退却、推定兵力７０００

大椎城から攻撃して来た原勢を撃退、千葉家筆頭宿老、原胤清を討ち取り、大椎城へ逃げ戻った兵力は推定３０００

里見義弘、新納忠義の情報から敵方は２日連続の大敗に軍勢が四散逃亡が相次ぎ、東金城へ逃げる事が出来た軍勢は推定７０００程度ながら、逃亡者を推計すれば軍勢として再編可能な人数は精々５０００と推計します。

一色直頼、結城政勝亡き今、残る武将は酒井義勝のみになります。

軍勢を再編して再起出来るか疑問が残ります。

大椎城の原勢も然り、精々２０００と推計されます。千葉家筆頭宿老、原胤清を亡くし、誰が指揮するのか不明でした。

市原方面に退却する可能性があります。

─立花将広、新納忠義─

房総半島の地図を広げ、焼酎を呑みながら焼いた伊勢海老を頬張りながら先の事を考えます。

「将広様、大椎城に攻撃予告をしたそうな？

これで相手は尻尾を巻いて逃げるかもしれません。(笑)」

「ならば助かるが、城攻めは面倒だから脅かしてみたのだがなぁ。

千葉家の筆頭宿老を討ち取ったからなぁ、多少なりとも次の筆頭宿老を巡り争ってくれたら良いのだがな？」

「はい、千葉家はここ数世代に渡り原一族が筆頭宿老として千葉家の当主以上の権力を持っております。

一族に野心の強き者が居れば筆頭宿老争いの種があるやもしれません。」

「忠義、取り敢えず東金の酒井一族が千葉家から離反、上総公方家、里見家、立花家側に従うと噂を流して見るとするか？」

「将広様、酒井一族は永田城周辺の最大勢力です。噂が上がるだけで効果がありそうです。」

「ぶはははは！噂を流して見るか？」

立花将広は永田城周辺に酒井一族の離反の噂を流しました。

古河公方軍優勢の戦況から立花将広の采配で危機を脱し、立花軍の優勢が確立しました。

立花将広の次の行動は？

軍勢をどこに動かすのか？

東金城方面？大椎城方面？

それとも上総国南部の里見義堯の支援に向かうのか？気になります。