1546年(天文15年)3月下旬、松千代、大神様のお告げを伝えます。
松千代に大國魂神社の大神様から、夢のお告げがありました。祖父、立花義秀に自分の考えも提案します。
提案を受け入れた祖父が動きます。
1546年(天文15年)3月下旬
─府中城─
─立花義秀、鹿島政家─
房総半島、関東の大きな地図を見ながら軍勢の配置を考えてる二人、地図には主要な城が書かれ、軍勢の駒と武将の名札を配置して考えています。
そこに美人侍女四名を従えて松千代が現れました。スタスタ走り、義秀に抱きつくと義秀の顔が緩みます。
「お爺ぃー!あのねぇ、大神様がねぇ、川越城の上杉家を揺さぶりなさーいだって!
宮寺城(入間市)の北側の小谷田に大軍が滞在出来る陣地を作って見せつけるの!それから、志木城(志木市)から難波田城(富士見市)を牽制しなさいだって!」
「ぶはははは!、松千代、大國魂神社の大神様からのお告げじゃな?宮寺城の北、小谷田に陣地だな?」
「殿、小谷田に大きな砦があれば川越城に大きな圧力になります。街道筋が交差する要地にあり、霞川が流れ、水の確保が容易です。」
「そうか、早速宮寺城(入間市)の諏訪則宗、箱根ケ崎城(瑞穂町)の香月久則に場所の確保を命じる!政家、工兵部隊を派遣して早速普請開始だ!青梅の三田家に小谷田陣地構築の手伝いを要請してくれ!」
「はい、手配致します。」
川越周辺の地図を見ながら松千代に考えが浮かびました。
「お爺、どうかなぁ、川越城を脅かすならもうひとつあるよ。
志木城の西にある新座大和田(新座市)に陣地をつくるといいよ。柳瀬川の水がつかえるし、川越街道をおさえる場所だょ。近くには志木城、平林寺城、清瀬城のみっつがあるから陣地を作りやすいでしょ?」
「ぶはははは!面白い!良い場所だ!
政家、新座大和田に陣地を作るぞ!
平林寺城の立川宗久、志木城の大石信賢の二人に場所の確保を命じろ!
工兵部隊を向かわせて早急に陣地を作るぞ!
川越城を攻撃すると噂を流せ!」
「はい、手配致します。」
「お爺、まだ足りないからぁ、浦和城を脅かす事にするよ。
戸田城の東、荒川に近い美女木に陣地を作れば浦和城に近いから、古河公方家は支援に忙しくなるから、母上の里見家が助かるでしょう?」
「松千代、凄いぞ!戸田城と朝霞城の中間で荒川沿いなら陣地を作るのは容易い。
浦和城まで1里(4キロ)だぞ!
政家、蕨城、戸田城、赤塚城の渋川一族に美女木に陣地を作る様に命じろ!
川口城の義弘(立花義秀の次男)に支援を申し付ける!浦和城を攻撃すると噂を流せ!」
「はい、手配致します。これで古河公方家は川越上杉家、岩槻太田家に援軍を出さねばならない状況になります。房総半島に兵力の集中は難しくなったはず、ですが、敵方も策を用いるはず、足立方面、八潮城(埼玉八潮市)に5000から10000の軍勢を配置するのは如何でしょうか?」
「政家、江戸太田家から2000、西新井城の畠山忠國と合流する様に依頼しろ!
中老の安藤義長に3000を与えて西新井城に向かわせる。
これで西新井城の畠山勢が10000になったな、さらに八潮城に小山田信盛に3000与えて配置する!
畠山忠國の指揮下で戦う様に手配しろ!」
「はい、承知致しました。」
「お爺、カッコいい!
それでさぁ、父上に何処を任せるの?役目を伝えてあげないと不安になるかもよ?」
「えっ?あぁ、そうだな、俺の悪い癖だな?
松千代、義國は川越、浦和、松戸、何処にでも出撃出来る様に準備させる。
それで良いかな?」
「はい、お爺、これで父上も安心します。」
権力者に有りがちですが、迅速に決断する為に筆頭宿老の鹿島政家と二人きりで決裁する事が多く、後から鹿島政家が次期当主、義國へ大まかな事を知らせていますが、意志疎通に欠ける事が度々ありました。
松千代はそれを心配していました。
「お爺、父上は帳簿の付け方、お金の管理が上手でしょ?湊の交易のやり方新しくしそてたくさん稼いだよね?商売の法律新しく、わかりやすくして、みんな喜んでるよね?
銀行を作り、商売する人に貸してあげて、お店を育てるの上手だよね?
お爺が好きなだけお金使えるのは父上が凄い仕事上手だから立花家はお金持ち、同盟してる大名のお家もお金持ちになってきてるよね?もっと褒めてあげてね。」
「わかった!たくさん褒めておくからな!
ぶはははは!」
「殿、松千代様は立花家の軍師ですな?」
「あぁ、そうだな、時に神様の言葉を伝え、時に自分の頭で考えて策を提案して参る故、立花家の至宝だぞ!」
「はい、10年先、20年先が楽しみでございます。」
松千代は大神様のお告げを義秀に伝え、古河公方家対策を提案すると満足して帰りました。
松千代は父、義國の優れた才能と欠点を理解しています。
前世で祖父と父の仲違いを知る故、心配になりました。仕事は出来るが父親としては欠点が目立つ義國をなんとかしたい松千代なのでした。




