1545年(天文14年)12月上旬、府中城で事件発生!松千代が負傷!
秩父から帰国した義秀はようやくほっとしている時に事件が起こりました。
1545年(天文14年)12月上旬
─府中城─
─立花義秀、鹿島政家─
松千代と風呂を楽しみ、さっぱりして執務室に戻りました。
「政家、さっぱりしたぞ!秩父は遠かったぞ!」
「殿、お帰りなさいませ。鉢形城に派手な脅しを仕掛けたとか?愉しげな噂になっております。」
「ぶはははは!かなり厳しい文言で通告したからな、鉢形城の家臣達が動揺するだろう。
家中の内部から崩す為の脅しだからなぁ。
秩父の神様が認める様な政治が出来なければ来年罰を与えに参る!と予告してやったわ!」
「殿、神様は秩父藤田家を支持してる事が前提ですな?」
「まぁそうだな、俺も子供の時以来久々に神様が夢に現れた、忘れていた感覚に驚いたぞ!
秩父の神様が藤田家と立花家を守って戴けるみたいだぞ!」
「それは、善い事でしたな、私も子供の時以来見ておりませぬ。」
「まぁ、今回は政家に留守を頼んだが、問題は無かったか?」
「実は、義國様が今回の役割にご不満の様子で、志木城の陣中で度々深酒をなさり、部下の武将達を困らせ、注意された弟君の義弘様と喧嘩になったと報告が来ております。
「何ぃー!義國の奴、戦の陣中をなんだと思ってるんだ!」
「川越上杉家を牽制する役目より、鉢形城を攻める役目が欲しかったと泥酔して叫ばれたと聞いております。」
「義國の奴、酒に弱い癖にさらに酒癖悪いなど、怪しからん奴だ!」
過去に酒絡みで何度も失態してる嫡男、義國でした。そこに知らせが入ります。
里見家から嫁いだ義國の妻、安房の奥方様の近習が早足で報告に参りました。
「殿ぉー!義國様が松千代に乱暴なされ、松千代様がお怪我をなされました!」
「なんだとぉー!!」
近習に案内されて義秀、政家も駆けつけます。松千代が府中城に戻り、祖父義秀と風呂を楽しみ、別れた後に母の安房の奥方様に挨拶に参りました。
5歳の子供ですから久々に府中に戻り、母に早く逢いたいのは当たり前です。
母に抱き締めて貰いながら、秩父の出来事を報告している時に泥酔した父、義國が現れ、「先に父に挨拶に来るのが筋だろう!」
と叫び、頬に平手を3発叩き、胸ぐらを掴み背中から畳に叩きつけた処を護衛の侍女に押さえられますが暴れた為、腕を極められ、一旦収まりましたが、「侍女の分際で生意気なぁ!」と、小太刀を抜き、侍女2名が負傷しました。侍女達が押さえつけてる場面に駆けつけた義秀が叫びます。
「義國!恥ずかしく無いのかぁー!!
お前は滝山城の婚礼の暗殺未遂事件の時に松千代がお前に作った楔帷子のお蔭で命を救われたのを忘れたのか!?
松千代はお前の命の恩人だろーが!
松千代は立花家を何度も救った神の子だぞ!
ケチな考えで松千代に近寄るなぁー!!」
立花家次期当主が酒乱で息子を虐待、静止した侍女を2名が義國の小太刀に切られ負傷、鎖帷子を着ていた為助かりました。
義國は左腕を捻られ捻挫、さらに左小指を捻られ骨折、目潰しの唐辛子の粉を目に浴びて両眼に腫れが有りました。
義秀が選んだ忍びの侍女が身を挺して松千代を守りました。
松千代は頬の腫れ、背中、腰の打撲と首の捻挫で暫くは安静が必要になりました。
府中城内は騒然となりました。
義國の酒乱を知る者は遂に事件になったか、と呆れ、酒乱を知らぬ者も松千代に怪我をさせて次期当主としての資質を疑われました。
─立花義秀、鹿島政家─
「政家、酒乱の義國を深大寺で謹慎させる。
正月は深大寺にて静かに反省させるぞ。」
「殿、それで落ち着けば宜しいですが、古河公方家や敵方が喜ぶでしょうな?」
「反対なのか?」
「殿、ご老公様にお願いしては如何かと、諭して解らせるには効き目が肝心かと思いますが?如何でしょうか?」
「わかった、大國魂神社の大神様に預けるとするか?」
「はい、それが無難かと思われます。」
「明日、義國を連れてご老公様にお願いして参る故、義國の側近達に身支度をさせろ!それから、ご老公様に内々に明日の事をお知らせしろ!」
「はい、手配致します。
翌日、義秀は義國を連れて大國魂神社へお願いに上がりました。
ご老公様は松千代に手を出した義國を厳しく叱りつけ、修行を命じました。
松千代は3日も寝込みましたが、快方に向かいました。
義國は前世でも犯した過ちをまた、やってしまいました。
秩父から明るい知らせが続きましたが、困った事件になりました。




