1544年(天文13年)1月中旬、立花家新たな展開へ
品川湊の危機を未然に防ぐ逆転の策を講じました。しかし、危機は去らず、新たな危険が迫りそうです。
立花家は次に打つ手は?
1544年(天文13年)1月中旬~
─厳しい秘密交渉を成立させた立花将広が府中に凱旋しましたが、新たな危機が!?
古河公方が品川湊攻略を破棄して小弓公方家攻略に乗り換える可能性がありました。
小弓公方家内部に家臣達の亀裂があり、公方家を支援する里見家を公方側近が敵視する状態に発展しています。古河公方家の離間工作が考えられます。
里見家が危ないかもしれません。
─府中城、立花家当主、立花義秀─
─宿老達が松千代の発言を半分理解したかもしれない状況で義秀の翻訳機能が高速で反応しました。
「わかったーぁ!!
松千代!青梅の三田家と滝山の大石家も仲間に入れて、多摩川河口の六郷湊の交易に加えるんじゃな?
湊の両岸の六郷城、対岸の南六郷城の守備隊に兵力を提供させるんじゃな?」
「凄いぞ!!松千代ぉ!
古河公方家と武蔵扇谷上杉家が狙う品川湊!品川城!至近距離じゃないか!!
教えられたわ!!
こりゃ守りが固まるぞ!!
六郷城に三田家と大石家、立花家の旗が揚がるとどーなる?」
「品川城を攻める敵はまず、味方になった江戸太田家が守る江戸城、その南西の葛西城、二つの城を攻略するか、抑えの兵力を割いて品川城に辿りついたとして、至近距離の六郷城に上がる三田、大石、立花の旗を見た時、どんな心理になるか?」
「品川城は見た目簡単に落ちそうだが、東側に海があり、兵士の展開がしにくい設計にしているのだ。
北側には沼地、攻め口は西と南になってしまう。」
「その西と南に六郷城の出城があり、背後を脅かされる。出城にも三田、大石、立花の旗を掲げる!
敵方の間者に見せる為じゃ!必ず下調べに来るはずだ!
この備えを見れば諦めるだろう!」
「西から吉良家の世田谷城の援軍!
南は川崎方面から立花の援軍!
品川城の攻め口後方からの攻撃にさらされる。敵の軍勢は包囲される前に北から撤退する!
江戸城、葛西城を攻略していれば待避可能だが。江戸城も葛西城も健在ならば包囲され、上杉軍は全滅するだろう。」
「ただし、三田綱秀、大石定久がこちら側に靡くか?三田の息子綱重に我が娘を嫁がせたが、元の主家、上野山内上杉、武蔵扇谷上杉から親族に嫁を貰って巧みな外交で距離を保つ家柄だ。我が立花家と奥多摩の木材、石灰岩の取引で財政に余裕があり、困っていないはずだ!」
「大石家は八王子北部の木材を我が立花家に購入して貰って潤って、財政も物流も、我が立花家に頼ってるのに!恩知らずだ!
国境でもめるし、大石定久め!昔から性格悪い奴らだ!」
「お爺ぃー!!おおーいしのーおじさまがぁー!
おむこさんほしいー!ゆってたぁー!」
「奴には息子がおるだろーが?」
「殿お話があります!」
宿老筆頭、鹿島政家が義秀の言葉を遮ります。
「実は、大石定久のご嫡男、定仲君は昨年の年末に、天に召されました、私も先程知ったばかりでございます。(史実では、北条家から大石家に北条氏照が入婿、定仲は廃嫡、)
大石家の親族に家督相続に相応しい男子が居らず、内密にされて居りますが、間もなく世間に知られるはず、上野山内上杉家、武蔵扇谷上杉家、いずれかが親族の男子を入婿にと、迫るに違いありません!」
「難攻不落と噂の滝山城にどちらかの上杉家の軍勢が、入ったら立花家の西側の守りが崩れます!
仮に滝山城に5000の軍勢が配置されたとします。
恐らく、相模小田原の北条氏康が、上杉と連携して武蔵南部の好きな場所から侵攻可能です。」
「滝山城に5000の存在があるだけで、高尾城、八王子城が脅かされます。
北条氏康の軍勢が相模原方面、相原城、片倉城に現れても、援軍を出す余裕がありません。」
「北条氏康が相原城、片倉城方面に別動隊2000ほどを配置、氏康の主力部隊7000が藤沢方面→長津田城あたりをすり抜け、鎌倉街道を北に上がると関戸城(多摩市に実在)から府中城まで侵攻可能です。」
「上杉の軍勢は北条氏康の動きを見ながら川越方面から主力部隊10000から20000が南下、東大和、武蔵村山、久米川方面から分散して小金井、国分寺方面から府中に侵攻します。
八王子滝山城から別動隊5000が八王子、日野を抜けて府中を目指します。」
「最悪の場合の想定ですが、滝山城に上杉家の軍勢が入ったら勝ち目はありません!
立花家から大石家に養子縁組みを急ぐ必要があります!」
「んんん!」
唸りながら考える当主義秀、
「大石家がヤバイなぁ、誰か親族から婿選びだな!
誰か立花家から婿入りに適した人材はおるか!?」
「はい!すでに準備が出来ております!」
宿老筆頭の鹿島政家から厳かな菊の紋章入りの封書が義秀に手渡されます。
「こちらは先の大國魂神社大宮司、猿渡盛胤のご老公様から先程頂きました!」
立花家の会議に望んだ一同驚愕の状況です。
生きてる間にこんな事あるの??
令和の時代に天皇陛下の父、上皇陛下からお手紙を頂いたくらいの状況です。
大國魂神社先代の大宮司から菊の紋章入りの封書の中身は??
立花家当主義秀に渡された封書は?
義秀が、封書に一礼して黙読、暫しの沈黙になりました。
封書を閉じて一礼する義秀…
その時…
「義秀殿ぉー!!わしだ!」
封書の送り主、大國魂神社先代大宮司、猿渡盛胤様ご本人が松千代を抱っこしながら現れたから一同驚愕しました。
慌てて義秀が上座を開けて下座に下がります。
一同平伏、空気が引き締まりました。
「実はなぁ、松千代に頼まれたら大石家を助けると立花家も助ける事になるのが見えたのじゃ。
先日松千代がなぁ、大石定久殿から息子を亡くしたと聞いてなぁ、一族に相応しい若者がおらず、このままでは、上杉に乗り込まれて大石家が乗っ取られると困っていたのだ。
松千代は大石定久殿を大國魂神社のわしの屋敷にまで案内して逢わせたのじゃ。
まぁそんな訳で仲立ちする事になった。」
「これは、大國魂大神様が困った大石定久殿を松千代を通じワシに逢わせたに違いない!
松千代が大神様が選んだ婿!立花時将を連れて来たにちがいない!」
「大石定久が婿に出逢う為に嫁になる百合姫を連れてきたのだ!
定久は養子縁組みを了承した故、改めて猿渡盛胤から盛の名を与える!
大石盛将の名を名乗るがよかろう!
まぁ、ワシの顔立ててくれぬか?
松千代も嬉しいみたいだからなぁ」
「お爺さま!すごーい!ありがとーごさいまーす!」
松千代が敬語になっています。
「後は、義秀、宿老筆頭、鹿島政家と二人に任せたぞ!松千代!また遊びに来てくれょ!」
ご老公が風の如く去りました。
驚愕の流れに一同平伏したまま、ご老公を見送りました。
──詳細──
昨年の年末に、後継者に決めていた10歳の嫡男を喪った八王子滝山城主、大石定久はすでに53歳、親族に後継者に相応しい若者が居らず、先日、正月が過ぎ、新年のお祝いムードが抜けた頃、親族から養女にした娘を連れて大國魂神社を訪ねました。
大國魂の大神様に暫くお祈りを捧げているところに、自慢の美人侍女4人を引き連れた松千代と、祖父立花義秀の弟、立花将広の次男、立花時将と出逢いました。
昨年、大國魂神社にて、立花家の芝居公演の時に松千代と面識があった大石定久は松千代から勧められて、子孫繁栄、開運の御札、さらに困った時に救いを叶える護符を購入しました。
松千代は、大石定久を大國魂神社親族など、限られた関係者しか入れない茶屋に案内します。こちらは大宮司猿渡家のプライベートエリアで、
入るには荘厳な正門を入りますが、警備する兵士がおります。
松千代は顔パスで、兵士達が松千代自慢の美人侍女に目が奪われてました。(笑)
茶屋に入り定久から事情を聞き出すと、ちょっとまっててぇー!
松千代がどこかに走り去り、なんと!松千代を抱き抱えた大國魂神社、先代大宮司、猿渡盛胤様登場!
目の前に松千代の従兄弟、立花時将、と大石定久の養女。百合姫!
大石定久が願う後継者の若者との初対面となりました。
立花時将20歳、百合姫17歳、互いに初対面ながら好意を抱きました。
松千代の引き合わせに始まり、ご老公様登場で、大石定久の願う養子が決まりました。
大國魂神社の困った時に助けて貰える護符の効果が確定した瞬間でした。
大國魂の大神様のお導きです。
数日して府中城の宿老筆頭、鹿島政家が大國魂神社のご老公様に呼び出されました。養子縁組段の取りを命じられ、封書を預かり城に戻りました。
そして、府中城にご老公様が府中城までお出かけになりまして、立花家、大石家の養子縁組みを宣言する事になりました。
松千代がキューピッドです。
従兄弟の大好きな兄の結婚が決まり満足です。
百合姫様にご褒美の抱っこを要求した事はナイショです。(笑)
ご老公さま!も松千代にめちゃくちゃ甘いです。
松千代もお爺さま!
敬語です。
祖父義秀には
お爺ぃー!
ですから、
態度に少し違いがあるみたいです。
大國魂神社先代大宮司のご老公様登場!
なんと、ビックリしました。(笑)
ご老公様から筆頭宿老を呼び出すなんて!
それだけ危ない気配を感じたからかな?
とおもいます。
大國魂の大神様は偉大です。
お詫び、立花将広の名前が間違えてました。
立花義秀の弟、将広が正しい表記です。
義広と間違えて表記してましたので、修正しました。




