1545年(天文14年)10月、近衛中将府が発足から6ヶ月になりました。
立花家から大石家に縁談を申し入れました。
大石定久の反応は?
1545年(天文14年)10月
─府中─
近衛中将府が発足から6ヶ月目を迎えます。立花家と同盟大名家の九つの協力関係は少しずつ強い絆になりつつあります。軍事的な結び付きより、経済的結び付きを優先した結果、各大名家の大使、職員、商人達に信頼が生まれつつあります。
立花家から甲斐国の農家に委託したさつま芋の収穫が始まりました。武田家との話し合いで7割を立花家が買い取り、2割を武田家に納め、1割を農家の自由にする事になりました。
甲斐国の農家には立花将広からの要望で桑の木の植林と蚕の飼育を依頼しています。繭を集めて立花家の商人が買い取ります。桑の実も立花家の商人が買い付けます。桑の実は甘く、府中では人気のある果実です。
甲斐国の農家に立花家から纏まった現金が手に入る事になりました。蚕の繭は八王子名産の絹になります。絹の生産が増える事になりました。
甲斐国の農家は数年前から立花家が山菜や松茸、ほうとう、葡萄を購入しています。史実では過酷な税に苦しむはずが、遥かに恵まれた生活になりました。
武田家も立花家と経済的に交流しる恩恵に預かり、裕福になった農民から兵士を増員して採用する事が出来ました。
武田家の税収も上がりました。
北条家では小田原周辺のみかん、ゆず等の柑橘類や干物が府中に直送されて人気です。鯛、カワハギ、サワラ、金目鯛など、朝採れの魚を府中に直送される様になり、好評です。
立花家が古河公方家との戦いに勝つ為には背中の位置にある武田家、北条家を味方につける必要がありました。今は両家から信頼を得て安心出来る状態になりました。
古河公方軍が常陸国に侵攻しましたが、近衛中将府は特に動揺する事も無く、状況を冷静に受け止めました。
先日、松千代が義秀に提案した縁談は義秀から滝山大石家の前当主、大石定久に申し入れしました。
滝姫を下総船橋城主の高城義春に嫁がせたいと縁談を持ちかけますが、定久は嫁ぎ先の婿、岩槻太田資正が裏切り、迷惑を掛けたと固辞します。
定久の返事を聞いた義秀は発案したのは松千代で滝姫の人柄を気に入り提案した事や立花家の養女にして嫁がせたいと再度申し入れると定久が承諾しました。
大石家が跡継ぎ問題を抱えた時に救いの手を差しのべたのが大國魂神社で偶然出逢った松千代でした。定久は滝姫が松千代の目に叶い、立花家の養女にして頂けるのならと承諾に至りました。
─大石定久、滝姫─
「父上、私は立花家から、しかも松千代君のお声掛けなら大國魂神社の大神様の思し召しと想います。高城義春殿に喜んで嫁ぎます。」
「そうか、立花家は我が大石家が嫡男を亡くし、前橋上杉家、川越上杉家に養子を送られ乗っ取られるのを防いで頂いた。立花家から善き婿を頂き、これで少しばかりお役に立てそうだな。高城義春殿は立花義秀様に見込まれた武将と聞いておる。末長く仕えて幸せになってくれ。」
「はい、きっと大國魂神社の大神様が見守って下さいますから心配は要りませぬ。父上、松千代君が選んだ嫁ですよ。幸せになります。」
「はははは!そうだな、それは間違いないな!」
─船橋城─
─高城義春、馬込和長─
立花家から縁談が申し込まれ、前年は固辞しましたが、義春は今回の縁談を承諾しました。
「殿、おめでとう御座います!立花家の養女ですから、高城家の格式があがります!」
「昨年は千葉家から立花家に従ったばかりで嫁を貰えば非難の的になっただろう。立花家はそれを配慮して固辞した俺を理解してくれたのだ。一年以上時間が過ぎた故、今ならとお声を掛けて戴いたのだ。これ程の待遇は他所には無いだろう。立花家に従った事は間違いなかった。しかも、同盟大名としての格式まで戴いたのだ。感謝しか無いぞ。」
「はい、その通りに御座います。」
立花家の希望から、10月中旬、滝姫は立花家の養女に入りました。11月に高城義春に嫁ぐ事になりました。
大石定久が縁談を承諾しました。
松千代に選ばれた滝姫は立花家の養女となり、覚悟を持って嫁ぐ決心をしました。
古河公方家に対抗して同盟大名家の結束が高まります。




