1545年(天文14年)5月、近衛中将府の始動から半月が経過しました。府中の街はお祭りに湧きました。松千代な閃いた事は?
府中の街がお祭りに沸いています。
行事に参加した松千代が閃いた事を祖父に語ります。立花義秀は松千代の提案をどーする?
1545年(天文14年)5月
─府中─
大國魂神社のくらやみ祭りが始まりました。4月30日の早朝、品川の海にて御祓式を行い、お祭りの安全をお祈りします。大國魂神社の神職達が海水を府中に運び、お祭り期間中、毎日の御祓の儀式に使われます。
立花家や宿老の一族も神職を出仕させています。大國魂神社のお祭りに立花家は裏方として奉仕します。松千代の希望で品川の海へ御祓式に出席して海水の輸送に立ち会いました。松千代の護衛役には新納忠義が名乗りを挙げました。
それならばと、祖父、立花義秀が儀仗騎兵部隊1000騎を護衛に付けて御祓の海水を大樽に入れて運びます。松千代は大國魂神社のお祭りの裏方として参加出来たと喜びます。
品川の海までの行きにも帰りにも太鼓を鳴らして大國魂神社の御祓式の行列と知らせながら府中の街から品川街道を行軍します。
沿道の領民は太鼓の音を聞いてお祭りの始まりを感じます。
松千代と新納忠義は松戸城を攻め落とし、祖父、立花義秀を救った英雄の二人だと、沿道の民から拍手と歓声が響きました。
「松千代様ぁー!」
「新納様ぁー!」
二人に歓声が上がりました。
大國魂神社のお祭りに欠かせない行事に参加出来た松千代は役目を果たして府中に戻りました。
祖父、立花義秀に役目を果たした事を楽しそうに報告しました。
─立花義秀、松千代─
「お爺、楽しかったょ、ありがとーございました。」
「松千代?お祭りの裏方が大変なのがわかったか?」
「お爺、それより、貧しいときいてる甲斐国をたすけるょ!品川の海で思いついたょ!」
「ぬ?ぬぬ?何を言いたいのだ?」
「お爺、府中の街でたべた貝殻は、捨てないであつめて粉にして肥料にしてるでしょ?」
「そうだが、府中では家庭ゴミと貝殻集めをしてるが?肥料を武田に売るのか?」
「お爺、将広(泥酔軍師、立花将広)お爺から甲斐国は貧しいときいたから、さつま芋とじゃがいもで助けるよ!」
「松千代、最近ようやく立花領に普及したばかりで、まだ、同盟大名家にも栽培用に与えて無いが、食べさせたら大好評だったな?」
立花家には数年前に薩摩からさつま芋がもたらされました。
昨年の12月に堺に出向いた次期当主、立花義國が街で見つけた数個のジャガイモがありました。
「松千代、さつま芋なら良いがジャガイモはまだ、栽培始めたばかりでまだ、他所に出す余裕は無いぞ、三年先なら考えても良いぞ!」
「お爺、さつま芋でおねがいします。さつま芋の栽培を甲斐国の農家に頼み、前金で契約料を支払い、収穫したさつま芋は立花家が全部買い取る約束するんだよ。痩せた土地に育つから、教えてあげれば難しく無いでしょ?さつま芋を作ってくれる農家に貝殻の粉を肥料として無料であげるんだょ。」
「んんん?無料であげる?」
と義秀も理解が追い付きませんでした。
松千代はさつま芋を委託栽培してくれる農家に契約料を支払い、収穫したさつま芋を全部買い取る契約をする。貝殻の粉は優良な肥料です。謝礼として与え、貝殻の粉を田畑に撒くように指導すると説明しました。
立花家の商人が甲斐国の山菜や松茸、ほうとう、蕎麦を農家から直接買い付けていますが、その恩恵を受けていない痩せた土地の農家を救う方策として考えました。
やがて祖父の義秀も理解しました。
「ぶははは!松千代、そーか、そーだったか、やっとわかったぞ!
それを、近衛中将府を通じて行えば良いのだな?」
「お爺、正解だょ。あとはね、暖かい地域しか作れない、綿花を小田原と伊豆、鴨川、館山辺りで作ると良いょ!」
「わかった!小田原北条家、木更津里見家の農家に頼めば?ぶはははは!それも良いじゃないか?それも凄いじゃないか?」
「お爺、頭いいねっ、きゃははは!よろしくおねがいしまーす。」
松千代が近衛中将府の役割にお手伝いする事になりました。
松千代が次にどんな事を提案するか?
期待してしまいます。




