1545年(天文14年)4月下旬、古河公方家、関東管領家、川越上杉家、各々近衛中将府への反応は?
古河公方家、関東管領家、川越上杉家にとって近衛中将府がどんな組織になるのか?どれだけの結束力になるのか?気になります。
1545年(天文14年)4月下旬
─古河城、古河公方家─
─足利晴氏、梁田高助─
府中に潜入している間者や、八幡神社関係者から近衛中将府の様子が次々報告がありました。
書状により伝えられる事や、実際に出席した関係者から情報が伝わりました。
「公方様、立花家の近衛中将府の様子がおおよそ掴めました。同盟大名家の内政の向上を図る為、街道整備や河川の渡船を増やし、一部には橋を掛けて物流を盛んにする事、府中や同盟大名の商業取引を盛んにする事が最優先の目的です。」
「高助?軍事同盟じゃないのか?」
「公方様、意外でした。立花家から同盟大名家に補助金が出る為、同盟大名家は税制を五公五民にするそうです。将来は四公六民にするそうです。」
「高助、六公四民が常識だろう。立花家はどれだけ銭があるんだ?甲斐国は先代武田信虎が七公三民にしてたらしいじゃないか?あの貧乏な甲斐国が五公五民を受け入れたのか?」
「公方様、武田家は立花義秀の養女を次男、武田信繁に輿入れさせた上、武田領内の生産品を大量に買い付けています。行者ニンニク、葡萄、蕎麦、ほうとう、山菜、翡翠、硫黄、湯の花、等です。治水の技術者を多数府中に派遣して多額の技術料を支払っております。さらに多額の補助金を与えられ、五公五民に移行する事が判明しました。」
「高助?硫黄?と湯の花?それは何に使うんだ?」
「はい、立花領ではお湯を張った風呂に溶かして温泉を味わう為と聞いております。」
「そうか、温泉か、戦う為の同盟組織なのかと思っていたが、拍子抜けするじゃないか?」
「はい、しかし、いずれは軍事に関わる事になりましょう。警戒を続けます。」
─前橋、関東管領家─
─上杉英房、長尾憲長─
府中の近衛中将府の様子は間者から多数の報告がありましたが、軍事的な動きが無しと共通した報告が届きました。
「義父上、立花家の近衛中将府は同盟大名同士の商売や内政の事ばかり、軍事行動の気配が薄いみたいですね。」
「あぁ、婿殿、いずれは牙を剥けて来るでしょうから、油断は出来ぬからな、岩槻太田家の南に江戸太田の勢力と立花家の援軍が常駐してる故、油断は禁物、前橋から岩槻迄20里(80キロ)、昨年はさらにその、南に遠征しておる故、今年も戦いがあると考えて備えるぞ!」
─岩槻太田家─
─太田資正、立川明和─
「明和、立花家の近衛中将府の動きは掴めたか?」
「殿、間者の知らせでは商業取引の事ばかりで軍勢を動員する気配が無しとの報告ばかりです。氷川神社の宮司が大國魂神社の三ノ宮である事から府中に招待されましたので、宮司から近衛中将府の様子を伺いましたが、同盟大名家同士の商いの話題ばかりで橋作りや河川の渡船の話題や道路整備、用水路を作り田畑を増やすなど、内政の話題しか、聞かなかったと、軍勢に関する話題はきかなかったそうです。」
「そうか、江戸太田家の足立周辺の動きはどうなんだ?」
「はい、江戸太田領になった舎人城、中曽根城、花畑城、八潮城を支援する為、立花家の西新井城と川口城が間も無く完成の様です。」
「そうか、立花家は秋には南から攻めて来るかもしれぬ、西新井城と川口城周辺に大軍が来るだろう。
俺が判断を謝らず、立花家に従っていたなら、今頃、こんな辛い状況にならなかっただろう。」
「殿、そんなに後悔なさるなら立花家に詫びを入れて降りますか?」
「今さら遅いな、嫡男太郎が古河城に人質になっておる、さらには立花家に下れば江戸太田家の下風に立たされ面目が無くなる。意地でも古河公方家に従うしか道が無いのだ!」
近衛中将府の反映の様子に岩槻太田家の雰囲気は暗くなりました。
─川越、上杉家─
近衛中将府の様子は間者と近衛中将府に招待された川越八幡宮の宮司から報告が届きましたが、軍勢を動かす気配無しとの報告です。
─上杉朝定、長尾信忠─
「信忠、近衛中将府は軍事優先では無いようだが、立花家は川越を狙って来るだろうか?」
「殿、我が上杉家は足利家の家臣です。古河公方家、足利晴氏様を公方様と仰ぐ以上は何時でも覚悟が必要です。立花家が攻撃するなら東は志木方面から難波田城、南は所沢方面から今福城、西からなら入間方面から柏原城に来るでしょう。3つの城の防備を昨年から強化しております。その3つの城を突破されない限り簡単には川越城は落ちません。」
「そうか、ならば良いが、戦にならないなら良いのだが。軍事的な結び付きが一番怖いのだ。戦上手の立花家に武田、北条が組んだのだから、俺は正直怖いと思うぞ!万が一、武田家が西の秩父から攻めてきたらどーする?」
古河公方家、関東管領家、川越上杉家、各々立花家を敵として近衛中将府の同盟大名家の結束力が軍事的に結び付く事を一番恐れています。特に武田家が加わる事を恐れていました。
武田家は秩父から川越上杉家を狙えます。西上野から侵入すれば前橋まで攻撃される恐れがありました。
関東管領家と川越上杉家には武田家が西から攻めてきたら?と恐怖があります。
果たして立花家と協力して武田家が軍事行動を起こすのか?両家の不安が募ります。




