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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1545年(天文14年)4月中旬、近衛中将府が完成しました。

立花家が遂に近衛中将府のお披露目を迎えます。三日目に渡る行事に府中の街が盛り上がります。

1545年(天文14年)4月中旬


─府中─


桜祭りが終わり、ハナミズキの花が満開を迎え、ツツジが咲き始めます。気温も上がり温かくなり始めました。

府中城の西北に近衛中将府が完成しました。


近衛中将府は同盟大名家との連携が目的です。古河公方家、関東管領家など敵対勢力の軍事力は6万を越える戦力です。

立花家も同盟大名の協力無しには厳しい状況です。

昨年、古河公方家、関東管領家との戦いの最中に江戸太田家、岩槻太田家が裏切る事態に陥りました。


危機は回避出来ましたが、普段からの連携が上手く出来なかった事が裏切りの要因の一つです。

政治、経済、軍事に緊密に連携出来れば同盟大名家と結束出来ると考えて近衛中将府が設立されました。


敷地の中心に立花家と同盟大名家の執務室や会議室、大広間や食事処、台所、風呂、宿泊施設が設けられました。


敷地内には同盟大名家の大使館と関係者の居住する宿舎や大使公邸が建てられています。


─4月中旬吉日─

近衛中将府の開設式典が行われました。立花家の関係者、武田家、北条家、三田家、大石家、吉良家、江戸太田家、高城家、里見家の重役、大使と職員、商人代表が

集まりました。それ以外に関東各地の八幡神社系列の神職関係者、仏教関係者、大商人達が招かれました。


立花家当主、立花義秀から開設の挨拶を行います。

義秀は関東の民の暮らしを安寧にするために設立した経緯を語りました。


近衛中将府の責任者には序列三番手の宿老、佐伯勝長が就任します。立花家が近衛中将府を重視している事が示されます。

佐伯勝長も挨拶に立ち、まず、信頼を高め、経済交流から始める事を強調します。同盟大名家の河川の渡船の整備、物流業への協力を表明しました。


式典が無事に終わると招待した関係者と宴会になりました。

近衛中将府の開設を祝う関係者に

立花家、自慢の清酒、焼酎、セリ、薩摩揚げ、青梅三田家の自慢の澤乃井酒蔵から大吟醸、奥多摩の雫と山葵、滝山大石家から、のらぼう菜の煮付け、武田家からは行者ニンニクの醤油煮と天婦羅、北条家からは蒲鉾、カワハギの干物、江戸太田家からカキの油炒め、世田谷吉良家から鯉の刺身、船橋高城家から海苔、アサリの吸い物、里見家から鯨の燻製、伊勢海老等、宴会の献立の中に同盟大名家の名産品が入りました。

最後にドジョウとすっぽんの雑炊とさつま芋のモンブランで出席者の腹が満たされました。


立花家と同盟大名家の出席者達は名産品を楽しむ良い機会になりました。

立花家と同盟大名家の農作物や、水産物を互いに購入出来る仕組みには、物流網の整備が必要な事を理解出来た様です。


宴会の最後に酔っぱらって気分が高まり、立花義秀が挨拶をします。


「今日、ここに集まってくれた同盟大名家の諸兄に誓う!荒川、江戸川、多摩川、相模川等の渡船(わたしぶね)の船着場を増やし、小舟から大船まで船を増やす!民の暮らしの為、同盟大名家の物流向上の為に可能な場所には橋を作る!

上方の河川の如く河川の湊を作る!主要な街道の道路整備も立花家が主導する故、各同盟大名家の協力をお願い致す!資金と技術者を立花家が供出する!現場で働く人々には立花家から賃金を出す!海と川の物流や人々の移動や荷物を運ぶ定期便を作る!10名~20名を運べる馬車の定期便を各地に新しく設ける!これで雇用が増えて、人々も物流も動き、暮らし向きが良くなるであろう。大國魂の大神様のご意志にも叶うであろう故、関東の静謐と民の安寧の為にどうか、同盟大名家諸兄の協力をお願い申し上げる!」


会場から拍手と歓声が上がりました。そこに武田晴信の弟、武田信繁から感謝の言葉を返します。

信繁は昨年10月に立花義秀の養女を嫁に貰い、返礼を兼ねて府中に来ています。


「義父上!立花家が関東の静謐と民の安寧を願う気持ちは、我ら一同の胸に響きました!義父上のお気持ちを甲斐国の民にも知らせたいと存じます!」


同盟大名の一番の格式が高い甲斐国、武田家を代表しての発言でした。そうすると、格式が二番手の北条家も対抗上黙っておりません。


立花義秀から長男、時長に養女を嫁に貰った北条玄庵が発言します。


「北条家を代表して申し上げます!北条家は立花家の関東の静謐と民の安寧を想う気持ちに大いに賛同いたします!喜んでお手伝い致します!」


来賓の格式が最も高い武田家、北条家が立花義秀の方針に賛同を宣言した事で近衛中将府のお披露目は和やかに終わりました。


翌二日目、立花義秀は同盟大名家と各々個別に面談して課題を擦り合わせました。


武田家とは国境の街道整備を擦り合わせ、宿場町の拡張が決まりました。同盟諸家に河川改修の専門家の派遣を依頼するなど、各同盟大名家の来賓、大使、商人等を交えて課題を話し合いました。


同盟大名家からは軍事的要請が有るはず、と覚悟していましたが、義秀からは一切要請をしませんでした。


三日目は近衛中将府近くに出来た商業施設にて同盟大名家の物産展が行われました。

農産物から海産物が多数集まります。府中の民に大好評だったのが、信濃国の高菜のお焼き、行者ニンニクのお焼き、小田原の蒲鉾の天婦羅、朝採れ鮪の刺身に炙り、江戸沖の朝採れスズキの刺身と炙り、船橋のアサリの酒蒸し、焼きサザエ、木更津沖の焼き伊勢海老、館山沖の朝採れ鯨のステーキ、あきる野、のらぼう菜のお焼き、奥多摩産、岩魚、ヤマメの刺身に焼き魚、など、前回お試しの物産展には無かった特産品が大好評になりました。

工芸品も展示され、箱根の寄木細工、鎌倉彫、仏像等の工芸品や、大名家各々の桐箪笥(きりだんす)

、漢方薬等の展示品が好評で府中の民や商人がこぞって購入しました。同盟大名家対抗の徒競走や相撲対決、綱引き対決などの娯楽行事が行われ、会場は大いに盛り上がり閉幕しました。



近衛中将府のお披露目に集まった関係者は平和の祭典を楽しみます。

古河公方家、関東管領家の息の掛かった関係者も潜入しています。さて、両家の反応は?

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