1544年(天文13年)1月、松千代、夢のお告げで品川湊を救う?
松千代念願のお芝居が公演が始まりました。
祖父義秀の指導力と、宿老、商務奉行の商才もプラスされて大成功、全員の影響力を駆使して戦略的広告活動がスタートしました。
さて、また松千代に夢のお告げがあったようです。
1544年(天文13年)1月、武蔵の国、品川湊
大國魂神社が創建された西暦111年
景行天皇41年以来、大國魂神社の領地であり、朝廷から品川湊の運営を託された大國魂神社、大宮司猿渡家が武蔵国府の交易を管理していました。
幾度かの戦乱に遭遇するも、立花家をパートナーに迎えて立花家が品川城を築城して乗り切ってきました。
大國魂神社大宮司猿渡家と立花家は共通の家祖、藤原家を発祥とする血の繋がりある親戚筋です。
その交易の利益を狙う勢力がありました。
古河公方足利晴氏36歳
武蔵扇谷上杉朝定19歳
二人とも、家督相続で何度も荒れた末に大人の都合で神輿に担がれた世間知らずのおぼっちゃまです。
実質取り仕切る家老の意見に誘導されます。
古河公方の本拠地は古河城です。
茨城、栃木、群馬、埼玉の境目に存在します。
南に領地を持つ岩槻太田氏、江戸太田氏を利用して、品川湊を欲しがっています。品川湊を奪うには品川城を攻め落とす必要があります。
岩槻太田家、江戸太田家に品川湊を奪う話を持ちかけました。裕福な吉良家の領地を餌に世田谷城の攻撃を命じます。
岩槻太田家、江戸太田家に世田谷城を攻撃させてる内に品川城を落とし、品川湊を確保します。
世田谷城も、なかなか落ちないようならば、古河公方家が奪い取る腹づもりです。
対する武蔵扇谷上杉朝定は古河公方足利晴氏の動きを察知しています。同じく岩槻太田家、江戸太田家に働きかけて品川湊を奪いたい様子です。
二つの太田家は元は武蔵扇谷上杉家の家臣です。
しかし、主家扇谷上杉家に祖父の太田道灌を暗殺され、反発して半独立状態にあります。
明らかに古河公方寄りの外交で、武蔵扇谷上杉家に対して冷静に距離をキープしています。
条件次第で古河公方と手を組むか?
気に入らないけど扇谷上杉に手を貸すのか?
売り手市場の状態です。
まだ、立花家、大國魂神社の品川湊を守る品川城も危険が迫る気配を感じていません。
──正午過ぎ、武蔵国、府中城─
元旦から連日の祝賀行事になります。
元旦当日、未明から始まり、初日の出を天守閣から拝む立花家当主、祖父義秀、父義國、松千代以下の親族数名→大國魂神社に初詣→帰城→たくさんの行事→深夜に解放→これが3日間続きます。
1月4日、早朝に20名の若者が君が代斉唱を済ませると、太鼓を響かせて応援歌が披露されます。
ダダダン!ニッポン!
ダダダン!ニッポン!
おぉーぉー!
にぃーぃー!っぽぉーん!
にぃーぃー!っぽぉーん!
にぃーぃー!っぽぉーん!
にぃーぃー!っぽぉーん!
へい!へい!へい!へい!
毎日やります。やっています。
今朝も松千代も参加しています。
20名の若者の声が響きます。
正月行事に疲れた城内に気合いが入ります。
朝飯済ませた松千代
自慢の美人侍女四名を引き連れ、祖父義秀に面会に訪れました。
宿老(家老)五名と会議する広間に美人侍女の胸に抱かれた松千代、警備する顔見知りの兵士にお爺に会いにきたよー!
キラキラの笑顔プラス美人侍女四名のウインク攻撃に撃沈、すんなり警備をすり抜け入室します。
「お爺ぃー!あのねぇー!あのねぇー!
ゆめにみなもとよしいえさまきたー!
あのねぇー!しながわのみなと、あぶなーい!おしえてくれたよ!
しながわのおしろがあぶない!
きをつけなさーいだって!」
「だからねー。みかたをつくりなさい!
しんせきのきらさまにおねがいして!
えど、おおたのとのさま、しんせきのいわつきの、おおたさんをみかたにしなさいだって!
わるいひとずっーとわるいひとふたりー!わるいやつーふたりー!
くぼうさまとー、わかいけどーほしがるひとー!かわごえのうえすぎだって!」
いきなり松千代の話しに付いて行けて無い宿老達だが、前回の経験から品川湊、品川城に危機が迫る?吉良家に頼むだの、悪い奴二人??
反応しきれてない(笑)
「わかったぞー!松千代!!」
一人だけ脳内通訳機能全開の祖父義秀。
「松千代が言いたいのは、夢に源義家公が現れて品川湊に危険が迫ってるのを知らされたんじゃ!
吉良家を味方にすれば良いのじゃな?
吉良家は俺の娘を嫁がせておる!
当主吉良頼貞殿を確実に味方にする!」
「江戸太田、岩槻太田を利用する悪い二人?
公方様と若い人?
品川湊を欲しがるのは古河公方!
足利晴氏!
見栄っ張りだからなぁ!
若くて悪い奴、岩槻太田家、江戸太田家に絡むなら川越の若い奴、扇谷上杉朝定だな?」
「扇谷上杉朝定の曾祖父がなぁ、
連戦連勝、稀代の名将、主家より権力を持った家老の太田道灌が目障りになり暗殺したんだよな?
関東に激震が走った事件だから恨みが深いぞ!」
「品川湊を守る為、吉良家に頼んで、岩槻太田家、江戸太田家を味方にしろ?
源義家公は言ったんじゃな?」
「お爺ぃー!あたまいぃー!それだょー!
みかたつくるー!
わるいやつーけんかさせるー!
あたまつかうー!」
「だはははは!味方に付けるのと、悪い奴は喧嘩させる?
なんだか軍師みたいじゃな?
お前達宿老の考えはどーじゃ?」
──筆頭宿老(家老)鹿島政家──
「申し上げます。
吉良頼貞殿にはお館様の三女の愛姫様が嫁いでおります。頼貞殿は愛姫様を溺愛され、去年夏、
嫡男、義頼様がご誕生、そろそろ母子共に落ち着かれた頃かと思われます。
然るべき人物に6ヶ月のお祝いを口実に派遣します。その折、お館様のご意向を伝えに参られたらよろしいかと考えます。
お館様の弟君、八王子城主、立花将広様なら適任かと存じます。」
「そうだ!それで良い!
では、吉良家に品川湊の事で話しを持ちかけるとして、岩槻太田家、江戸太田家を味方に引き入れる策を考えねばならん!」
「吉良家、岩槻太田家、江戸太田家の3つ全て味方にする策はあるか??
ん、んんーん??松千代?何笑ってるんじゃ?」
「お爺ぃー!あるよー!
みーんなに分けるのー!
欲しいなら分けて、きらさま、ふたつのおおたさんにーわけてあげたらー!
なかよしになるょ!みんなうれしくなる!
でもね、いじわるのらわるーいふたりにあげなーい!
いじわるのふたりはまたけんかするからー!
おおくにたまじんじゃのさわたりおじさんなかよしならあげるよ!おこらないよー!」
「だはははは!参った!参ったー!!
松千代に教えられたわ!
松千代!わかったぞ!
吉良家と岩槻太田家、江戸太田家に品川湊の利益を分ける!
品川湊の事は大國魂神社、大宮司猿渡家に許可貰わなければならんが、俺が頭下げてお願いする!
我が弟、立花将広を世田谷城吉良家、嫡男6ヶ月のお祝いに遣わす。
将広から品川湊の利益分配を持ちかける。
吉良家から岩槻太田家、江戸太田家に分配を持ちかけてもらい、味方に引き込む!
しかし、古河公方家と、扇谷上杉家を恐れて成立しないかもしれん?
あと一つ、確実に仲間に引き込む策が欲しい!」
「お爺ぃー!あのねぇー!あのねぇー!
あるよー!
よこはまのみなと、むつうらみなと、わけたらなかよしなるでしょ!」
「あーっ!それだー!!
横浜湊、六浦湊(横浜市磯子区)
品川湊が奪われた場合を考慮、最悪の事態に備えて作ったら利益爆上りだったー!
独占してたわー!
分けるしかねーゃなぁ…
また、松千代に教えられたわ!
決めた!横浜湊、六浦湊、二つの湊は万が一に品川湊が奪われる場合を想定して、新しく作った湊だ!
収益は立花家が独占していたからなぁ。
大國魂神社大宮司猿渡家にも迷惑をお掛けした。詫びねばならん!
猿渡家に吉良家、岩槻太田家、江戸太田家に利益を分配する!」
「この策でやる!
まず、全て大國魂神社猿渡家に俺から頭を下げて頼んで許可を貰う!
次に、立花将広を吉良家に派遣、大盤振る舞いで吉良家、岩槻太田家、江戸太田家を取り込む!四家の同盟が成立させるぞ!
これで決まりだ!」
その日、大國魂神社猿渡家当主盛村様から許可が下されました。
八王子城城主、立花将広が府中城に呼び出され、兄であり、立花家当主、立花義秀と交渉内容について吟味を重ねました。
翌日、立花将広は世田谷城、吉良家を訪ね、品川湊や諸々の件について
交渉した末、吉良家は品川湊、横浜湊、六浦湊の分配を承諾、吉良家から岩槻太田家、江戸太田家に使者が送られました。
吉良家から説明を受けた岩槻太田家、江戸太田家→半信半疑で世田谷城の吉良家にて交渉する事を受諾します。
立花将広は裏交渉が目立たぬようにする為、秘密裏に吉良家から岩槻太田、江戸太田に繋ぎ役を頼みました。
裏交渉ですから、古河公方家と武蔵扇谷上杉家にバレたら策は失敗に終わります。
世田谷城吉良家にて難しい交渉が始まりました。交渉の末、下記の内容でまとまりました。
①品川湊は大國魂神社猿渡家、立花家、岩槻吉良家、江戸太田家、江戸太田家で運営する。
②品川湊の利益は均等に分配する。
経理監査は、毎月監査を実施する。
監査役は全ての家中から派遣する。
③品川湊の警備兵
猿渡家、立花家から200名、吉良家50名、岩槻太田家50名、江戸太田家50名が警備にあたる。
家族の同居が可能な住居を与える。
住居は立花家が用意する。
④品川城
品川城は城主、品川利光の指揮下、
湊の警備兵は品川利光の指揮に従う。
⑤横浜湊
横浜湊は大國魂神社猿渡家、立花家、吉良家、岩槻太田家、江戸太田家で運営する。
⑥横浜湊の利益は均等に分配する。
経理監査は毎月おこなう。
監査役は全ての家中から派遣する。
⑦横浜湊の警備
横浜湊の警備兵
猿渡家、立花家から200名、吉良家50名、岩槻太田家50名、江戸太田家50名が警備にあたる。
家族の同居可能な住居を与える。
住居は立花家が用意する。
⑧横浜城
横浜城は城主、伊集院忠久の指揮下
湊の警備兵は伊集院忠久に従う。
⑨六浦湊
六浦湊は大國魂神社猿渡家、立花家、吉良家、
江戸太田家、岩槻太田家で運営する。
⑩六浦湊の利益は均等に分配する。
監査は毎月行う。
監査役は全ての家中から派遣する。
⑪六浦湊の警備兵
猿渡家、立花家から200名、吉良家から50名、岩槻太田家50名が警備する。
家族が同居可能な住居を与える。
住居は立花家が用意する。
⑫久良岐城
六浦湊の警備兵は久良岐城主、久良岐家康の指揮に従う。
交渉は難航しましたが、立花将広
粘りと誠意が通じてまとまりました。実はかなり厳しい状態から流れが代わる出来事がありました。
吉良家ですら最初の説明の段階で理解してもらうまでに手こずりました。
さて、立花家当主立花義秀の弟、
立花将広が難しい交渉に使った技有りの策とは?吉良家に吹き込んだ事は?
──立花将広、吉良頼貞──
「吉良殿、品川湊に狙いをつけた古河公方は岩槻戸太田家、江戸太田家の軍勢に自軍から援軍2000を加え、合計6000の軍勢で吉良家、世田谷城を攻撃します。
古河公方足利晴氏の軍勢15000が品川城を攻撃します。
品川城は3日程度で落城、品川湊を支配して交易を独占する算段をしています。
さらに軍勢を世田谷城に向かわせ、太田軍を支援します。
20000を越える軍勢に囲まれた世田谷城に、勝目は無し!落城は必定!
古河公方は岩槻太田家と江戸太田家に吉良家の領地を与える約束になっており、吉良家は滅亡します」
「吉良殿、武蔵扇谷上杉朝定も全く同じく、江戸太田家、岩槻太田家に吉良家、世田谷城を攻撃する事を計画しています。
扇谷上杉朝定は上野国の山内上杉から援軍を借りて軍勢15000を品川城に差し向けるつもりで準備中です。品川湊を奪い独占して
吉良殿の領地は江戸太田家、岩槻太田家で分割してしまうだろうと思われます。」
「江戸太田、岩槻太田は二つの陣営から誘われ、条件の良い気前の良い方と手を結ぶつもりでのらりくらり、時間掛けて交渉中の今を逃してはなりません。
世田谷吉良家を救う方法がひとつだけあります!戦う必要を無くします!
品川湊の莫大な収益を吉良家、江戸太田家、岩槻太田家に分配します!
吉良殿には江戸太田家、岩槻太田家の説得をお願い致します!」
「これから、品川湊は大國魂神社、猿渡家、立花家、吉良家、江戸太田家、岩槻太田家の五家にて運営します!莫大な収益は全て均等に分配します!
大國魂神社猿渡家も、立花家当主、立花義秀も承認しました!
仲間に入るなら、武蔵南部の横浜湊も同じく五つの家で収益を全て均等に分配します!」
「さらにおまけに、横浜湊の南側、六浦湊も同じく五つ家が均等に収益分配します!味方になれば誰も損しないはずです!
味方に加わるなら、我が立花家は安房里見家と姻戚関係にあり、里見家は小弓公方、足利義明様を支援しておられる。
五つの家が纏まるならば、小弓公方家と里見家が我が陣営に加わりたいと申し出があります。
我が陣営五家の兵力は12000ほどでしょう。小弓公方と里見家合わせて兵力が12000でしょう。
合計24000の勢力が協力を宣言するだけで、古河公方家も、武蔵扇谷上杉家も引き下がるでしょう。」
「立花家には常陸の佐竹義昭殿と繋がりがあります。
佐竹義昭殿と下野の宇都宮家、結城家、古河公方は対立して何度も戦う間柄、佐竹義昭殿が下野に侵入する気配を見せるだけで、宇都宮、結城、小山等、下野の軍勢が動けず、古河公方の軍勢は古河から一歩も動けなくなるでしょう。」
佐竹氏に繋がりなんて、ありそうなハッタリでした。内容に嘘と事実を混ぜる情報で相手をこちらのペースに持ち込みました。
立花将広の時勢を説いた話術に誘導された吉良頼貞は納得、重臣達と協議した結果、立花家の申し出に従う事に決しました。
翌日、吉良家から江戸太田家、岩槻太田家に使者が派遣されました。
立花将広の申し出を伝えると、交渉役の重臣が吉良家、世田谷城を訪ねての交渉が始まります。
交渉は難航しますが、立花将広は粘り強く時勢を説きました。
絵図面に関東の勢力図を示し、赤、青、黄色など鮮やかな色彩の駒を使って説明すると、次第に江戸太田、岩槻太田の交渉役が軟化、味方になった場合の細かな事まで話しが及んだ時、品川湊で公演された立花家の芝居の話しになりました。
芝居の題名は「大國魂の大神様に捧ぐ!愛と青春の旅立ち!」
二人の交渉役が、品川湊の公演を観覧した事、源氏の棟梁源義家の伝説に感動した事、立花家創立と、大國魂神社猿渡家との関係を初めて知った事やら、君が代斉唱、芝居の中で演じられた歌に感動した事を語りました。
「人間五十年んんー!下天の内を比ぶればぁー!夢幻のーおー!如くなりぃー!」
右手に扇子を指しながら江戸太田家の交渉役が唄い踊り出します。
やがて我慢ならず、岩槻太田の交渉役まで右手に扇子を持ち出して踊り出しました。
さらに後ろに控える二つの太田家の家臣達が加わり!すかさず、立花将広まで踊り出すと盛り上がりました。
「ひとたびぃー!生おぅ受けぇー!
滅っっせぬぅぅー!者のぉー!
あるべぇきーかぁー!
滅っっせぬぅー!者のぉーぉー!
あるべぇーきぃーかぁー!!」
右手に扇子を指して決めポーズに吉良家の家臣達まで参加した和やかな騒ぎになりました。
「ぶははは!なんだ?皆さん立花家の芝居公演を観たのか!?敦盛の舞が気に入ったな?」
笑いながら立花将広が叫びます!
「酒だぁー!酒を持ってこーい!」
府中から持ち込んだ清酒、焼酎、酒のツマミが運ばれてきました。
「芝居仲間だー!
皆で一緒に呑むぞー!」
「おぅー!立花家の酒は評判が良いらしいな?まずは試してやるぞ!」
賑やかな宴会に早変わりとなりました。
深夜まで騒いだ仲間達は翌朝、二日酔いになりながら、立花将広を中心に細かい点まで合意に至り、交渉成立、立花家、吉良家、江戸太田家、岩槻太田家の四家の重役が同盟締結の書面に調印するに至りました。
土壇場の交渉力で立花将広は四家の同盟を成立させました。
さらに立花家のお芝居にこんなに影響力があるなんて!芝居公演を企画した松千代の貢献はとても大きな事になりました。
今回、新たな波乱の展開、
祖父立花義秀のリーダーシップと、弟、立花将広の交渉力が成果をあげました。
松千代も大殊勲の夢報告でした。
舌足らずの軍師?(笑)
しかし、欲しがり公方、古河公方足利晴氏
武蔵、扇谷上杉朝定の二人が置き去りにされて、黙っているでしょうか?
これからの展開が読めませーん!
書き込み中にインスピレーションが降りてくるので、笑えるほど、筆者にもわかりませーん!
(笑)




