1544年(天文13年)10月中旬、泥酔軍師、甲斐国より帰国したら待っていたのは?
甲斐国の婚礼から立花将広が帰国しますが、待っていた人物は?
1544年(天文13年)10月中旬
─八王子城─
甲府から帰国する立花将広が高尾山を左に見ながら、「あぁ帰ってきたなぁ」と、高尾山に手を合わせます。高尾山は薬王院の薬師如来、権現様を祭り、信仰を集めています。紅葉が綺麗だと思いながら高尾城の本丸を眺めます。史実では北条家が八王子城を築き、豊臣秀吉の軍勢に攻略される城ですが、立花家が高尾城と命名しています。
やがて八王子の街に到着、立花将広の行列は八王子城に戻りました。長旅と呑み疲れでぐったりしています。
しかし、出迎えの家臣から当主、義秀が待って居ると告げました。
─立花義秀、立花将広─
「大儀であった!将広!疲れただろう?焼酎でも呑むか?」
「兄上、只今戻りました!酒は勘弁して下され!暫く無理です!」
「だははは!泥酔軍師も呑めない時があるんだな?」
(笑)
久々に兄弟でお茶と和菓子を食べながら談笑が続きました。
「兄上?本日は何か、別の要件ですか?」
立花家の当主が府中から八王子まで来た事には理由が有るはずです。
「まぁな、岩槻太田家の外交窓口、鳩ヶ谷城の太田正義から連絡があってな、太田家当主、太田資正から離縁された滝山城の大石定久殿の姫を預かったのだ。
事情あって、まぁ娘を産んで落ち着いたから、まずは立花家にと姫を預けられたのだが、その姫が是非ともお前に逢いたいと申してなぁ、連れてきたぞ!」
立花将広の前に現れたのは小さな娘を抱く滝姫でした。
滝姫は岩槻、太田資正の側室です。夫が立花家を裏切り、将広達の軍勢が古河公方軍に奇襲を受ける寸前に知らせてくれた恩人です。
初対面ですが、滝姫は実家の大石家の滝山城が前橋上杉軍に攻撃された時に実質の総大将として救ってくれた立花将広が英雄です。
滝姫の希望が叶いました。
実家を救ってくれた感謝を述べると、将広も軍勢の危機を救う知らせを感謝しました。
対面を済ませると義秀は滝姫を連れて実家の滝山城へ向かいます。
「将広、月末には小田原、北条家との婚礼も軍勢を率いてくれ!」
「頼んだぞ!」
「兄上!また、ですか?」
「将広、北条家を口説いたのはお前なんだから責任があるだろ?」
「ぶはははは!今川家絡みのややこしい関係を武田家を丸め込んだ要領で纏めて来れるのはお前しかおらん!」
「頼んだぞ!」
(笑)
「兄上、解りました、行きますょ、
小田原の酒を呑み干してやる!」
(笑)
立花将広が八王子に戻りましたが、すぐに小田原行きが決まりました。




