1544年(天文13年)4月28日、古河公方、足利晴氏の本隊12000は無事に野田城に到着しました。安全圏から宿老、梁田高助はどーする?
足利晴氏率いる古河公方軍本隊12000は梁田高助が導き、無事に野田城に到着しました。
古河公方家を動かす頭脳、梁田高助は次に何をするのでしょうか?
1544年(天文13年)4月28日
─野田城、早朝─
─古河公方、足利晴氏、梁田高助─
「公方様、これから岩槻城に向かいます。立花家と和議交渉に入った事しか情報がありません。」
「岩槻太田家を確実に古河公方家に取込み、立花家との間の防壁にする必要があります。」
「解った。高助に任せる!」
梁田高助は手元に情報がありません。和議交渉が締結された事を知らずに野田まで行軍してきました。大敗したと聞いた戦場に行くより、岩槻太田家の本拠地に行く事を選択しました。
朝食を済ませると古河公方軍本隊12000は岩槻城に向かいました。
岩槻城まで15キロほど、4時間で到着する距離です。
─赤山城、山内上杉憲政、長尾憲長─
前日の和議交渉で立花将広と呑み競べの勝負で焼酎と清酒を飲み過ぎた憲長は二日酔いで、不機嫌でした。
「憲長、大丈夫か?馬に乗れるか?」
赤山城から撤収するので憲長の体調を心配しています。
「お屋形、岩槻城に参るぞ!後始末はそれからだ!」
「後始末?まぁ、そうか?参ろうぞ!」
長尾憲長は岩槻太田の防御態勢に干渉するつもりで岩槻太田家の本拠地を目指します。
更に別に考えてる事がありました。
長尾憲長の指示で越後勢10000、野田、一色勢10000も岩槻城に移動する事になりました。
─舎人本陣─
─立花義秀、鹿島政家─
」
「殿、古河公方軍が撤退しています。婿殿(江戸太田家当主、太田景資)の軍勢も松戸方面に向かわせますか?」
「政家、船橋方面には新納勢が今頃戦場に駆けつけてるだろう。新納勢に任せて、婿殿には新たに4つの城が手に入り、城主を決めたり、兵力配置や家臣の新規採用等、後始末を経験させるぞ!」
「はい、それは良い教育になりそうです。」
「政家、婿殿をつれて参れ!」
直接本人に伝えたいと考えた義秀は太田景資を呼びました。
呼び出された景資に助言を与えます。
「婿殿、岩槻太田家と江戸太田家は親戚同士、太田道灌公以来の血の繋がりを生かして、できるだけ従来の家臣を採用するのが良かろう。」
「はい、父上様の教えに従い、家臣達と相談して決めて参ります。それならば、花畑、中曽根、舎人、八潮、4つの城主はそのまま任せたいと考えております。宜しいでしょうか?」
「婿殿、それで良かろう。各々の城に江戸太田の将兵を加え、副城主として配置するが良いだろう。」
「婿殿、立花家から各々の城に監察官を派遣したいが宜しいか?問題が起きた時の調整役、相談役になるだろう。」
「はい、父上様、各城に監察官の派遣をお願い致します。ついでにお願いがあります。」
義秀は清々しい若者に顔が緩みます。
「婿殿、申してみよ!」
「はい、父上様には盛大に初陣を飾らせて頂き、さらには4つの城まで与えて頂きました。江戸太田家の家督相続にもお力添えを頂き、感謝申し上げます。」
「ついでのお願いは竹の塚、西新井辺りに立花家の城を構えて頂けないでしょうか?」
「立花家の軍勢が常駐すれば新たに領地となった足立郡の地域全体が安定します!」
「だはははは!わかった!見事な一手を喰らったぞ!」
「婿殿、場所を選び、城を構えて常駐する軍勢を配置する!」
義秀は岩槻太田家が裏切った事で江戸太田家の新領地の城に立花家の監察官を派遣して監視を兼ねて人材を派遣する事を考えました。
太田景資は監察官を受け入れる見返りに立花家の駐留軍を得て安全を図りました。
してやったり!と笑顔で帰りました。
─立花義秀、鹿島政家─
「殿?婿殿は見事に切り返しの一手で安全保障を獲得しましたな?」
「あぁ、あれで16歳か?岩槻太田家を併合して景資を頂点に立たせても良いかもな?」
「さて、城普請の候補地と誰を常駐させるかだな?」
「ご次男、立花義弘殿、三男、加賀美利久殿に経験を積ませるのに良いかもしれません。」
「政家、息子にやらせるのも悪くは無いが、ここは江戸太田の軍勢と一緒に中曽根城、舎人城を攻略した畠山忠國が適任だろうな?太田景資の初陣を飾らせ、二つの城攻めのやり方を学ばせた手腕を買いたいのだ。」
「殿の慧眼には叶いませぬ、なるほど、畠山なら江戸太田の将兵も納得するでしょう。さらに岩槻太田家にも睨みが効きます!」
「そうだろう、政家、畠山忠國も初めてだろうが、城造りの場所選びから城普請を経験させるぞ!」
立花義秀は畠山忠國を呼び出し、江戸太田家の足立方面の新領地の支援の為、太田景資の指導役になる様に命じました。
景資からの依頼で立花家の城を構えて常駐する故、好きな場所を選び、城普請から立ち会って、駐留軍主将として赴任する事を打診しました。
畠山忠國は即答で引き受けました。
─立花義秀、鹿島政家─
地図を広げています。
「政家、この辺りにもう1つ城が必要だな?荒川の北側に戸田城、蕨城が立花家の城になったが、江戸太田領の舎人城、中曽根城との間、川口周辺に城が必要だな?」
「はい、川口なら荒川対岸の江戸太田領の赤羽城と連携出来ます。
荒川に渡し船を常設すれば通商にも軍事行動も楽になります。」
「そこで、新たに城を構えて場所選びから、城普請まで経験させる為、次男の義弘を配置するぞ!」
「はい、それは宜しい事と存じます。」
「政家、川越の扇谷上杉朝定を脅してやるぞ!」
「義國と三田勢に志木、朝霞、新座から入間方面に国境を通過して脅しながら帰国させるぞ!」
「はい、お灸ですな?(笑)」
「まぁそんなもんだ、仕方無しに古河公方軍に加担した事は理解出来るが、放置しては示しがつかないからな」
「脅すだけだ、田畑や民家に手を出さずに帰国させるぞ!」
立花義國の軍勢12000と三田綱重の軍勢5000は川越の扇谷上杉朝定との国境を通過しながら少々威嚇行動をしながら帰国する事になりました。
鳩ヶ谷城、赤山城、草加城から古河公方軍の軍勢が岩槻方面に移動しました。
岩槻太田家の領内に平穏が戻りました。




