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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1544年(天文13年)4月25日、舎人城を巡る戦いが始まります。古河公方軍の優勢が崩れ、流れは立花軍優勢へ!

岩槻太田家が古河公方軍側に鞍替えして以来、優勢だった流れが立花軍優勢の流れに変わり、両軍の軍勢は互いに牽制しながら舎人城、鳩ヶ谷城の戦いが始まります。

1544年(天文13年)4月25日午後~


舎人城の守備力は長尾秀長の援軍2000の加入で飛躍的に上がりました。

北側に大きな池が掘りの役目を果たしています。

南側の湿地が侵入を阻み、攻め口は東と西に限定されます。


長尾秀長の提案で東西の城門前周辺の土を掘り、デコボコにしたうえ、掘った土を土嚢に入れて腰の高さまで積み上げ、高さ1メートル程の防護柵を付けるだけで短時間で陣地を構えました。

陣地の回りに逆茂木を配置します。

逆茂木は尖った木材を組んで攻め手の軍勢の通る場所に設置します。陣地の柵の前に設置すれば柵を守り、陣地の出入口前に配置すると敵の侵入を妨害します。


陣地の前にジグザグに5メートルの幅で逆茂木を配置します。

背後に兵士が守りを固め、逆茂木を移動させて寄せ手の流れを変える事も可能です。


25日午後2時頃、立花軍、太田勢が東から、畠山勢が西から迫りました。

長尾秀長の逆茂木を利用した守りは江戸太田勢、畠山勢の攻撃を弾き返します。


平坦な舎人城を守る為に日頃から逆茂木が準備されていました。これが援軍2000の軍勢が有効に使う事で飛躍的に防御力が備わりました。


逆茂木に守られ、ジグザグに進む寄せ手の軍勢は盾を前に進みますが弓矢の餌食になります。

寄せ手も弓矢を放ちますが安全な場所から放つ城方の弓矢が勝ります。

攻撃は難航しました。





─鹿浜陣地(舎人城から3キロ)

移動式物見台から舎人城方面を眺めています。

─立花義秀、鹿島政家─


「政家、舎人城の攻撃は苦戦してるみたいだな?」


「はい、敵軍は山内上杉家の宿老の弟が援軍に派遣された様です。」


「相手が戦上手なら婿殿に良い経験になろう。

畠山勢が付いてるから城攻めの良い経験になるだろう。」


義秀は舎人城方面の景色を眺めながら、岩槻太田家の裏切りに対する処理をどの様な形に納めるか思案していました。



─鳩ヶ谷城─

─太田資正、立川明和─


「殿!立花軍が西に12000、東に12000の大軍に挟まれました。

これでは舎人城への援軍は無理です!」

宿老の立川明和が報告しながら、主が立花家を裏切りしなければ、と後悔しています。


「明和、俺が時勢の判断を間違えた様だ。立花家を裏切ったのは間違いだった!」

資正は宿老、立川明和に頭を下げました。


「殿!今はこの先を切り開く事を考えましょう!ご嫡男とご正室が人質に取られて長尾憲長に逆らえる状態にありません!」


太田資正は裏切りの代償として長尾憲長に首に鎌をつけられた状態です。

その時、前川ケ原を超えて芝川を渡り、立花軍が鳩ヶ谷城に接近の知らせが入りました。


「敵襲だ!各部隊配置に付け!」

「使番!赤山城の本陣に敵襲をしらせろ!」

資正は立花軍と戦う覚悟を決めました。


立花家、次期当主、立花義國は叔父、立花将広と鳩ヶ谷城周辺に越後勢と山内上杉家の軍勢を釣りだして叩く事を考えていました。

佐伯勢と三田勢合わせて12000が前川ケ原を越え、芝川を渡りました。3キロ離れた場所に陣地を構える越後勢は前日と違い、動きを止めて出撃する気配がありません。


佐伯勢からの知らせは越後勢動く気配無し!

との報告でした。


─立花義國、立花将広─


「義國、動かないならどーする?」

泥酔軍師、立花将広が次期当主を育てる為に試します。


「はい、佐伯勢に鳩ヶ谷城を攻撃させます!」

「越後勢は援護に来るでしょう!」

「我が軍勢も鳩ヶ谷城に向かいます!」

「これで山内上杉勢も釣り出せると思います!」


「義國!それで良いだろう!直ぐに出立だ!」


立花軍が動きました。

西から佐伯勢12000が鳩ヶ谷城に向かいます。

南から立花義國勢12000が鳩ヶ谷城に向かいます。



鳩ヶ谷城から赤山城の山内上杉勢本陣に急報が入りました。

立花軍総勢24000が西と南から接近との知らせです。

長尾憲政は赤山城の陣地から越後勢10000に援軍に向かわせました。


山内上杉勢6000も長尾憲政の指示で鳩ヶ谷城の支援に向かいます。



鳩ヶ谷城に向かった佐伯勢は援軍に来る越後勢を想定して布陣します。12000の軍勢を3つに分けました。

三田勢5000は鳩ヶ谷を南側から攻撃します。

立花義弘勢2000は鳩ヶ谷城を西側から攻撃しますが、越後勢が到着次第、越後勢攻撃に向かいます。

佐伯勝長の軍勢5000は越後勢の到来に備えます。


三田綱重の軍勢5000が鳩ヶ谷城の南側から攻め上がりました。

太田資正の軍勢4000は陣地を築き、鳩ヶ谷城の南に陣地を築き守りを固めています。


陣地前に深さ50センチ、幅1mの穴を50箇所程作りました。

立花軍の隊列を乱し、密集隊形を崩す目的です。


三田綱重が率いる5000は青梅三田氏の軍勢2000と川越の扇谷上杉家との国境の6つの城から500づつ派遣された兵士達です。

三田綱重は偵察部隊の報告で穴の存在を把握しました。

500名単位の小部隊に密集せずに微速前進を指示しました。

ゆっくり前進すると太田資正の想定した展開にはなりません。

密集隊形の軍勢が脚を取られ、隊列の乱れに乗じて崩すつもりでした。


じわじわ接近する小部隊は地味に太田勢の陣地に迫ります。

想定外の攻撃方法に太田勢は陣地の中に侵入を許してしまいました。


─太田資正、立川明和─


「殿!ここは危険です!陣地の後方へお下がりください!」


「明和!それはならぬ!兵士達に顔向けできぬ!前に出るぞ!」


陣地の中に侵入する立花軍に太田資正が勇気を振り絞り、先頭に立って兵士達を励まし、自ら槍を振って戦いました!


「前を向けぇー!前に出るぞぉー!

怯むなぁー!勝てるぞー!」

岩槻太田家当主自ら最前線で立花軍兵士達と槍を合わせて戦います。


「下がるなぁー!殿を討たすなぁー!」

太田勢の兵士達も奮起して陣地の中に侵入した立花軍兵士と懸命に戦っていました。


鳩ヶ谷城の西側からも越後勢と佐伯勢が戦う音が響きます。

弓部隊を先頭に戦う佐伯勢と盾を前に越後勢は長槍部隊が中心になり戦います。近距離で弓矢の連射で戦う佐伯勢に接近して肉弾戦に持ち込みたい越後勢が激しく戦いました。


太田勢は陣地に侵入した三田勢と乱戦になっていました。

夕刻が迫る頃、漸く鳩ヶ谷城に赤山城からゆっくり行軍して来た山内上杉勢本隊6000が現れました。


「ほれ!助けてやれ!」

長尾憲長の指令で上杉勢が三田勢に襲いかかりました。

ほぼ同数の軍勢同士の戦いに新手の6000の軍勢が殺到すると忽ち形成は逆転しました。

陣地内と外から腹背を襲撃された三田勢は無理せず、引き鐘を叩いて退却に転じます。


背後に立花義國の軍勢が迫り、無理する必要無しと判断した三田綱重は自ら太田勢の陣地前に構え、退却する見方を援護して退却に成功しました。


太田勢の陣地前に立花義國の軍勢が現れます。菊の紋章の軍旗に龍魂の軍旗が風に靡き、12000の軍勢が進軍の声を挙げながら接近します。

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!


圧倒的に大きな歓声が響きます。


太鼓が響きます。

ダダダン!ニッポン!

ダダダン!ニッポン!

おぉーぉー!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

ヘイヘイヘイヘイ!

おぉーぉー!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

ヘイヘイヘイヘイ!

ダダダン!たちばな!

ダダダン!たちばな!


応援歌が聴こえます。

その声を背中に浴びながら軍勢が前進します。

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!


太田勢の陣地全体に広がりゆっくり前進します。

太田勢、上杉勢も圧倒的音声を浴びて騒然となりました。

立花軍は太田資正の裏切りに怒りを込めて腹から声を出して威嚇しています。


太田勢は裏切った引け目があります。精神的に弱い状態です。

上杉勢は援軍なんだから不利になったら逃げても良いだろう?と考えてしまいます。


気を取り直し、太田勢、上杉勢は防戦に勤めますが、冷静な動きで立花軍は弓部隊を先頭に弓矢の連射で陣地に侵入します。長槍部隊も陣地に侵入して押し込みます。

陣地の東側から回り込み、押し込まれ退却し始める上杉勢を騎馬隊の弓矢の連射、馬上槍で追いたてました。


─山内上杉憲政、長尾憲長─


「ダメだ!強すぎる!お屋形!赤山城に退却するぞ!はぐれるなよ!」


「わかった!俺を守れよ!」

生意気な宿老に促され、上杉憲政は赤山城方面へ退却します。


長尾憲長は各部隊に赤山城方面に退却を通達、太田資正には殿(しんがり)を命じました。

陣地内は立花軍の軍勢が圧倒します。太田勢、上杉勢は引き鐘を打ち赤山城方面に退却を始めました。


鳩ヶ谷城の西側の佐伯勢と越後勢の戦いは佐伯勢がやや優勢に戦っていました。


山内上杉勢が赤山城方面に退却を始めると、越後勢にも赤山城方面に退却の指示がありました。

退却する越後勢に佐伯勢が追撃を始めました。


日没が迫る中、追撃戦は短い時間で終了しました。


鳩ヶ谷城から赤山城までは4キロ、徒歩1時間の距離です。

立花軍は日没の為、深追いをしませんでした。

敗走した古河公方軍は日没に救われました。


舎人城の戦いは城方が奮戦して立花軍に屈せず守り抜きました。


草加城周辺では花畑城から出撃した新納勢と野田勢、一色勢が小競り合いに終始、大規模な戦いはありませんでした。


赤山城には上杉憲政、長尾憲長は無事に生還しました。

殿を勤めた太田資正も後から無事に生還しました。


鳩ヶ谷城を巡る戦いは立花軍の圧勝に終わりました。


立花義國は鳩ヶ谷城主、太田正義に降伏勧告の使者を送りました。

太田正義は態度を保留、明日まで待って欲しいと回答します。


─立花義國、立花将広─


「叔父上、鳩ヶ谷城主、太田正義は明日早朝迄に回答すると言ってきましたが、時間稼ぎかもしれません。」


「義國、赤山城に退却した太田資正に時間を与える為だな?」

「健気な家臣だ。まぁ太田姓だから親戚筋か?」


「叔父上、太田家の男子に与える資の文字がありませんから、訳有りの血筋かもしれません。父上には鳩ヶ谷城主、太田正義から回答が明日だと知らせました。」


「義國、太田資正の頭を叩いてやった形だから、さらにお仕置きするのか?否か?兄上の判断を待つだけだな。」

「まぁ今夜は焼酎が旨いぞぉ!」


「叔父上、二日酔いにならぬ程度に押さえてくださいね!」

(笑)




























鳩ヶ谷城の戦いは立花軍の圧勝に終わりました。


鳩ヶ谷城主、太田正義は降伏勧告に明日回答します。


時間稼ぎの可能性が高いと見られましが、立花義國と将広は許しました。


太田正義はどんな武将なのでしょうか?


さて、明日からの展開は?

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