１５４４年(天文１３年)４月１９日午後～岩槻城周辺の戦い
岩槻城周辺の戦いは関東管領、山内上杉家の宿老、長尾憲長の主導で動いています。
強引なやり方で川越の扇谷上杉家、上杉朝定の軍勢を古河公方軍に合流させました。
戦いが始まります。
１５４４年(天文１３年)４月１９日午後～
─指扇、佐伯勢８０００─
佐伯勝長の率いる軍勢は川越城の扇谷上杉軍が荒川を超えて侵攻する事に備えて指扇周辺の荒川沿いに配置されていました。
状況が変わり、大宮城の南に布陣して大宮城を守る命令が下りました。
殿山城から出陣した扇谷上杉勢５０００、越後勢１００００が大宮城方面に向かっています。
佐伯勝長は日頃から大宮城の城兵と良好な関係にありました。彼らに協力を頼み、大宮城周辺の水田に水を満たしました。
大宮城の南に布陣して敵の進路に木の枝、枯れ木、空き家から調達した木材、戸板、畳など、道を塞げる物を積み上げました。
茅葺屋根から茅葺を剥がし、乱雑に積み上げました。
─午後１４時頃─
扇谷上杉軍が大宮城付近に現れました。城の周囲は多数の水田が広がり、芝川から引かれた水路から水が張られています。
城の南に布陣する佐伯勢は障害物を踏み越えて進む扇谷上杉軍に弓矢の連射を浴びせます。突破した兵士には密集した長槍部隊が突き挙げ、頭を叩きます。
苦戦する扇谷上杉勢は幾つかの道に別れて進みます。
障害物を乗り越え進む上杉勢に弓矢の連射が続き、突破してもその道先に佐伯勢が待ち構えて包囲しました。
上杉勢は疲労した部隊を下げて新手の軍勢を先頭に進みます。佐伯勢も次々部隊を交代して守ります。
粘り強く守備に徹しました。
立花義國、立花将広の指揮する軍勢１２０００は大宮城の東、２キロ地点に布陣しました。
この辺りは畑と原野が広がります。
蓮田城から山内上杉勢８０００、野田勢５０００が南下して接近します。
立花義國の軍勢が遥かに見えます。両軍の距離は１キロほどでした。
─山内上杉憲政、長尾憲長─
憲長？立花軍と決戦するのか？
いや、お屋形、立花義國の軍勢と睨み会うだけで十分だ。
今、大宮城周辺で扇谷上杉勢が立花軍の佐伯勢と戦っておるが、越後勢が迂回して佐伯勢の背後から攻撃したら勝利が確定する！
そうか？
勝てるなら良し！
─大宮城周辺─
やがて越後勢が大宮城の西から大きく迂回して佐伯勢の背後から攻撃しました。
佐伯勢は正面、左右と背後の４部隊に別れていました。
背後の部隊が攻撃されたら左右の部隊から援護に廻りました。
しかし、越後勢は総勢１００００の大軍です。佐伯勢は支え切れず、東に向かって敗走、２キロ東の立花義國の軍勢に援護を要請しました。
すでに立花義國は佐伯勢が越後勢に攻撃されてるのを悟り、立花将広の嫡男、立花頼政に３０００を与えて救援に差し向けました。
─山内上杉朝定、長尾憲長─
物見の知らせで越後勢が佐伯勢の背後からの攻撃した事を知りました。
お屋形！
ちょっと試しに前に出るぞ！
待て！大丈夫なのか？
前に出て牽制する！
越後勢の助けになるからな！
─１キロ離れていた山内上杉勢の先鋒部隊２０００が前進、立花義國の陣地から５００mまで接近しました。
─立花義國、立花将広─
叔父上！
敵の先鋒部隊が接近して来ました！
脅しだな？
前に出るだけで、威圧して来やがったな？叩いてやるぞ！
俺が４０００の軍勢で前に出る！
義國は残る軍勢５０００を率いて南に向かい、佐伯勢を救いに行ってくれ！日没が近いから敵も撤退を頭に入れている時間だ！
急げ！佐伯勝長を討死にさせるな！
─立花将広の軍勢４０００が前進しました。
歩調を合わせて進みます。
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
両軍の距離が２００mになりました。
太鼓が響きます。
ダダダン！ニッポン！
ダダダン！ニッポン！
おぉーぉー！
にぃーぃーっぽぉーん！
にぃーぃーっぽぉーん！
にぃーぃーっぽぉーん！
にぃーぃーっぽぉーん！
ヘイヘイヘイ！
おぉーぉー！
にぃーぃーっぽぉーん！
にぃーぃーっぽぉーん！
にぃーぃーっぽぉーん！
にぃーぃーっぽぉーん！
ヘイヘイヘイ！
ダダダン！たちばな！
ダダダン！たちばな！
ダダダン！たちばな！
ダダダン！たちばな！
気合いが入り、さらに前進します。
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
立花勢４０００が迫ります。
山内上杉勢２０００は圧倒されました。立花勢を脅すだけで、戦うと思
ってませんでした。
右翼から５０騎、左翼から５０騎が上杉勢に弓矢を連射しながら脇に、廻り、背後に廻りました。中央に弓部隊を集め、連射します。両翼に長槍部隊が突入しました。
一気に崩れた上杉勢は退却します。
鎧袖一触、引き鐘が鳴り、先鋒部隊は退却します。
立花勢は軽く追撃して、直ぐに軍勢を纏めました。
鬨の声を挙げます。
エイ！エイ！おぉーぉー！
エイ！エイ！おぉーぉー！
エイ！エイ！おぉーぉー！
エイ！エイ！おぉーぉー！
ダダダン！たちばな！
ダダダン！たちばな！
ダダダン！たちばな！
ダダダン！たちばな！
周囲に４０００の軍勢の鬨の声が響きました。
──大宮城周辺の越後勢に鬨の声が聞こえました。
立花義國の救援部隊と越後勢は激戦中でした。
越後勢は山内上杉勢が大敗したと思い込み、撤収を決めました。
越後勢に促され扇谷上杉勢も慌てて撤収します。
立花義國、頼政の軍勢は引き返した佐伯勢と追撃に移ります。
日没まで４０分ほど時間がありました。日没するまで追撃は続きます。
立花義國勢５０００、立花頼政勢３０００、引き返した佐伯勢が追撃します。
越後勢、扇谷上杉勢も必死の撤退に変わりました。
やがて日没となりました。
遠ざかる越後勢に向けて鬨の声を挙げます。
エイ！エイ！おぉーぉー！
エイ！エイ！おぉーぉー！
エイ！エイ！おぉーぉー！
エイ！エイ！おぉーぉー！
勝ったはずの越後勢と扇谷上杉勢は背後から聞こえる鬨の声に複雑な心境になりました。追撃で受けた損害は意外に大きく、未帰還者が意外に多数になりました。
大宮城周辺の戦いは前半圧倒していた筈の古河公方軍側が日没前に損害が増えました。
勝ったと言えるのか？
微妙な１日になりました。
