1544年(天文13年)4月19日、岩槻方面の戦いは扇谷上杉軍の動向が運命の鍵を握りそうです。古河公方軍に味方するのか?裏切るのか?
岩槻城方面の戦いは越後軍の登場から流れが変わりました。
扇谷上杉朝定は長尾憲長の策謀に手を焼きながらなんとか立花家との和議を守ろうとしますが、上尾城が越後軍に乗り込まれ、上田朝直の軍勢が越後勢の指揮下に組み込まれました。
扇谷上杉朝定の軍勢5000は川越城から出陣、上尾城の北4キロの殿山城に入りました。
1544年(天文13年)4月19日~
─岩槻陣地、立花義國、立花将広─
義國!川越城の扇谷上杉軍が動いたぞ!
指扇に布陣していた佐伯勢に使者 が参った!
川越城の北から抜けて入間川、荒川を渡り、上尾城の北1里の殿山城に兵力5000!
上尾城を飲み込んだ越後勢の背後に布陣したぞ!
叔父上!
扇谷上杉勢が背後から上尾城を攻撃する!
立花軍も呼応して上尾城を攻撃する!と噂を流します。如何でしょうか?
ほぅ、良いだろう。
上尾城の上田朝直が上杉英房の首を狙ってる!
これも付け加えたらさらに面白いだろう。
越後勢が不安になるだろう。
はい、それでは噂を流します!
─蓮田城、山内上杉憲政、長尾憲長─
─午前9時頃─
憲長?昨日、川越城の扇谷上杉朝定が上尾城の北1里(4キロ)の殿山城に入ったぞ!
越後勢を襲うつもりじゃないのか?
お屋形様、そんな度胸があの朝定に有るとは思えませんが、大宮城の攻撃を命じたのに、遥かに遠く、殿山城に入った事を咎めてやりましょう!
直ちに大宮城を攻撃しなければ上尾城の上田朝直を殺す!
これで動くでありましょう。
─殿山城、扇谷上杉朝定、長尾信忠─
─午前11時頃─
殿!蓮田城の山内上杉憲政殿から大宮城の攻撃をせず、殿山城に留まるなら上尾城の上田朝直を殺すと通告して参りました!
大宮城を攻撃するしかありません!
信忠!逃れる手は無いのか?
上田朝直の命も救い!
立花家と戦わぬ手は?
殿、立花家と戦いたくはありませんが、そろそろ考え時になりました。
越後勢8000
山内上杉勢8000
野田勢5000
一色勢5000
合計26000
立花義國本隊12000
佐伯勢8000
岩槻太田勢5000
合計25000
単純に我が扇谷上杉勢が7000です。
我らの軍勢が加担した方が勝利に近いでしょう。
地図をご覧下さい。
古河公方家に属する領地の範囲は下総、上総、常陸半国、下野、上野、これに越後が支援しました。武蔵の国を我が扇谷上杉家と立花家が二分しております。
古河公方家の影響力の範囲が圧倒しています。
立花家は新興勢力で支配地は武蔵半国に過ぎません。品川湊等交易で莫大な富を背景に兵力の大半が銭雇いと聞き及びますが、銭雇いで長く持ちこたえるでしょうか?
武家奉公は領地を頂いてこそ命懸けの戦いが出来るのです。滝山城の戦い、石神井城の戦い、相模座間の戦いに勝利していますが、手を広げ過ぎてそろそろ財力の限界が来るかと思われます。
そうか、信忠、立花家には恨まれるだろうが、お主の判断に任せる!
まぁギリギリまで両天秤にかけて判断下すのだから大丈夫だな?
はい、立花家には通知致します!
そうした方が互いにスッキリしますから密使を送ります!
それから、蓮田城の山内上杉憲政殿に大宮城へ向かうと回答して越後勢の後詰めを依頼します!
そうか、頼んだぞ!
いよいよ立花家と決別だ!
─蓮田城、上杉憲政、長尾憲長
お屋形!やっと扇谷上杉朝定が大宮城攻めを受けましたぞ!
そうか!やっと決心したんだな?
まぁ越後勢の後詰めを要請してきたから、やる気になったみたいだな?
おぉ?
すると大宮城方面は佐伯勢の軍勢が8000で布陣してるだろ?
扇谷上杉勢と越後勢で15000!
おもしろくなりそうだな?
お屋形!我らも出るぞ!
古河公方配下、野田勢、一色勢も出て貰う!
我が軍勢8000と野田勢5000は東大宮城方面に向かう!
これで立花義国の軍勢12000を引き出す!
一色勢は岩槻城方面に向かい、太田勢5000と対決して貰うぞ!
─殿山城を出立した扇谷上杉勢は4キロ南の上尾城を通過して大宮城方面に進みました。上尾城から大宮城まで8キロ、2時間で到着する距離です。
─岩槻陣地、立花義國、立花将広
殿山城の扇谷上杉朝定からの密使が決別を伝え、和議を守る術を失った経緯がわかりました。
だははは!義國!
上杉朝定が和議を守ろうとした事は解った!
やはり最期には古河公方軍に従うしか無かったのだ!
はい、スッキリしました!
それで、扇谷上杉勢は大宮城方面に向かうなら上尾城の越後勢が後詰めするでしょう?
佐伯勢8000に敵は15000がやって来ます!
不味いな、義國、敵方は扇谷上杉勢を加えて総勢33000だ!
太田勢を合わせて25000の我らは敵に主導権を取られた!
佐伯勢は大宮城の南に下げて大宮城と連携して守りに回す!
そこで、我らの本隊12000を何処に配置するか?
はい、我が軍勢は東大宮城の西へ参りましょう!
東大宮城と大宮城まで1里(4キロ)、その中間に待ち構えれば敵の動きに対抗出来ます!
そうだな、それで良いだろう!
岩槻城の太田資正は岩槻城を固く守って貰う!
いざ!出陣だ!
─佐伯勢8000に大宮城の南に下がり、大宮城と連携して守備に徹する指令を与えました。
扇谷上杉勢と越後勢の15000が大宮城に向かっています。
岩槻城の太田資正には、城を固く守る様指示を出しました。
一色勢5000が岩槻城に向かっています。
遂に扇谷上杉家は立花家との和議を破棄して対決する通告をしました。
岩槻城周辺で大きな戦いになりそうです。




