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プロローグ。神ノ世界で選ぶ道

暗い宇宙みたいな世界。

あれから、そんな世界をプカプカ浮かんでいるような、そんな感覚がする。

暗いのは目が開けないからで、本当は川で流れているのかもしれない。

だが、生きていた可能性は絶対にない。

自分の中が空っぽになったような感覚を、生きている感覚というならあるかも知れないが、そもそも俺が死んだところに川はない。

死んだと思った直後に、台風と地震が同時に起こって、奇跡的に川ができたとすれば可能性があるのかもしれないが。

とにかく、目が開かないことには確かめようがない。

これが……シュレディンガーの猫?

―――目覚めなさい。

声が聞こえる。聞いたことのない声だ。

―――目覚めなさいオウカ。

幻聴じゃない。はっきり聞こえてくる。

―――目を開けてください。話が進みません。

さっきまで開かなかったものをどう開けろと?

―――もう開くはずです。とりあえず開けてください。

さっきまで開かなかったはずの目蓋が動く。はっと目が覚めたように目を開ける。

僕は立っていた。さっきまで浮いていたはずの体は立っていた。

雲の上だった。たぶん。雲の上に立っていた。かかとで床の感触を確かめる。

想像道理のふかふかだった。

そんなことよりもだ。見渡す限りの青空よりも、こんな雲のことよりも、目の前にいるこの女性だ。

すごい美人である。なんだろう、お姉ちゃんって叫びながらハグしたい感じの。

「ようやく目覚めましたね。オウカ」

なぜだろう。名前を呼ばれてドキっとした。

何となくわかる。これは、好意によるドキっではなく、魅力に引かれてのドキっである。男の子ならよくあることだ。

「結論から言います。あなたな死にました」

「はい。なんとなくわかってました」

気づいていた。わずかな可能性なんて無いことはわかっていた。何となくすがってみたくなった。ただそれだけだった。だから、涙は出なかった。



零色オウカ。それが僕の名前。いろいろあって死んだ。トラックに跳ねられたわけじゃない。首釣ったり、高いとこから落ちたり、二酸化炭素中毒になったわけでもない。普通ではない死を味わっただけで、それ以外は特に変なところはない……はず。

「わかっている……。あ、そうだったんですね」

「ちなみにここは? 」

「神ノ世界です」

「あ、そう」

なぜだろう。話が弾まない。

「あの、僕って……たぶん誰かに魂あげた気がするんですけど……なんで神ノ世界ってとこにいるんですかね」

「それは、ここにつれてくるのが彼の仕事だからです」

「あ、そう」

僕は女性が苦手なのかもしれない。

「あ……えっと、星空とかみてみます?」

「え、あっはい。みて……みたいです」

硬直しきったこの空気をくだけるならばと、僕は女神の話にのってみた。

「それではいきますよ。は~~~! えい!」

女神は念じながら手をたたく。

すると、周りの景色は、日が落ち月が昇るように、太陽きらめく夏の空から、星が輝く涼しげな夜空へと変わった。

「すっげぇ綺麗ですね」

そう思わず言いたくなるほどの、満天の星空であった。

「それでは、本題に入ります」

女神様は、こほんと一つ咳払い。

「今から、貴方のこれからを選んでいただきます。選ぶと言っても、貴方が選べる道は2つ。天国へ行くか、生まれ変わるか。選んでください」

「質問は?」

「何度でも」

「それなら1つ目、天国ってどんなとこ? 」

「何でもあるところです。欲しいものから、望む未来も何もかも。ただし、そんな生活を続けた場合、なにもしない寝たきり人間となり、やがて溶けて命の雫を地上へと垂らします。新たな生命が生まれるための糧となるのです」

「却下。怖すぎる」

ちょっとしたホラーを感じる。こういうのを闇と言うのだろうか。

「それと2つ目、生まれ変わりってどんなもの?」

「生まれ変わりは、新たな生物として生まれ変わること。生前の行いを元に、生まれ変わる生物が決まります」

「ちなみに僕は?」

「よくて人間、悪くてセミです」

「なにその差」

「貴方の生前の行いの賜物です。主に死に際の行いに前例が無いため、判断しづらいのです」

自分の進路を博打で決めたくはないように、もっと大切なものを博打で決めたくはない。ガチャとかは好きだけど。

……どうしよう、本当に迷う。

だって、選択肢にろくなものがない。

自分を失って餌になるか、自分を失って地面の中で半生を過ごすかってどっちも地獄じゃんか。

「運ゲーは好きなんですけど、セミになる可能性が嫌すぎるので、実は3択目とかってあります?」

「ありません。数年前までは」

「あっそう……。あるじゃん」

あるのなら最初から言って欲しい。あやうく俺は、博打しようとするところだった。

「別に案内を忘れていたわけではありません。酷いものをみたあとに見る良いものは、より美しく感じます」

「必要性を感じません」

「説明を放棄します」

「すみませんでした教えてください女神様」

あと少しで、最後の希望が職務放棄で無きものとなるところだった。

「3つ目の選択肢。それは異世界転生です」

「異世界転生……。あの都合のいい力で、都合よくいろいろ覚えるついでにチート能力貰って異世界で自由に暮らすあの? 」

「半分正解で半分不正解です」

違う部分があるってことか。思ってたんと違う。となら無きゃいいけど、正直選択肢はこれ一択だけなんだよな。

「チート能力……貴方がいっている能力の総称はギフトです。それと、都合よくいろいろ覚える、の部分は勉強して覚えて貰います」

うげっ。勉強は苦手なんだよな。……ギフトか。少し聞いてみるか。

「勉強は、が……頑張ってみます。それより、わさわざチートをギフトと言い直しましたけど、なにか理由があるんですか?」

「ギフトとは、神が創造した能力であり、その力は強大です。しかしギフトを創る際、様々な原因で異常が起こることがあります。それがチートです。ギフトは誰が使おうと何ら問題はありませんが、チートは違います。異常によって蝕まれた力は使用者を飲み込み、あらゆる障害があらわれます」

「たとえば? 」

「死にます」

直球すぎる、かつ絶対に手に入れたくないと思うには十分すぎる答えである。ちょっと引いた。

「ちなみに他には? 」

「そうですね……自我を保てなくなったり、魂の波動が乱れて魔法が使えなくなったり」

「魂の波動……って何それ? 」

「魂の波動は、魔法や超能力などの世界の力を使うために必要なもの。世界ごとに波動は変わり、魔法などを使える波動じゃなければ使うことはできません。たとえば貴方のように」

なるほど? つまり、ちょっと出たりしないかなって思ってやっていたのは全部無駄だったわけだ。……恥ずかしくて泣きたくなってきた。

「まれに、異なる世界の波動をもつ存在が生まれることがありますが……そんなことは普通はありません」

すこし報われた気が……するわけないだろ。

「波動を調整するということは、別の世界の魂へと変化させるということ。新しい自分に生まれ変わる……と思ってください」

「つまり、この道を選ぶってことは魂の波動をいじくりまわされた挙げ句、勉強までさせられるってことか」

「そういうことです」

「……まあほぼ一択なんだけどね、うん。他の選択肢がまともじゃないもん」

「個人差があります。あなたの感性と、主に死に際の問題です」

「すいませんでした」

悲しいかな。結局2択な気はするけども、これも感性の問題かもしれない。たぶんそう。

「それで、どうします? 貴方にとっては一択しか無いみたいですけど」

「異世界転生で」

「分かりました」

これからお勉強しなけりゃならんのか。死んでも勉強しなくちゃならないなんて。

「それではお勉強を始める準備をしますので、しばらくお待ちください」

女神様がいつの間にか居なくなっていた。

溶けたり、セミになったりするのは回避できたけど、勉強かぁ。まあ、乗り越えれば無双できるって考えたら楽なもんか。

そういえば、あいつどうしてるのかな。命まで張ったんだから、将来の何になるかくらい、女神様に教えてもらっても良かったんじゃ「ぶぇ?」

地面に穴が空いた。ちょうど俺1人落ちれるような。

よく分からないし、訳も分からなかったが、1つ確かな事がある。僕は……落ちる。

下へ下へと落ちるなかで俺は叫んだ。

「じぬううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

もう僕は死んでいる。




こーしんは、ゆっくりしてきます。

ポケモンはやくでんどーいりして、耐久パでらんくま回したい。

せつだんさせてきもちよくなりたい。


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