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希求の国のアリス達  作者: tapioka
8/10

吊るされた男

このお話を始める前に、アリス・如月・ノエルについて触れていこうと思う。


俺、つまりは如月 樹と如月 冬馬の年齢は20と26だ。

比べて、アリスに関して言えばまだ現役のJKであり今年で17になる。

年齢差的に比べるとそう違和感はないかもしれないが、お察しのとおりこのアリス・如月・ノエルという少女は実の妹ではない。

腹違いを実の妹と認識するかどうかは人それぞれであろうが、それでも俺とクソ兄貴は実の妹とは思っていない。


その体を流れる血の最低でも半分は俺たちと違う風になっているというのは、俺とクソ兄貴は認めることができなかった。

否、それを理由に実の妹と思わない事にしたと言った方が正しい。


腹違いで、実の妹とは思っていなくても、俺と兄貴は目の前で美味しそうに甘ったるくしたコーヒーを飲む妹分を愛している。


「んで、今日はなんでここにアリスが来たんだ?」

「実は今日から夏休みなんだよね。それで久しぶりに会いたいなと思って」

「部活は?」

「ちゃんとお休みだよ」


当たり前というようにこちらに視線を向けてくるが、土曜日ならば別に部活があっても不思議じゃないんだから気になるだろ。

まぁ、別に信用していないわけじゃないから休みの日かなとは思ったけれども。


ちょっと不服な顔をしてコーヒーに口をつけると、目の前に座っている兄貴が目線を合わせて笑ってくる。

なんだ、何を言いたい。


「いや、そんなの聞かなくても推し量ってあげなよと思ってさ」

「うるせぇよ」


自分はそんなの分かっていたとか言うマウントか。

マウントにもならんわ。

そもそも1を見れば100を理解する天才様とは作りが違うんだから、同じリングに立つ以前の問題だわ。


コーヒーの苦みなのか自身の言い返せない無能さへの苦渋なのかは分からないが随分と口の中が不快だ。


先程まで、本当に命のやり取りをしていたからテンション的に会話が弾まないものだと思っていたけれど隣の天使のような少女のお陰で随分とリラックスできた。


「久しぶりといえばね。この前お父様が久しぶりに帰ってきたの」


空気が凍てつく。


お父様。

その言葉が表すのは、想像するにこの世に1名しかいない。


如月 那由多


恐れ多くも如月家の大黒柱であり、当主であり、最高の異才を生み出し、最低の非才を作り上げ、普通の少女を生み出した、父親と呼べる存在。

彼は数か月に一度のペースで実家である邸宅に帰宅し、数日すればすぐに国内外問わず仕事へと向かい家には帰ってこない。


そのため、邸宅にはアリス・如月・ノエルの身の回りの世話を行うハウスメイドが13人ほど常駐している。

その他にも警備員や庭などの管理人も雇っているため、あの邸宅にかかっている人権費等は莫大なものとなっているが、それを問題なく動かせるのが如月家である。


「父さんは何か言っていたかい?ボクか、愚弟に対して」

「んー?特に何もなかったかな。私の学校生活の事を少し聞いてきたくらいで」


まぁそうであろう。

あの父親は息子二人の動向なんて一々気にするような子供思いな性格の持ち主ではない。

自分本位で悪意で満ちに満ちた人間だ。


想像していると握っているマグカップを叩きつけて割ってしまいそうだったのでゆっくりとテーブルの上に置く。

あくまでも顔は笑顔で、瞳は優しく、憤慨の意は悟らせぬようにする。

関係のない人間にこの件で不快な思いをさせてしまうのは、俺としても不服の致すところだ。


話を聞いていると、どうやら夕方まで俺と兄貴のもとにいるようで休みを取っている兄貴とどこかに連れて行こうかと考えていたが、結局この日まで決まらなかった。

最近の女の子の流行りとかあんまり知らないし。


「アリス。どこか行きたいところとかあるか?」

「んー、急に言われても思いつかないなぁ」

「無難に甘い物を食べに行くとかはどうかな~?」


その提案に対して視線を兄貴の方に向けて好感触の反応が見れたので高めのいいところに連れていくことに決まった。

さっそくカップを片付けて出かける準備をする。

基本的な雑務は俺の仕事になっているので、当然車を運転するのも道案内をするのも俺だ。


家庭内の役割の多さに関してはアリスの前でも愚痴っていい気もするが、このネタをクドクドと擦っても温まるどころか冷えきってしまうのでスルーしよう。


しかし、どうも七月の嫌な暑さにはうんざりする。

立派な雑用係として車に先に入り冷房をいれて待たなければいけないのも億劫だ。

そうこうしている間に玄関から仲良く2人の人物が出てきて助手席と後部座席に乗る。


実に自然に乗ってきた人物に対して横目で姿を確認して口を開く。


「お前って俺ん家に住んでるの?」

「そんなわけないさ」

「ボク達は君の家に無断で住む程非常識じゃないよ」

「無断で入らせてはもらってるけど」

「不快かい?」

「なら止めよう」

「黒いお兄さんが下々な気分になるのはボク達としても下々だ」


紫髪の少女が矢継ぎ早にまくし立てる。

アリスも兄貴も助手席に乗ることは一切ない。

事故った時に一番危険な席に乗るような真似を兄貴はしないし、妹を乗せるような真似もしない。

そこにズカズカと乗り込んできたんだから誰かと思えばついさっき俺にナイフを突き刺して毒を盛ってきた人物なのだから驚愕である。


後ろの座席に座ったクソ兄貴も普通にしてるし。


「玄関先に見知らぬ人物がいて驚きはしたけど、その子も治験の参加者なのか~い?」

「ああ。チェシャ猫っつって、まぁ敵役ポジションのやつだな」


チェシャ猫の話はまだしていなかったので簡単に説明をすると、クソ兄貴が興味深そうにチェシャ猫の姿を見る。


「君たち兄弟ってボク達の体を見るの好きだよね」

「黒いお兄さんには言ったけど、恥ずかしいものは恥ずかしいよ」

「黒いお兄さんのお兄さんでも同じだよ」

「恥ずかしすぎて殺したくなっちゃうよ」


と、まさかの殺害予告までされたが俺も兄貴もそこまで反応しない。

車内でチェシャ猫が暴れようとも、死ぬのは俺だけでクソ兄貴はなんだかんだというか普通に考えれば生き残るのであろう。

まぁ、隣の人物は以前から見逃してくれはしてるので、この場合危ないのはクソ兄貴のみということにはなりそうだが。


チェシャ猫に登場いただいたのはありがたいが、今この状況をアリスに見られるのはまずい。

早めのご退場を願いたいのだが、そんな願いも虚しく少女は背もたれを倒して寝る姿勢に入っている。


「心配ないよ。あれはまだ随分とかかりそうだ」

「元から出かけるつもりがなかったんだろうね」

「ボク達としてもそっちの方が上々ではあるんだけど」

「他人の意思を無理やり変える程のクズじゃないしね」

「ボク達も渋々我慢するのさ」

「お兄さんが何かお返しの品をくれるかもしれないし」

「甘いお菓子がいいな」


今からそれを食いに行くんだよ。


バックミラー越しにクソ兄貴に視線を送ってみるが、敵意がないことを分かっているのか未だにチェシャ猫の姿を観察しながらスマホに何かを打ち込んでいる。

性格を知らないやつからしたらただの変態にしか見えないが。

変態ではあるんだけどさ。


当てにならない奴にいつまでも目線を送っているのも無益なことなので諦めてゆっくりと大きく背伸びをする。

砂浜での戦闘を振り返らずとも、俺が素手で無理やりにでも車外に出そうとしても綽綽と追い返されるだけだろうし。


警戒を完全にしなくなったわけではないが、半ば諦めに近い。

アリスが笑顔で玄関から一歩を踏み出してくるまでは仲良くだべっていようじゃないか。


「ところで、お兄さんはどこのお菓子を食べに行くつもりなの?」

「ボク達もついていっていいでしょ」


相も変わらず気持ちの悪い笑みを浮かべながら首と視線をこちらに向けて尋ねてくる。


「美少女と食べるのは問題ないんだが、今日は別の美少女が先客になってるから無理だな。次に空くのは

 多分……100年後くらいだ」

「お兄さんって100年後も生きてるの?」


さあ、もしかしたら生き残ってるかもしれない。


途中で諦めたりしなければ、それなりの結果になるんじゃないか?

チェシャ猫や兄貴が死ぬ構図が全く持って想像できないことに違和感は覚えるが。


「ボク達だって死ぬさ」

「多分ね」

「いつかは死ねるよ」

「化け物じゃないんだから」


十分化け物じみた特徴を多分に含まれているキャラクターだと思うけど。

そもそも”化物”であろう。


死ぬ構図が予測できないという存在なら、関連でもう一人いたな。

でもまあ、”怪物”に関して言えば補正が入っているし、そもそも如月 那由多が死なせるとは考えにくいものだが。


車内のナビをいじって陽気な音楽を流し始めたところで、玄関が少しだけ開く。


「しばらくかかるんじゃなかったのか?」


その問いかけに対しての答えはなく、助手席は背もたれが倒れてそのままの状態で猫だけが消えていた。

再びバックミラー越しに兄貴に目線を合わせて、「見た?」と尋ねてみるが、即座に首を横に振られどのように出ていったのか分からずじまいだ。


小走りで走ってくる最愛の他人は後部座席のドアを急いでいてもゆっくりと開き、音もなく静かに座る。

如月家の教育の賜物で、上の兄二人とは比べ物にならないほど可憐で清廉な様子がうかがえる。


シートベルトまでしっかりと締めたのを確認し、ブレーキからゆっくりと足を離す。

チェシャ猫が最後に何かを仕掛けているのではないかと変な緊張をしてしまったが、行き過ぎた杞憂だったようだ。












_______________________________________________________________________________________________


私は悪人が大嫌いだ。


過ちを犯してしまうことはしょうがないにしても、それを堂々と意図的に起こし、隠蔽し、自分をよく見せつけることで多少の正義感を覚えるような人間が嫌いだ。


悪人を全て更生させれば全員が幸せになるとは考えないが、それでも大多数の人間が幸せになるには違いない。

これを達成することがどれほどの夢物語かは察することができるが、信念だけは持ち続けて生きてきた。


「委員長~、これ教えて~」

「ん?いいよ」


困っている誰かがいれば助けるのも当たり前の行為だ。

それが悪い方向に行こうとしているなら止めるのが友達というものだ。


父や母にもそう教わってきし、その生き方が間違いであるなんて微塵も思っていない。


そんな中で、ある噂を耳にした。


治験と称して人体に投薬を行い、そのうえで殺し合いをさせ、一位になればなんでも一つ願いを叶えるなどという報酬だけ見れば耳心地のよい非人道的な行為を行っている組織があると。

警察官である父に聞いてみると報告などはちらほらと上がってきているが、決定的な証拠がなく動き出せていないのだそうだ。


しかし、そのような行為を見過ごしたくない思いから信念に賛同してくれて、付いていくと言ってくれた親友とともに治験に参加した。


死ぬ思いまでして叶えたい夢があるのかと。

何でも一つ叶えてくれるなんていう幻想はないのだと。

それは自分でつかみ取るべきものであるのだと伝えるために。


悪人を許さないために。


そう思って動いてきたのに。


空中に投げ出された状態で向かいのビルの屋上を見るとこちらに微笑んでくる男。

その男が言うのだ。


「お前は本当に酷くて、醜い、悪い奴だよ」










_______________________________________________________________________________________________


カフェのテラス席にて茹だるような暑さに背もたれに思い切り体重をのせ、苦しみながらも必死に耐え抜く。

どうやら妹君は涼しい店内よりも明るい外の方がよかったらしく、テラス席をご所望された。

風が多少吹いているが、それでも暑い。


涼しい顔をしていうのが目の前に2名もいるためおかしいのは俺の方に見えるが、道行く人全員に聞いても「暑い」という回答をしてくれるだろう。


「それでも笑顔のために頑張る俺ってかっこいいわ」

「自分で言ってて虚しくな~い?」

「お兄ちゃんはかっこいいよ!」


こんな愛らしく優しい妹を持てたことが、俺の人生における最大の幸福だ。

瞳に涙を浮かべながら自身の幸運を噛みしめていると、兄貴が俺に対してストローの包装をしていた紙を丸めて投げてくる。

それは見事に俺の鼻穴に入ってタイミングよく俺が息を吸い込む。

紙屑は空気ととも奥へと侵入しようとして。


「グへっ、はっ、お、お前、マジで」


変なくしゃみとともに射出される。

店内よりは少ないとはいえ周りに人がいる状況で、小学生の悪戯レベルのことを高度な大人の計算をもってやるな。


何組かの視線がこちらに向いているのを感じ取り、柄にもなく少し赤面する。

恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。

なるほど、これがチェシャ猫の感じていた羞恥心か。

これを踏まえて今度からは恥ずかしくないようにじっくりと眺めて慣らしてあげる必要がありそうだ。


「ホントにそういう気持ちの悪い発想はよくできるよね~」

「お前ほど気分が悪くなるような人間じゃねーからいいわ」


不幸中の幸いというか、アリスは目の前のケーキを食べるのに必死で今の光景を見ていなかったらしく、かっこいいお兄ちゃん像を汚すことは避けられたようだ。


どっちみち今日は治験があるわけでもないし、ゆっくりのんびりとしていようと気持ちを新たにして椅子に座りなおすと、カウンターの方で見覚えのある姿を見た。

茶髪のショートボブと青髪のポニーテールの制服姿の少女。

腰元にレイピアはないし、両腕に射出装置をつけているわけでもないが、つい数時間前に見た顔を流石に間違えるはずがない。


キサラギとパイルバンカーの2人だろう。


しかして今日は平日だ。

残念なことに全国の高校が現在夏休みかと言われると自身がないが、アリスが夏休みの時点でおそらくは彼女たちもせっかくの休日を謳歌しにきたのだろう。


それにしても、こんなにも運命的な出会いはあるものであろうか。

無論、この店を選んだのはたまたまであるのでストーキングを疑った方はあしからず。

店内に入って涼むための口実に使ってもいいが、ただ話しかけるのもつまらないし、話しかけたら周りに白い目で見られそうで嫌だな。

本人たちにも向けられそうな視線ではあるが。


この場でこれ以上有名人になっても意味がないのでおとなしくあちらが気づいて驚愕するのを待っているしかない。


「あの子たちもなのかい?」

「ん?あっちはさっきのとは違うぞ」

「それは目線で分かるよ」


兄貴が俺が視線を向けている人物に感づいて尋ねてくる。

もちろん、アリスが治験に興味を持ってもらっても困るので明確な単語は差し控えているが、それでも意味の分からない会話を目の前でされるというのは不快に感じるのか食べる手を止めて2人の顔を交互に見てくる。


何を話しているのか聞きたいんだろうが前述通りに知ってほしくないことではあるので微笑みで優しく返す。


「仲間外れで嫌だな~」

「別に仲間外れにしているわけじゃないよ~。どちらかと言えば仲間外れなのは僕達だしね~」


それはそうだ。

珍しく兄貴の言葉に賛同の頷きをしながらテーブル上のコーヒーをゆっくりと飲む。

その返答に対してもやはり不服なようで、可愛らしく表情に不満を表す。


と、楽しんでいると店内の方から視線を感じて店内を再び見る。

するとどうだろうか、苦虫を嚙み潰したような顔で立つ茶髪と無表情に近いポニーテールの少女。

うーん。なんとも素晴らしい反応だ。

その表情を公共の場でできるところにもプラス10点。


高得点を出した二人に対して爽やかな笑みを浮かべて上品に手を振る。

二人は一瞬のけぞったがすぎに姿勢を立て直し手を振り返すこともなく別の席へとまっすぐ向かっていった。

こちらが挨拶しているのに返答しないなんて、最低な奴らだな。

マイナス50点。


「女の子に点数をつける。マイナス人間以下」

「どういう単位?」

「お兄ちゃんの知り合いの人?高校生くらいじゃない?犯罪?」

「うん、勘違いしてるね?ちょっとスマホ構えるの止めようか」


アリスが先ほどの意趣返しでもあるかのように犯罪?とかいって通報しそうになったのを止める。

クスクスと笑う顔を見れたのはよかったが、実の妹に痴漢だの未成年に手を出しただのと通報されるなんて後世に語り継がれる恥であろう。


今まで生きてきた中で最も社会的死の危険性を感じ、それを回避したところでまたも背もたれを頼りに溶けるかのように姿勢を崩す。

しかし、いやはやどうしてか。

キサラギの振る舞いは治験の中でのみのキャラ作りと思っていたが、店内での振る舞いや佇まいを見ていた感じは昔からそれなりの教育は受けていた様子だ。


衣服に対して詳しいわけではないが、生地の質感も遠目から見たかんじよさそうに見える。


「私、ちょっと行ってくるね」


その妹の一言に初対面のJKに突っ込んでいくつもりかと驚いたが、それが()()()()だと即座に理解して止めようとしていた左手を下す。

兄貴の陰になってあちらからアリスを認識できてはいなかったようで、わざわざ接点を作りに行かれても困る。


「あんないい奴だったら紹介してやりたいけどな」

「おや、随分と優しい意見だねー。僕らの最終的な目的を忘れたわけじゃないだろう?」


そりゃ忘れない。

忘れてはいけない。

忘れれば俺の存在価値など皆無になる。

だからこそ諦めきれないし、恐ろしい。


「最後の選択は愚弟である君にしか任せることができない。

途中でやめるならそれに従うしかないし、最後までやりきる

のであれば手伝おう」

「何度も言うようで悪いが、お前1人でやってくれたらどれほ

ど幸せだったか。それをやる力もあるくせに」

「君にとっては幸せでも、全体としてはマイナスだ。幸せな

選択をとっても一つ間違えれば辛さを飲むことになるよ~」

「んなことは分かってる、だから俺が最初から辛さを考慮し

た最善手を取ってるんだろうが」


兄の言葉に怒気を滲ませた愚痴を吐き出す。

熱くなる意味もないのに。

一度初めてしまったことをそこでキッパリと止めることなどできないのだ。

この物語の行きつく先は、俺が壊れるか、俺が壊すかしかない。


「心を鬼にするなんて生易しい覚悟じゃダメだろうね~」

「修羅でも羅刹でも背負ってやるよ」

「それは傲慢だね、無力な弟よ」


茶化すことなく、目の前の異才は告げるのだ。

それには反論のしようもない。

無力でも、無能でも、あの天才を殺さねばならない。


「如月 那由多を殺す」

「それ以外に彼女が幸せになる可能性はないよ」

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