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5,

 


 ドアを開けると、寮のボスと聞いた長身の美人が私を見下ろしてくる。


 ……さすがボスね、一人で乗り込んで来るなんて。 かかって来なさい、相手にとって不足はないわ。 非は完全にこちらにあるけどねっ!



「邪魔するわよ。 レイアも居るところ悪いけど、ちょっと込み入っ――――誰? この子」



 ふふ、どうやら誰だか分からないようね。

 そう、これが私の最高傑作、生まれ変わった美少女レイア嬢よ。 前髪切っただけだけど。



「レイアよ、可愛いでしょ」


「レイア? これが?」


「………」



 ほら、あなたは自分が思ってるよりずっと可愛いのよ。 モジモジしてないで胸を張りなさい。



「まあいいわ、話はあなたがした二股の事よ」



 胸を……張れないやつね。



「サラはジャンのこと本気だったの、それをレオーネと恋人だと自分で言いふらしてたクセにどういうつもりなの?」



 ……なるほど。 サラはジータの友達で、ジャンっていう令息と付き合ってたのね。 そこにレオーネと恋人だと自慢してたエルマがにちょっかいを出した、と。


 ふむ、



 ―――10、0でエルマが悪いわ。



「サラは塞ぎ込んでて授業も出て来ないの、私もこれじゃ黙ってられないわ」


「……ごめんなさい」



 謝るしかない。 その子が可哀想だし、私がジータでも乗り込んできてると思う。



「食堂でレイアを助けた時は少し見直したけど、あなたのした事は最低よ」


「――あっ、あの時声かけてきたのジータだったのね? ごめんなさい、怒ってて無視しちゃった」


「そんな事はどうでもいい、あなたはどうしたいの? どうするつもりなの?」



 ―――正直私も聞きたいわ。 エルマ、あなたどうしたいの? って。


 でも、私は姉だからちょっと分かるのよね。 どうしてエルマがこんな事をしたのか、それは多分、



 ――――『やってみたかった』、からでしょうね。



 傍迷惑な悪戯心、簡単に言うとそれ。


 そしてエルマが一番いけないのは、その責任を取る事まで考えてないって事なのよ。



「今度のパーティーでジャンには謝るわ。 軽率な事をしてごめんなさいって」


「つまりジャンとは遊びだったのね。 それでサラがどんなに苦しんでるかわかってるの?」



 エルマ、悪いけど責任取ってもらうわよ。

 自分だけ傷つかないなんて無責任は許さないから。



「サラにも謝る」


「それで許されるとでも……」



「――レオーネとも別れるわ」



「……レオーネと?」



 面倒事を押し付けられたんだから、やり方は自由にさせてもらうわ。



「彼とジャンだって関係が拗れたでしょうし、その責任を取って別れる。 こんな事になったんだから、レオーネももうそのつもりかもしれないけど」


「………」



 会った事もないけど、まともな男だったらこんな女嫌いになるでしょ。



「その上で、ジャンにはサラのところへ戻ってもらう」


「そんな都合良くいく訳ないでしょ」



 確かにそうだけど、



「やってみるわ、それが償いだと思うから」



 私はジータと視線を交わす。

 目を逸らさず、私は本気だと伝える為に。



「……わかったわ、しばらく様子を見てあげる」



 ジータは長い髪を揺らして背を向けた。 そして、出て行く時に流し目で、



「レイア、可愛くなったわね」


「っ……」



 頬を染めるレイアを見て口元を緩ませ、ジータは部屋を出て行った。



「ほら言ったでしょっ!」


「う、うん」



 寮のボスジータ、話してみたら全然悪い子じゃなかったわね。



「悪いのは全部エルマよ」


「えっ? 何言ってるのエルマ」



 ―――あ゛……エルマは私だった。




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