1-6
何だかんだでシフォンの優しい性格を考える。
そんな事を考えている間に混ざり合いクリーム色になったのを見てミキサーを止める。
氷を3つ程入れ自慢のミックスジュースをカップに注ぐ。
ゆっくりとカップに流れるミックスジュースが空気を動かしレモンの爽やかな香りとフルーツの甘く優しい香りが店内を包む。
カウンター下の小さい引き出しからストローを取り出しカップに挿しコースターと共にシフォンの前に置く。
「お待たせ致しました」
「ありがとうございます!いただきまーす!」
シフォンは早速ストローに口をつける。
半透明の太めのストローからゆっくりとシフォンの口にミックスジュースが運ばれる。
一口飲むと口の中に広がる丁度良い甘さが、いっぱいに広がりシフォンの顔が自然と笑顔になる。
「ほんと、いつ飲んでもおいしー!」
シフォンが絵に描いたように頬に手を当て笑顔になる。
「…フ。手間は掛かるが、その笑顔が見れるだけで釣りがくるよ」
と口に運ぶたびに笑顔になるシフォンを見ながらカンミが言う。
「分かります。私も自分が作ったご飯を両親が美味しいって言ってくれるのが本当に嬉しくて」
照れたような表情で話す。
その様子に腕を組みカンミが返す。
「大事な事だよ。お金を稼ぐ為に、生きる為にやっているが、その先に喜んでもらうと言う目的がなければサービス業は出来ない。
その点、お前はその心がある。俺と同じ世界に身を置くならその気持を忘れない事だ」
「はい!」
と元気よく返事をする。
ゆっくりとミックスジュースを味わうシフォンを眺め洗い物を片付け始めると、シフォンが言いたいことがあると言わんばかりにチラチラとこっちを見てくる。
正直、こちらも落ち着かなくなる。
最後の洗い物を食器立てに立てかけると仕方が無いなと思いながら声をかける。
「なぁ、何か言いたい事があるんじゃ無いのか?」